「地方」で働くについて考える
どうも。地方公務員→IT企業に転職するいろはすです。
今回の記事では、県庁職員をしていたときの経験や知見、転職活動を通じて感じたこと、巷の情報を収集して私が考えたこと などを踏まえて、「地方」で働くことについて考察していきたいと思います。
例によって、非常に長い記事になっておりますので、時間のある時に読んで下さいw
地方公務員として働いている方や地方で暮らしている方などは、もちろんのこと、地方移住に興味ある方等々も読んでいただければ幸いです。
なお、今から「地方で働くってけっこう難しいよね。」という方向で語っていくわけですが、一方で私は地方が大好きです。
「働く」となるとかなり微妙という評価ですが、「暮らす」に関していうと最高だと思います。(通勤時間短い、維持費はかかるけど車移動で快適、人混みが少ない、子育てや教育もしやすい、自然がたくさんetc)
とはいえ、社会的な人の動きを見ると「暮らす」面が最高でも人口は都市圏に流れているわけですから、人々は「働く」を重視されていると思われます。(もちろん都会が好きとか楽しいとかもあるとは思いますが)
個人的な結論【地方で働くオススメ】
まず、地方に住んで働きたい!という方に対する私の個人的な結論を述べさせていただきます。(都市圏で働きたい!って人は、就業先が選び放題の都市圏へどうぞ・・)
オススメの働き方や職業は以下だと考えています。
それぞれの職業や働き方については、あんまり詳しくありませんが、総合的に勘案して一般的なサラリーマンになるのはあまりオススメしないよということをお伝えしたいです。
<オススメするに至った基準>
・ある程度の条件(年収、福利厚生等)が見込まれること
・自分らしく働けること(閉鎖的な環境でないこと)
・自己の成長が見込まれること 等
なお、自分らしく働けなくてもいいし、自己の成長なんかどうでもいいとかって人は、地方公務員や国家公務員の地方採用、地場の優良企業といわれているところはけっこうオススメですかね。
地方での雇用において、条件面だけでいうと公務員はかなり最強です。最強だけど、なんで辞めたかについては他の記事に書いているのでどうぞ。
地場の優良(と言われている)企業に対する考察は、後述します。
いろいろと唐突すぎるわ!!ツッコミどころ満載!と感じられたかもしれませんが、ここから各章で「地方」で働くことについて深掘りして考察していきたいと思います。
1.働く場所(企業)がない
よく地方で言いますよね、この言葉。
私はめちゃくちゃ情報収集しましたが、結局私もこれに行き着きました。(元々思ってはいましたが、現実問題としても直面しましたw)
もう少し言い換えると、「『優秀な若者の受け入れ先(受け皿)・優良企業』が少ない」ということになります。
また、地方で住みながらのキャリアアップはかなり厳しいでしょう。なんせ選択肢が全然ないわけですから・・・世の中は、「大転職時代」「転職でキャリアアップ!」なんかと言われておりますが、あれは都市圏に限った話じゃないかなと感じます。地方に住むことを優先ないし勤務地を地方に縛られると途端に昭和の雇用の香りがしてきます。私も転職活動の際に、絶望したりしました。
さて、話を戻して、一般的に地方での優良な(優良と言われている)就職先にどのようなところがあるか見ていきましょう。←両親世代が喜んでくれる就職先とも言えるw
高学歴、優秀と言われているような人に人気があり、受け皿となるような就職先(地方に限って)です。
※学歴でいうと東京一工~日東駒専レベルの中堅私立まで幅広くが入っているようなところでしょうか。地方で働くのに東大京大なんて超オーバースペックだと感じます・・・
残念ながら、超少子高齢化・人口減・東京一極集中の現代においてこれらの就職先は「優良」とは言い難いと考えております。
じゃあ、優秀な人はどこに行けばいいんや・・・となるかもしれませんが、オススメは冒頭の個人的な結論のとおりかなと思います。
2.地域での価値観・考え方が古く保守的
今回は、「地方」で働くがテーマであるため、これはその地域での政財界全体のことを指すこととさせていただきます。
少しわかりにくいと思うので補足します。
最近良く聞く「シルバー民主主義」という言葉のとおり、高齢の政治家、行政・地場企業の社長や幹部、重鎮等々が頭の中を現代の知識や環境にアップデートせずに、基本的に「現状維持」だけをしているため、地域全体として価値観や考え方が前時代的ということです。
例えばでいうと、地方の企業では公務員でなくても、ほとんどが年功序列であったりボトムアップ文化が希薄だったりもしますね。最近はDXとよく地方でも聞くようになりましたが、ただ流行りに乗っていて、やることも単なるデジタル化に留まっている印象です。デジタルを通してビジネスモデルなり変革しないと・・
昭和の香りがする上下関係と過去の成功体験にしがみつき先入観だらけで現場を見ない幹部以上の中で、会社に対し「我慢」を強いられ、無気力に働く若者達…ってのが現実と感じます。
一方で、現代の就職・転職市場のトレンドについて、少し見ていきましょう。
・ここ3~4年は、優秀な学生・若者であっても一昔前と比較して、メガベンチャーやスタートアップ企業に就職する選択をしている。特に若者が「仕事」に求めることが変容してきている。例えば、「社内での風通しの良さ」、「適正な人事評価」、「柔軟な働き方」とかですかね。これは、企業のクチコミサイトやSNSの発達によって、企業の内情などの情報がさらに世の中に出回り始めたからですかね~典型例:官僚様
・有名大学の人気就職先ランキングの内訳も一昔前と変わってきている。
以前は、国内を代表する大手メーカー(トヨタとか)や官僚だったが、最近は外資コンサルや外資IT企業中心になってきている。理由は上述のとおりですかね。
Z世代と呼ばれている若者達と上の世代の人達とで、仕事に対する価値観が大きく変わってきていて、それが就職・転職先にも現れてきているということなのかなと思います。他にも副業やフリーランスといった働き方の選択肢も増えたことで、会社に対する変な我慢をせずに生きるという考え方が浸透してきているのかもしれません。
さて、地方とトレンドの比較もできたところで、話を戻します。
別の国かと思うくらい傾向が断絶しているのが分かるかと思います。
優秀な若者が地方で仕事をするとなると、残念ながらミスマッチが起きやすい状態となっているのではないかと考えます。令和に入りコロナ禍などもあり、よりその溝が大きくなっているように思えます。例えば、実際に地方公務員の離職率は民間企業と比べまだ低い状態でありますが、徐々に上がってきているというのが現実です。
私は、地方全体の1番の問題は「価値観が転換できていないこと。特に権力のある高齢の人中心の世界であること」であると感じております。日本全体の問題ではありますが、地方ではより顕著であると感じます。
もう少し実務レベルに落とし込んで言えば、「現場レベルで仕事での裁量がない」「意味がある業務なのかすら分からない」「わけのわからないトップダウンの指示がくる」「年功序列のため、仕事のしない高給取りのオジサンがいる」などですかね。。
※ちなみに私の場合は、仕事やキャリアのトレンドを勉強し続けていて、頭をアップデートしていたがために、現職とのミスマッチを起こしたように思えます。仕事に対する考え方は、Z世代に近いのかもしれません。
地方の企業などをネガキャンしたいわけでは決してありませんが、時代にそぐわず特に若者にとっての就業先としては、あまりオススメできないと感じてしまいます。
「地方」で働くことを考えると、どこかのタイミングで何らかの変な「我慢」を強いられるのではないかと思います。
ここでいう我慢は、残業だとか仕事内容とかってよりも、組織に対し「どうなんだ??」と感じる一方で何もできない・・・ということを指します。
保守的であるがゆえに、本質的な議論やカイゼンができないって感じでしょうか。
3.地域全体が身内的であること
2.の追加のようなお話しとなりますが、お伝えさせていただきます。
この項目では、2.について拍車をかけているのではないかと考えています。
地方の政財界(政治、行政、経済、マスコミ等々)は、それぞれが密接に結びつきあっています。それぞれ偉いオジサン達に太いパイプがあって、地方の政財界が成り立っています。
こういった結びつきが地方での閉塞感に強く拍車をかけていると考えています。前述もしているとおり、こういった地方の権力者のオジサン達は全くといっていいほど、価値観を転換できていません。
それもそのはずで、日々似たような価値観の人としか交流せずに身内で世界が成り立ち回っているからです。
大枠の経済構造を考えても、利害関係や既得権益だらけの汚らしい世界でかなり成り立っています。それだけである意味(短中期的には)成り立ち生きていけるとも言えるので、課題感を感じにくくイノベーションも全く起きません。意図せずしてなのか、現実に目を背けているような構造だと感じます。
権力者はいつもお互いに周りの権力者の顔色を伺いながら、動いています。ある程度、「横並び」であることを察しながら動きます。(一つが突き抜けることを良しとしない風潮もあるのかな)
また、それぞれの組織にボトムアップの機能も欠如しているため、一向に何も変わらないわけです。閉塞感でしかありません。。
「グローバル化」とかってよく言いますが、グローバル化どころか都市圏(ないし日本全体)の最新の価値観や情報などですら取り込めきれていません。方や都市圏の企業などは真っ当にビジネスとして動き、イノベーションを起こしているんですよね。
地域全体として、身内の中での世界でしかなくて、到底「マトモな」世界とは感じにくいです。政治や行政、経済活動等々、本来的な目的や趣旨が失われているのではないかと感じます。「合理性」ってあんまりなくて、ただ偉いオジサン・オバサンのお気持ちでしかないんじゃないかな~
地方の中小・零細企業であれば、この限りではないかもしれませんが、ぶっちゃけ内情のレベルは純粋に低いと感じます。
ある程度の企業になれば、2~3でお伝えした内容が襲いかかってきます。
「地方」で働くという今回のテーマに沿って考えると、真っ当に(ある程度の企業とかで)サラリーマンとして仕事するってけっこう難しいんじゃないかなと感じます。
どうしてもそういった身内的なことに付き合うことが、いつかやってきますからね。。
※もちろんこういう企業でない企業も地方には存在します。ただ、お伝えしてきたような傾向が強いということです。
【オマケ】ちょっと小話
長くなってきたので、これまでの話に関連して私の転職活動での体験談を書いてみます。
【テーマ別の考察】リモートワークが一般的になってくる社会と「地方」で働く
ここまで概論的にお伝えしてきたのですが、リモートワークが一般的になってきていて、さらにこの流れは加速しそうというトレンドを踏まえ考察していきます。
結論からお伝えすると、地方の人材不足がより一層加速し、地方経済がズタズタになると考えています。
現在、エンジニアや一部のコンサル程度ではありますが、フルリモートでの働き方は現実に始まっていて、一部では営業等でもフルリモートで働く場所を選ばない働き方が現れてきてきます。
例えば、有名な話でいくとNTTで居住地自由の制度が始まっていたりします。この動きはコロナ禍が収束したとしても全国的に加速していくように思えます。
ーーーそうなってくると、どうなるのか?
今までは「優秀だが居住地は地方がよいと考えている人材」が一定数地方に還流していた一方で、これからはそういった人材は地方に住みつつ都市圏の優良企業に勤めるように思えます。年収等をはじめとする条件が悪く閉塞感のある地方の企業なんて見向きもされません。
実際に、家庭の事情で地方に転職したエンジニアが条件の良い都市圏の企業に再就職しフルリモートで働くようになったという例も聞いたこともあります。
そうなってくると、マクロな視点で考えると地方に住む人は一定増え地方経済が活性化する一方で、地方の企業は優秀な人材の確保がより困難となり事業の継続が困難になっていくのではないかと思えます。ブルーカラーと言われるような人材の確保はそこまで難しくはないかもしれないですが。
(わかりやすい例で小売業界いくと、県外資本のイオンが地方を駆逐していっているみたいな感じかなw)
ただでさえ、前述したような地方の根幹的な問題がある上に、外部環境的にも厳しくなってくると思います。
こんなことを考えていくと、危機感を持って地方の再生に取り組んでいかないと泥舟が完全に沈没していくのではないかと思えます。。
ちなみに個人単位で考えると、冒頭の個人的な結論でお伝えしたような選択肢が個人的にはベターと思っています。
行政的な観点での提言
私は行政の職員でしたので、この問題について、行政的な観点からどう取り組めばよいか考えてみようと思います。
率先した価値観の転換
行政は、中立な立場かつ地域社会に及ぼす影響力もあるので、まずは行政が率先して価値観をアップデートするべきと考えます。価値観や考え方も改めた上で、きちんと施策や制度に反映させ動いていくことが必要です。
価値観から転換していった上で、例えば風通しのよい組織になるよう人事制度を変革させていくなど、地域の旗振り役として積極的な変革を進めていくべきと考えます。そのために、実質的に行政の上に立つ首長をはじめとする政治が変わっていかなければなりません。
そうして変革の動きを地方の中で起こしていって、行政の周りのステークホルダーである企業などにもその影響を与えていってほしいです。
逆に地方の影響力の大きい一企業からこういった動きが生まれ、他の企業や行政・政治に影響を与えていくという形もいいですね。
現実問題として、「政治」が真っ先に変わらないといけないわけですが、ハードルは非常に高いですね。。
(具体的な施策例)地方でのITメガベンチャーの創出支援
では仮に私が地方に変革を起こすために何か案を出せ!と言われたら、どうするのかと具体的に考えてみたいと思います。
結論から言いますと、地方にGAFAMないしITメガベンチャー(リクルート、メルカリ、サイバーエージェント、Sansan等々)を創出することだと考えております。
お前がIT企業に転職するから、そう言っているのか?!と思われるかもしれませんが、全くそうではありません。
IT企業に着目した理由は以下です。
他の業界、ビジネスモデルで考えると、やはりあらゆるものが集積している東京が最適解となるわけですが、ITに限ってはそうとも思えません。
有名企業の工場が誘致できたって、ぶっちゃけ根幹的な地方創生にはつながるとは限りません。採算が合わなければ、撤退しちゃいますしね。
IT企業の創出で問題となるのは、優秀な人材(特にエンジニア)の確保です。IT企業の多くも優秀な人材が確保できるから本社を東京に構えているのかなと感じます。
であるならば、徹底的にITに絞って、行政は投資していくべきと感じます。
財源は、行政のパイプが強い企業や既得権益団体に流している補助金でも全部切るなりすればいいです。自治体の裁量内で予算を削減できるもの(高齢者福祉や土木工事等々)など個人的になくすことができる分野なんていくらでもあります。伝統産業を守ったり伝統文化を継承していくことも一定必要だとは思いますが、合理的に経済的に「旨味」はほぼないとさえ思っています。(地方にとっての「正義」の定義は難しいですが、それで地方が消滅するのであれば「正義」とは言い難いのではないでしょうか。気持ちは分かるんですけどね。)また。行政としてそういった企業を「育てる」空気感のようなものも推進できるとよいです。
中長期的に地方として「勝ち組」になり、豊かな地域となっていくための投資と捉え、「選択と集中」をしていくべきです。
リモートで働けることやIT業界が活況なことを地方が逆手にとらない手はありません。
地方に住みたい優秀な人材って潜在的に一定数存在します。なぜなら、私のいる県庁や市役所などの公務員がそうだったりもするので。
そういった人材を地域で生み出した優秀な人材が集まるIT企業に集約し、その企業で長く働き(一定流出するかもですがw)出産し家族として暮らしていく。そして、優秀な人材が還流してくる好循環を作り上げる。
私の中の夢物語かもしれませんが、そこまで非現実的でないのかなと思っています。
合理性もさることながら、なんか面白そうじゃないですかね??笑
終わりに
非常に長くなってしまい大変恐縮です。
私なりに「地方」で働くを考察し個人的な提言までお伝えさせていただきました。
この記事をきっかけに地方や働くことについて、少しでも改めて考えていただけたら幸いです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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