田舎者、都会へ行く|素敵なパン屋さん|福岡
田舎でのんびりと暮らしているけれど、都会の本屋さんへどうしても行きたくなる時が定期的にやってくる。
「いろんな種類の本があって、雑貨とかカフェもある、おしゃれな本屋さんに行きたいなあ」と夫に言ってみた。
そんなところどこにあるの?と聞かれ、気になっているのは福岡にある本屋さん、と答えた。
じゃあ行くか!と、出かけるのが好きな夫はすぐにのってくれた。
都会に行くのには、心の準備と気合いがいるのだが、そんな時間もなく、思い立ってから出かけるまで早かった。
行きたいと言ったのは私だけど、急に行くことになり焦る。
休日の朝、車で福岡へ向かう。
大濠公園の近くのパーキングに車をとめた。
せっかく福岡に来たので色々なお店を見たいと思い、本屋さんへ行く前に気になっていたパン屋さんへ。
歩き始めまわり見渡すと、ビルとコンクリートに囲まれていて、異世界に来たみたいと思った。
久しぶりの都会はドキドキする。景色の中に直線が多い。人も多い。
私の住んでいる場所は、1時間散歩してもひとりも歩行者とすれ違わないことが多い。
街にたくさん人が歩いている光景に気を取られ、必要以上に観察してしまった。
お目当てのパン屋さんに着いた。
外観がおしゃれ。こじんまりとした感じも好き。
このパン屋さんに行くことを決めた理由は、ホームページに書かれていたコンセプトに共感したから。
この文章が素敵すぎて、一瞬で惹かれた。「知性、思考、性格」というところが深いなあと思った。
できるだけ自然に近い原素材、無農薬野菜など、素材そのものに生命力があり、何よりも元気な食材を使うようにしている。卵や塩、砂糖にもこだわり、不要なものは加えず、人々の健康の面にも貢献したいと書かれている。
素晴らしいコンセプトのパン屋さん。
こういうパン屋さんに出会えると、嬉しくなる。
店内の入り口あたりには、美味しそうなサンドイッチがあり、ベーグルや塩パン、甘い系のパンなど、種類も豊富。
購入したパンを食べた時、パンそのものの美味しさに感動した。
ベーグルも、今まで食べたベーグルの中で一番美味しかった。
ここのパン、すごい。
「パン」と気軽に呼びたくないくらい、魅力的な存在感のある食べ物だった。
パン屋さんの次は、蔦屋書店へ向かった。
想像していた通り、おしゃれな空間に本がぎっしり並んでいて、照明も素敵だった。
ただ、ここに来るまでの慣れない道のりと、室内の人の多さに疲れてしまい、本心から楽しめず。
新しい本との出会いがあるかなと期待していたが、直感も働かず、目がまわっているような感覚のまま本棚のまわりをうろうろしただけだった。
人が多い場所はやはり向いていない。ここではほとんどの感覚をシャットダウンさせないといけないみたい。調整できる人をすごいと思う。
夫は、嗅覚が鋭いので人の匂いにやられていた。
ふたりしてヘロヘロになっていた。
最後にコーヒーを買って、車で飲みながら帰ることに。
このコーヒーがまた不思議な味で、口に含むと酸味と苦味がすごい速さで交互にやってきて、なかなか味が着地しない。
美味しいのか美味しくないのかもわからない。
「どう?着地した?」と夫と聞き合う。
味が定まらない不思議なコーヒーだと感じた。
体調や気分によって、食べ物の味の感じ方が変わると聞いたことがある。
この日、私たちは相当疲れていたのかもしれない。
まあこういう日もあるよね。
いつもと違う環境に身を置いてみるのも、新たな発見につながっておもしろいなあと思った。