読解力がなくても無問題?
新井紀子氏の「AIに負けない子供を育てる」
を読んで、いろいろ想うところがあったので、メモランダムとして、書いていこう。
新井氏とは、じつは不思議な縁があって。わたし、JST(科学技術振興機構)でエンジニアとして働いてた経験があり…、
そのときに参画していたプロジェクトのトップが、まさに新井先生だったのだ。もちろん雲のまた雲の上の人なので、会ったことはないけど。
前著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」は、この手の本では異例のベストセラーとなっているし、
かねてより、いっぺん読まなきゃなと思っていたのである。
さまざまなエビデンスや、教育の知見、新井氏の20年にわたる指導の実地経験をまじえつつ、AIに負けない人材を教育するうえでは、文章を正しく、正確に読む力=読解力が大事であることが強調されている。
その内容は、至極まっとうなものである。
併せて体験版のリーディングスキルテストも解いてみる。難しい問題は解くのにちょっと手間取った。
テストの内容そのものは良くできているのだけど、解いてみて、若干違和感も。要は、このテストで問われている能力って「典型的知性」だけなのだ。
テストを作ると、どうしても標準的な、もっとも妥当と思われる「正解」を設定せざるをえないので、知性を測る一定の「幅」が出来てしまう。
アインシュタインやダヴィンチやシェイクスピアが、このリーディングスキルテストで高得点をとれるのか?というと、個人的には微妙ではないかと思う。
いうまでもないことだけど、天才というのは、標準的な言語能力とは異なった脳の使い方をしているからこそ、天才なのであって。
結論、このリーディングスキルテストで高得点の人達とは、世間一般でいう「偏差値の高い」人達と、ほぼ同じになるはずである。
換言すれば「社会で活躍したいのなら、そのくらいの能力があった方がいいのではないですか?」と新井氏は言っているわけで、それ自体は正論中の正論なのだけどさ…
一方で、このテストで点数低くても、それ以外の個性的な能力を発揮して社会に貢献できるチャンスは十分にあるだろう。
さいわい、大人でも、読むトレーニングをすれば読解力は向上するとのことだ。
久々、数学書でも読もうかな…