自分の弱さを知る(13)

…一度「非行に走った」少年にとって、最も必要であり、多くの場合唯一の救済となるのは、年上の友人、助言者、司法の人々が、もはやこれ以上、紋切り型の診断をやめ、青年に特有のダイナミズムを考慮しない社会的判断に基づいた分類を拒否することである…

アイデンディティ/エリク・H・エリクソン

人の(おもに子供の)精神の成長の問題については今までおおいに心理学者や精神科医たちによって検討されてきたがそれは結果論として社会領域の視点からなされているのであり、

上記でエリクソンが述べているような発達段階という根本の視点にたって、教育や心療内科の現場で研究・実践されているとは言いがたい。もっというと実質「皆無」かもしれない。これは私自身の、学校教育やカウンセリングを経験した者としてのたしかな実感でもある。

ゆえにこれが私たちの抱える真の当面の問題といえる。以前マズローの自己実現理論(に漂っている”ケチ臭さ”への全面批判)をとりあげたが、もしエリクソンとマズローの両者を分かつものがあるとするならそれはつまるところ「個への詮索」となるだろう。

<続く>

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