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【読書感想文】[実践]小説教室: 伝える、揺さぶる基本メソッド 小説家になれる
小説家になれる。
ただし、それがいつの日なのか、それはわからない。
明日かもしれないし、死ぬまえの日かもしれない。
そして、漠然と生きるだけでは、けっして小説家になれない。
ずっと小説を書きつづけなければならない。
その書きつづけなければならない、それがきびしい。
おそらく、このnoteをのぞかれたかたは、もしかしたら、なにかしら小説家になれる近道、秘訣、裏技があるのかもしれないと思い読まれたと思う。
そんなものはない。
落選しようが、指が折れようが、風邪をひこうが、毎日毎日小説を書きつづけるしかない。
この本の作者さんは、編集の仕事に長年たずさわり、いま活躍されている小説家を世に送りだされてきたかたである。
そのかたが、編集の仕事をやめ、小説の書き方の教室を開かれた。
その教室は予約をとるのが困難なほどに人気だそうだ。
小説を書きたいひとはたくさにる。
初じめの講義にはは、たくさんの生徒がやってくる。
けれども、時がたつにつれ、生徒の数は、櫛がかけるように、一人二人、三人を欠けていき、最後まで通いつづける生徒は少ないと書かれている。
金をはらって、教室に参加したというのに、完走する生徒がすくない。
教室に参加するだけでもむずかしい。
さらに、ひとりで小説を書きつづけるのはさらにむずかしい。
そのガンダーラをめずような遥かな旅路をのりこえることで、やっと小説家になれるのです。
その日は、明日か明後日か、死ぬ前日か、カフカのように死後にみとめられるか。
それは、小説の神のみぞ知る。
この本には小説家になるための修行法が紹介されている。
それは、小説を読む、そして批評する。
これまた、読みつづける、批評しつづけるしかないである。
作者の教室も書いてきた小説を発表し、みなで批評する形がとられている。
ただ、ボウと読むだけでなく、小説のすぐれたところ、いいまわし、技術などを頭につめこむ、ためこむ。
そして、自分の小説を書くときは、それをそのまま書いてはいけない。
できるだけバレないように、こっそり、しめやかに自分が書く小説の文章のなかに落としこまなければならい。
読むだけでなく、自分のなかで吸収し、使いこなせるようにする必要がある。
この本には、何冊かの小説の批評ものせられている。
批評の参考になると思う。
小説家のなかには、作家と読者、批評家がいるといった開高健。
まさに、そのとおり、小説家をめざすものは、まんべんなく内なる三賢人を育てあげる必要がある。
小説のあとがきや解説などを読むと、小説家が書いたあとがきや解説は、おもしろい、ためになることがおおい。
とくに筒井康隆氏の解説はおもろい。気づきがある。
それは、筒井康隆氏が、書きつづけ、読みつづけ、批評してきたからだろうと思う。
丸谷才一との対談で筒井康隆氏は、若手の作家に最低でも有名な古典はできるだけ読んでおいたほうがよいと語っておられた。
みなさん、どれだけの有名な古典を読まれてます。
わたしなぞ片手で数えられるほどです。
さらに、ただただ小説を読むだけでなく、さまざまな角度から眺め、文字を解析し、文字を分解したり、作者の意図を読みといたり、たまには本をなめたりしながら味わい、批評する必要がある。
いまの世は、noteを筆頭にSNSをつかえば批評をする場はたくさんある。
そして、書いた批評を読んだかたが、興味がでました、本を買いました、といってもらえるのは、とても嬉しいものですゾ。
批評していたら、人に伝える、揺さぶる技術が身につくかもしれません。
そういえば、この本のなかには、実戦的な技術はほとんど書かれていなかった。
書きつづけろ、読みつづけろ、そして批評しつづけろ、伝えたいことはわかった。
ただ、あまりにも抽象的ともいえるアドバイスに、小説家をめざすのをやめようかと心が揺さぶられた。
そこで、すこし頭をひやして、この本について批評というか、思いついたことを書いてこのnoteをしめくくる。
この本の作者は、編集者であり、小説家ではない。
小説家を世におくりだしてきた、けれども、作者は編集者で先生だ。
小説家のなりかたを熟知されておられる。
であるならば、なぜ、この作者は小説家にならないのだ。
たんじゅんに、小説家教室を主宰していたほうが稼げるのか。
小説家はあまり儲からないのか。
小説家になりたい動機が、金、銭、マニーな私はそこがもっとも気になる。
小説家のなりかたを教えられるなら、自分が小説家になればいいのに思った。
小説家になってから、生徒に教えたほうが、説得力がますのでは、と私は思う。
そうは思いませぬか?