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神から賜った一番良い、不可分の組合せキャベツの浅漬け
ザワー・クラウト(酸っぱいキャベツ)を漬け込む時に、一緒に入れる香料も、ワッハホルデルで、ドイツ人は、キャベツとワッハホルデルの合性を、神から賜った一番良い、不可分の組合せだと信じ込んでいるようだ。
『 美味放浪記 』を読んでいるとコノ文章が、おいしいそうレーダーが文字を捕らえた。
作者の檀一雄は、太宰治や坂口安吾などと同時代を生き、最後の無頼派と言われた作者。
青鯖が空に浮かんだような顔の太宰治。過去、現在の作者さんたちに多大な影響を与え続けている文豪OF文豪。
でかい体をノシノシ言わせ、素朴で朴訥した文章で、読み終わったあと、すごい物語を読んでしまったと呆然とし、ふとした瞬間に物語の結末が、絵のように思い出され、チカッと心臓をしめつける文豪・坂口安吾。
「その二人に比べたら、檀一雄って地味じゃね?」
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檀一雄は地味ではありませんゾ。そんなこと言ったら、角材で頭ブチ叩かれますゾ。
文豪であり、ヒッピー・旅人であり、なんといっても文豪界随一の料理人ダ、と私は思っている。
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檀一雄の『 檀流クッキング 』を読んだ。そのおかげで、料理をはじめた、という紳士淑女は大変おおいように思う。
私が料理をはじめたキッカケ。それは檀一雄のエッセイを読んだから。
前置きが、万里の長城ぐらい長くなってしまった。檀一雄愛が、アマゾン河の水量ぐらい溢れだしてしまった。
『 美味放浪記 』には、ワッハホルデルを使ったザワー・クラウトの作り方も味も書かれていない。読み逃しているだけかもしれないが。
そこで自宅で作れる浅漬け風に作ってみた。そのレシピを書いていこうと思う。
神から賜った一番良い、不可分の組合せのキャベツの浅漬けレシピ
キャベツを細切りにきり、キャベツの重量の1%の塩をふり、卓上漬物器にいれ、キャベツがシナシナになるのを待つ。
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ザワー・クラウトといえば、フェンネルシード。これは外せませんね、絶対であり、マストアイテム。ぱらぱらとお好みの量をいれる。
ツンとしたヒネたフェンネルシードの清涼な香りが、キャベツの甘さに奥行をだしてくれる。
「ワッハホルデル、ワッハホルデル。いったいナンやねん」とお考えのアナタ。
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え?となりますよね。
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答えはネズの実、ジュニパーベリー。
ジュニパーベリーはジンの香りづけに使われることでも有名な香辛料。梅酒や果実酒を漬けるときに、一粒二粒ぽちょんと漬けてやると、それはそれは。
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一粒二粒でもよい香りなる。ここでは、毛利の三本の矢よりおおい、四粒いれておく。
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ここで辛味もすこし足しておく。ここはお好みなので。
浅漬けでは、酸が足りない。キャベツの甘、香辛料の爽、唐辛子の辛はある。しかし、どうしてもザワー・クラウト特有の発酵した酸が足りない。
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そこで、強制的に酸をたす。ふつうのお酢でもかまわない。
「りんごが赤くなると、医者の顔が青くなる」ドイツのことわざだったか、そこで、りんご酢をいれる。ツンとしたトゲトゲした酸味でなく、まろみのある酸味、ほのかに熟成された甘味のあるりんご酢をチョッといれることで、熟成したような”気”のする酸味になる。
あとは3時間から半日ほど、卓上漬物器にいれキャベツと香辛料を漬け込む。
キャベツがしんなりと柔らかくなれば食べごろだ。
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キャベツはしんなり、すこしのシャッキリ感を残す。キャベツの甘味は十分にひきだされており、ピリッとした辛味がアクセントになっている。りんご酢のおかげで、熟成したようなすっぱさもある。フェンネルシードの軽やかでスキップしているような香りは、あと味をサッパリとさせてくれる。
ワッハホルデル、濡れることで、つやつやと艶やかな黒真珠のようにしっとりしている。その黒真珠からキャベツ全体にエキスが行きわたり、上品、気品、高貴な味に仕上げてくれている。
ともすればバカにされがちなお漬物。ワッハホルデルのおかげで、風雅な香りになっている。浅漬けの香りをまろやかに優しいものにしてくれている。ジンの香りはあるけど、ジンのパンチ力、キック力はないので、ご安心くだされ。
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むしゃりとソーセージをかじったあと、すかさずに浅漬けを食べる。ソーセージの肉感、テラテラした脂、残った肉の残響を、甘、辛、酸、ワッハホルデルの香りが一切合切消失させる。
サウナにはいり、アカスリをした後のように、お口のなかをリフレッシュしてくれる。
神から賜った一番良い、不可分の組合せ漬物長期熟成版
「浅漬けもいいが、文章にでていた漬物はどうしたんだ」
わかります、わかります。そういうご意見しかと。
そこで長期熟成版も、書いておくよ。
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瓶は煮沸消毒。ちんちんに沸いたお湯を容器にそそぎ消毒。火傷にはご注意を。
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ざくざくとキャベツを切る。漬け込むとシナッとなるので、ある程度ざっくりと幅を残しておくとよき。ボウルにいれ、キャベツの重量をはかっておく。
キャベツの重量の3%の塩をボウルにいれる。9gの塩をボウルにいれる。塩は海塩よりも、岩塩のほうが、まろやかに仕上がる”気”がする。
キャベツと塩をざっくりと混ぜあわせ、ボウルにぎゅっと押しつける。しっとりと水分がでてくるまで、しっかり押しつける。
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水分がでたキャベツを瓶にギュッとつめこんでいく。煮沸消毒だけでなく、スプレーボトルにいれたウオツカでも消毒しておく。
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神から賜った一番良い、不可分の組合せのワッハホルデルもパラパラと瓶にいれておく。
冷暗所に容器をおき、キャベツとワッハホルデルが、ふつふつと泡をだし、発酵するのを待つ。
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キャベツとワッハホルデル、塩だけで作った。
神から賜った組合せ。さてはて気合いをいれて味わってみようか。ザワー・クラウト独特のツンとくる発酵臭。これがまずない。果実、たとえばマスカットのような爽やかな香りがしている。
ザワー・クラウトの四角くて尖ったようなガツンとくる酸味・塩辛さ。それが、河を流され、流されしているうちに丸くすべすべになったような味になっている。
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ザワー・クラウトの酸味と塩辛さにゲンナリすることがなく、いくらでも食べることができそうである。この味を表現するのであれば。
神から賜った一番良い、不可分の組合せ