作り置きする、トマトソース
南仏の料理と言えば、必ずトマトが入っているようなイメージがあります。
でも、大昔のレシピを見るとニンニクとオリーブオイルは使うけれどトマトは入っていません。
それもそのはず、トマトは元々ヨーロッパになかったからです。
トマトは新大陸発見後、スペイン人によりヨーロッパにもたらされ、1544年にイタリアに入りました。フランスに伝播したのも同じ頃だと言われています。
フランスで初めてトマトソースが作られた場所は、南仏のヴォークリューズというところでした。
やはり南仏が最初ですね。
トマトは最初、毒があると言われていました。
そんな恐ろしいトマトが食用として使い始められたのは17世紀以降だと言われています。
フランス全土に広がったのはフランス革命の頃。
マルセイユの革命家が農家に教えたことにより広がったそうです。
革命の血の色とトマトの赤がなんとなくリンクするのは気のせいでしょうか。
7月から9月にかけてフランスではトマトがよく出回ります。
この時期、フレッシュなトマトでトマトソースを作るとなんともいえない美味しいソースが出来上がります。
玉ねぎやにんじんなどの香味野菜とトマトをニンニクとオリーブオイルで炒めて、
ここにブーケガルニを入れてしばらくコトコト煮る。
このブーケガルニも南仏ではわざわざ買うものではありません。
野山を歩いていると、至る所でタイムやローズマリーの香りがします。
散歩のついでに必ず摘んで、乾燥させ、これに庭のローリエの葉っぱを加えれば自家製ブーケガルニの出来上がりです。
手作りのトマトソースはめんどくさいかもしれないけれど、たくさん作って保存瓶に入れて冷凍しておけば、いつでも使える、と教えてくれたのはイルミーヌです。
毎年、夫のジョージが作ったトマトが大量にできるので、トマトを無駄にしない為の彼女なりの工夫だったのでしょう。
トマトソースはパスタ以外でもいろんな料理に重宝します。
例えばナスのパルミジャーナ。
これはナスのグラタンのようなもの。
揚げたナスをオーブン皿に敷き詰め、パルメザンチーズ、トマトソース、モッツアレラチーズ、バジルの順で重ねていき、最後はナスで終わるようにします。
その上にトマトソースを塗り、パン粉を振りかけてオーブンで焼きます。
(これはお料理教室で紹介しました。)
イルミーヌがよく作っていたパルミジャーナもどきはもっとシンプルで、揚げたナスにトマトソースを塗り、パルメザンチーズとパン粉を振りかけて焼いた物でした。
他にはクスクスを牛乳でふやかして、チーズを入れてオーブンでこんがり焼き、焼けたらトマトソースを塗って食べる、こんな感じのものをよく作っていました。
シンプルだからこそ美味しい家庭の味です。
懐かしいイルミーヌのトマトソースを再現してみました。
<トマトソースの材料>:
玉ネギ1個、オリーブオイル大さじ3、塩、人参1/2本、セロリ1本、湯むきトマト3個から5個(或いはトマト缶1個)、ニンニク1カケ、ローリエ1枚、タイムの枝、ローズマリーの枝、塩
<トマトソースの下準備>
1玉ねぎを粗く微塵切りにしておく
2人参は角切りにしておく
3セロリも粗く微塵切り。
4トマトは湯むきしてざくぎりにしておく。
<トマトソースの作り方>
オリーブオイルを鍋に熱し潰したニンニクを入れて、オリーブオイルにニンニクの香りをつける。
荒く刻んだ玉ねぎを入れ、塩を加え透き通るまで炒める。
荒く刻んだセロリと人参を加えさらに炒める。
4.角切りにした湯むきトマトを加える(種が気になる場合は取り除く)
5.ブーケガルニ(ローリエ、タイム、ローズマリー)を加えて蓋をして15分ほど煮る。
(タイム、ローリエ、ローズマリーはお茶パックに入れると後で取り出しやすい)
6.途中、蓋を開けて水分を飛ばす。
7.ソースを漉して、塩で味を整える。(ブレンダーにかけても良い)
8.瓶に入れて冷凍保存。
トマトソースはシンプルにパスタにかけました。
この基本のトマトソースは魚介類に合わせても良し。
気分により唐辛子を加えて、ピリッとさせても良し。
生クリーム、あるいはマスカルポーネチーズを加えるとトマトクリームパスタが作れます。
色々と楽しめるトマトソースです。