中里こお

【台所ノート】 好きな場所は台所。 ここで大切にしていることは余計なものは入れず、季節の材料でシンプルに作ること。 台所で生まれる日々の料理をノートに綴ります。 料理教室、器のお店運営、オリーブオイルソムリエ。

中里こお

【台所ノート】 好きな場所は台所。 ここで大切にしていることは余計なものは入れず、季節の材料でシンプルに作ること。 台所で生まれる日々の料理をノートに綴ります。 料理教室、器のお店運営、オリーブオイルソムリエ。

最近の記事

作り置きする、トマトソース

南仏の料理と言えば、必ずトマトが入っているようなイメージがあります。 でも、大昔のレシピを見るとニンニクとオリーブオイルは使うけれどトマトは入っていません。 それもそのはず、トマトは元々ヨーロッパになかったからです。 トマトは新大陸発見後、スペイン人によりヨーロッパにもたらされ、1544年にイタリアに入りました。フランスに伝播したのも同じ頃だと言われています。 フランスで初めてトマトソースが作られた場所は、南仏のヴォークリューズというところでした。 やはり南仏が最初ですね。

    • 懐かしのギリシャ料理

      アフリカ系の人、アラブ系の人、アジアの人などなど、フランスはまさに移民の国だと思う。 同じ白人でもお隣のイタリアやスペインから随分前に移り住んで、フランス国民になっている人もたくさんいる。 だから、家庭料理1つ取ってみてもフランスの地方料理だけにとどまらず、さまざまな国のエッセンスが散りばめられた美味しいものがたくさんある。 懐かしい味 さて、友人ニコラの話をしよう。 おじいちゃんがギリシャ人でフランス人のおばあちゃんと結婚をしてお父さんが生まれ、お父さんもフランス人と結婚

      • 父と作る、お酒のつまみ

        父と二人で食事をするようになって、そろそろ4ヶ月になる。 ついこの間まで母も一緒だったのに、母が倒れてから二人っきりになった。 くだらない事で喧嘩ばかりしていた父と母 母がいなくなると、父はしょんぼりしている。 父は高齢の割には、まだまだいろんなことができる方だと思う。 ご飯だって作れるし、電車や飛行機に乗って旅もする。 放っておいても父なりに暮らしていけるのかもしれないけれど、 やはり、独りにしておくのはどうしても気になってしまった。 ご飯はいつも二人で作る。 元々無口

        • 伝説の赤い粉

          『音から入る美味しいもの』 なんとなく、音の響きで美味しそう!きっと好きな味に違いない! と思ってしまうものがある。 私にとっては『プレ・バスケーズ』がそうだった。 フランス語で『プレ』は鶏肉だけど… 『バスケーズ』って何? カゴかなんかに入ったフライドチキン!? はてな?だらけの頭の中で私はアレコレと想像を膨らませた。 『プレ・バスケーズ』とはバスク地方でよく食べられている鶏肉の煮込みだ。 バスケーズとはカゴではなく、バスク地方のという意味らしい。 トマトやパプリカ

          ジョージのピストゥスープ

          ジョージと夏の想い出 太陽の光が一段と眩しくなる季節。 近場の散歩から帰ってきて、車から降りるや否やマリア・カラスの歌声が道端に溢れ出していた。 それと同時に、決して上手とは言えないジョージの歌声もマリア・カラスと共にうるさく鳴り響く。 『また始まった!全くもう!!』 『ジョージ、ご近所に迷惑、いい加減にしてよ!』と 妻のイルミーヌは最高に不機嫌になる。 妻の留守中、自分だけの時間を大好きなオペラで楽しんだジョージは、妻の帰宅と共に現実に戻された。 顔を合わせた途端

          ジョージのピストゥスープ

          春の味覚、アサリと蕗の炊き込みご飯

          このところずっと雨。 寒くて、小さい楓の葉っぱが開こうかどうしようかと戸惑っている小枝には、 雨の雫がぶら下がっている。 隣の銀木犀の木の下では、蕗の葉っぱと石蕗(ツワブキ)の葉っぱが仲良く、空に向って葉を広げる。 冷たい雨に洗われた葉は瑞々しく、綺麗な黄緑色を放っている。 1. 蕗とツワブキの違い 蕗もツワブキも色や形も似ているけれど、よくみると違う。 蕗の葉っぱには産毛がある。 石蕗の葉っぱは厚みがあり、ツヤがある。 ツワブキは『ツヤブキ』が転じて『ツワブキ』と言わ

          春の味覚、アサリと蕗の炊き込みご飯

          寝ている間に美味しくなってくれるパン

          1.フランスの本物のパン屋さんとは フランスでパン職人になるには、まず国家資格が必要で、パン製造の実務経験も3年以上ないといけません。 そしていよいよパン屋開業となると、販売するパンも自分で作らなければなりません。 つまり、生地を捏ね、発酵、成形、焼成まで全て自分でやると言うことです。 えっ?当たり前じゃないの? と思った方も多いと思いますが、フランスでは自分でパンを作らないパン屋が存在します。 もし、フランスに行かれる機会があってパンを買ったら、そのお店の看板を見てみ

          寝ている間に美味しくなってくれるパン

          もう少し食べたい!と思える軽めのキッシュを焼いてみた

          1. キッシュはどうやって生まれた?16世紀頃、フランスのロレーヌ地方ではパンを共同で作るパン作りの日があったようです。 どこのお家にもオーブンがなかった時代、助け合いながらパンを焼くことが必要だったのでしょう。 パン作りの日は女性達は一日中働きます。 しかし忙しくても、食事は欠かせない、そんな時パパッと作って食べられていたものがあります。 それがキッシュです。 でも、今私たちがよく知っているキッシュとはちょつと様子が違っています。 一番の違いは生地かもしれません。

          もう少し食べたい!と思える軽めのキッシュを焼いてみた

          この季節、この食べ方が一番美味しいと思う、たまねぎのスープ

          昔、餓鬼大将だったあの子が、実はトイレに一人で行けなくていつも妹についてきてもらっていたとか、大人しかったあの人が、バリバリの起業家になっていたとか。 意外なことってあるもんだ。 そして最近、また1つ意外なことを見つけた。 それは玉ねぎの事。 野菜はなるだけ捨てる部分を無くして、食べれるものは食べてやろうという気持ちから、玉ねぎの皮のことを調べていたら驚いたことがあった。 私たちが普段食べている玉ねぎの白いたまの部分はなんと葉っぱらしい。 又、玉ねぎをパンと二つ割にし

          この季節、この食べ方が一番美味しいと思う、たまねぎのスープ

          早春に食べたい、菜の花を炒めるだけの   おつまみ

          このところよく雨が降ったり、たまには雹も降ったり。 風もピュンピュン吹いていて、気がつけば庭にいろんなものが飛び散らかっています。 やれやれ、、、 ポカポカ陽気の肌で感じる春はもう少し先になりそうですね。 買い物に行って近頃よく見かけるものが、菜の花。 アスパラ菜とかいろんな野菜の菜花も出ています。 菜の花にはちょっと苦味があるけど、これがイイ。 まだ寒いけど『春だね』と思いながら春の苦味を楽しんでいます。 春の苦味は冬にたまった余計なものをデトックスしてくれるそうで、早春

          早春に食べたい、菜の花を炒めるだけの   おつまみ

          菜の花を添えた春のポトフ

          ポトフとはポ・ト・フ 『pot au feu』 なんとかわいい音のひびきだろう。 ポトフの『pot』は瓶とか何かを入れる鍋の意味。  『au feu』は火の上に焚べるという意味で、火の上で鍋をコトコト煮た料理のこと。 フランスでは、昔は貧乏人が食べる料理とされていたけれど、18世紀頃に貴族の間でも食べられるようになったそうだ。 この『ポトフ』はフランス料理の基本の料理と言われていて、後にこのポトフから派生してオーヴェルニュ地方の『ポテ』や南仏の『ブイヤベース』が生まれた

          菜の花を添えた春のポトフ

          休日の台所ノート

          2月9日 冬のなごり、春の訪れ肌寒さを感じるこの季節には、まだ冬のなごりが残っていて、 はっきりと春を感じきれずにいる。 そんな時、あれっ?、ふきのとうだ。 日々の雑事に振り回されているわたしの目の前に、ひょっこりと現れた。 ぷっくりとしたフォルム。 いつ弾けようか、と秘めた思いをこの中にかくしているみたい。 芽が膨らむこの季節は、始まりの合図でもある。 そろそろお別れの牡蠣と合わせてアヒージョにしてみた 2品めはカラフルなにんじんのロースト。 焼くと甘い香りがし

          休日の台所ノート

          ほうれん草のカペラッチ

          冬野菜の1つ、ほうれん草 寒さに耐えるために自らの力で糖度を増す為に、寒い時期のほうれん草は甘い。 自然で、優しい甘さ。 緑の色も、春の訪れをどこかで感じながら、『いや、もうちょっと待っていよう』と、まだ少し我慢をする気持ちを漂わせた深い緑をしている。 冬のほうれん草は栄養価も高いそうだ。 ビタミンCが豊富だから免疫力も上がり、シミやシワも予防してくれる。 昔のアニメ、『ポパイ』では、彼がピンチになるとほうれん草の缶詰を素手で開けて口に入れるやいなやたちまちにパワー

          ほうれん草のカペラッチ

          台所と母、そして私

          小さな頃、父と一緒に裏山のお寺まで散歩することが日課だった。 毎朝、散歩ルート途中のある場所からちょっと見下ろすと、母が台所で朝ごはんを作っていた。 お鍋に入ったお味噌汁が美味しそうに湯気をたて、その横で母が手際よくネギを刻む音がする。 毎度の事なのに、母をみっけるや否や『ヤッホー、おかぁさーん』と嬉しそうに母を呼んでみる。 私の1日はこうやって始まっていた。 あれから何十年も経ち、私は今、私の台所で料理を作る。 悲しい時も、嬉しい時も、台所の音や匂い、昔の記憶やらと色々に

          台所と母、そして私