西海Freak Story① 「西海市大島町」
日本列島に照準を合わせる。次にスワイプをして九州を目指す。最後に、親指と人差し指を使い長崎県をピンチアウトすると見えてきた。大島は長崎県西海市にある北緯33度線に位置する島である。
大島の北方向には佐世保市があり、西海国立公園に指定されている九十九島というリアス式海岸に広がる島々が一望できる。九十九といっても実際には、208もの島々が連なる風光明媚な景勝地だ。
続いて南方向には、今にも雲に届きそうな火力発電所の煙突が印象的な松島が見える。春にはあの名曲のモデルとなった、「桜坂」に沢山の人が足を運ぶ。
更にその先には、かつてゴールドラッシュならぬ炭鉱ラッシュにて一時代を築いた池島がひょっこりと覗いている。
ここ大島の産業といえば、主に造船業である。巨大なドッグの中でバルクキャリアと呼ばれる、ばら積み貨物船を建造しており、職人達の様々な技術を熟し創り上げている。
至極当然な事だが、いざ完成した船を目の当たりにすると、きっとこの壮大な眺めに驚くはずだ。そんな職人達が日本の最西端から世界の物流を支えている。
そして今日も、ここ大島から鬨(とき)の声にも似た歓喜と共に一隻のバルクキャリアが出航した。
―――キラキラと光輝く水平線の向こう側へと導かれるように
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?