井上荒野「小説家の一日」感想~気になる、気になるー!10篇すべてが気になる~
冒頭からぷんぷんと匂ってくる歯の浮くような言い回し。
どうやら男は既婚者のようだ。
クズ男衆がプンプンするぞー!
↑の会話はスマホメールでのやりとり。
スマホのメールでやりとりする不倫カップルの内容が滑稽であればあるほどリアルで覗き見してるゴシップ感と、やめとけー!女友達目線で読むおもしろさ。
で、
・妻とは冷めていて愛がない。
・愛しているのは君だけ。
・子供が成長するまで待ってほしい。
紋切り型不倫クズ男を、書き手がどう料理するのかも読みどころだよん。
10篇からなる短編集で、冒頭に紹介した不倫クズ男を含む不倫を描いているのが3篇もある。
一番好きだったのは、不倫しているであろう小説家の夫のお話「好好軒の犬」
「あちらにいる鬼」のオマージュだよね。
っていうか、こちらは妻目線で書いているよね。
そして井上さんモデルの娘も登場し、最終篇「小説家の一日」でつながる。
なので不倫話もつながっているのか?と、深読みしちゃいましたが違ってました。
共通するのクズ男たちと、女たちは脆そうでいてしたたかなのだ。
冒頭の不倫メールの結末なんてホント震えるからー(((;"°;ω°;)):ガクガク
不倫クズ男は、妊娠を疑ったが違っていたと告白する女のメールで、「私たち」の文面の意味に気づき震えるのか?
それとも鈍感だからの能天気クズさでスルーするのか?
気になる、気になるー。
全250ページ弱で10篇とは、1篇は短いのに内容の濃さよ。
ラストの余韻が物語に深みをもたせ濃くさせる。
したがって10篇すべてラストのその後が!
気になる、気になるー。