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「おつかれ、今日の私。」「月夜の森の梟」感想~本当の意味での共感本二冊~
・本当の意味での共感とは?
本を読んでいると、うんうん、そうそう、わかるわかる、あるある...。
このような感情になることがある。
今回読んだエッセイ本たちは、わかるわかるの先にある、「あの時はこんな気持ちだったんだねぇ」と、想像を巡らす、本当の意味での共感本だった。
・「おつかれ、今日の私。」ジェーン・スー
誰にでも
ねぎらわれたい夜がある
つい頑張っちゃう人
必携の書をお届けします
今日の疲れは、今日のうちにさよなら
自分を慈しむセルフケア・エッセイ48篇
「人の意見なんて関係ない」と言えるほど自信もセンスもない。(本文より)
あらゆる人の顔をうかがっているのに、後輩の前では関係ないさー、おすまし大人顔してるけどホント自信なんてないのが本音。
もう二十八歳なのに...。
私にもそんな時期があったから。だけど人生は思ったよりもずっと長くて、しかも同じことを繰り返す仕組みになってるみたい。
私なんか、四十歳をとうにすぎてもまだリハーサル気分だよ。(本文より)
トレンディドラマのような恋はいつ訪れる?
期待してたけど肩透かし食らって失敗し、同じ生活リズムで暮らしてる。
40歳なんてまだまだ若い。65歳で高齢者って…。
そのときはリハーサルは終えてるのかしらん。
まだまだリハーサルな皆様も、眠りが浅く二時間おきに目が覚めてしまうのにもびっくりしますよね( ˘ω˘ ; )
えっ?朝までぐっすりよ、ですか~🐔
そして、世の中のたいていのことは、面倒と感動の対決で決まるような気がしている。(本文より)
noteで本感想を投稿するのもそう。
拙い感想でもまとめるのってめんどくさい。
でも、めんどくさをやり終えたとき、ささやかな喜び(感動)に満足している自分がいるものよ。
ジェーン・スーさんも私も、こんな気持ちだったんだね。
お互いに、おつかれー。明日もがんばりますか☆彡
🛀🌛
もう一冊は、
・読みたいと思いながら読んでなかったエッセイ本。
図書館で冒頭だけ読みはじめたら涙が止まらない。
勉強するJKの隣で鼻をすする女。
小池さん、あの日、あの時...。
こんな気持ちだったんですね。
悲しみと慈しみが、胸にしんしんと伝わる一冊。
・「月夜の森の梟」小池真理子
37年間連れ添った作家で夫の藤田さんを亡くし、四季の移ろいと共に喪失と向き合う日々を綴ったエッセイ。
夜、爪を切ると大切な人の死に目に会えなくなる。
縁起を気にする方ではなかった小池さんは爪を切るのは決まって夜。
父の時も母の時も愛猫も、そして夫も間に合わなかった。
その日々を回想しながら、今日も私は夜に爪を切る。
小池さんの姿を想像すると泣けてくる。
52編すべて、単純に「わかります」では収まりきらない感情が溢れ、あの日、あの時の出来事が目に浮かぶ。
「お守りマスコット」なんて嗚咽した( ;ㅿ; )
🌛🌛
互いがなくてはならない梟の番いが、やがて1羽になり静寂な深い森の中で呼びかける。
届く、鳴き声は届く。
番いの梟に、同じように喪失を抱える人に、私にも。