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朝比奈秋「あなたの燃える左手で」感想~気づきを見せてくれる一冊~

冒頭からトップギアを入れてるねぇ♡グイグイ引き込まれる小説もあれば、最初は...波に乗れずローギアからだんだんとエンジンがかかってきてじわじわ面白くなってくる小説もある。

本書は、じわじわと面白くなる一冊だった。

波に乗るとおもしろーい!!
最後は、心をぐわしと掴まれたYO。

🗾🗾

プラスティック爆弾を飲み込み自爆をしようとするシーンからはじまる。何?戦争もの...と思っていると、場面がかわって病院のベットで眠る男。

男は、ハンガリーの病院で勤めるアサトという名の日本人。
どうやらアサトは白人の肉体労働者の左手を移植手術したようだ。
どうして移植手術をすることになったんだろう...。

えっ!!誤診でーーー!

誤診で切断しなくてもいい左手を失い、左手を移植手術をすることになったのに...アサト冷静だね、もっと怒ろうよ。
自我を押し殺すことは強さじゃない思うぞ!なんて思いながら読み進めていくと、なるほど!!

自我を押し殺すこと、怒りを恥じることを美徳する日本人を移植された左手で例え、また移植された左手は国同士の争いによる望んでもいない分断と侵略のことも例えているんだ。

・皮膚色の違いは僅かながらも地図の国境のようにくっきりと分かれ、その境界で二つは馴染むことなく隣り合っている。(本文より)

アサトの妻はクリミア出身で、侵略と分断の歴史を持つ地続きの大陸で生まれ育った。
一方、私やアサトは他国との国境の持たない国で生まれ育った。

他国との国境を持たない日本

故郷を追われること、分断され(国)つなぎ合わせられること、正直よくわかっていなかったが、アサトの左手の苦しみ(幻肢痛)で伝わってくる。

またその苦しむは、日本人の傲慢さを表してもいるのも耳が痛い。

関係ない。
関心がない。
興味がない

他国で起きていることは、自国で起きるはずがないと信じている私に気づきを見せてくれた作品だった。

🗾🗾

【余談】

みなさーん。
建国記念日がいつなのか即答できますか?

「どの国でもね、子供の頃から、いつ、誰が、どうやって、今の国を建てたか、みっちり教わる。それが愛国心の始まりなんだ」(本文より)

がーん😨

知らない...ということで、次回は日本のはじまりについての作品を読んだので紹介しまーす。


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