「嫌知らず」の3つのパターン

「嫌知らず」って何?

みなさんは「嫌知らず」という言葉をご存知ですか。嫌知らずというのは「相手が明確に『イヤだ』と伝えてきても、相手が嫌がっていると気づかない人」の事を言います。


うちの夫は「嫌知らず」?

具体的にはどのような人のことをいうのでしょうか。
家で食事をしているところをイメージしてみてください。あなたの家族がクチャクチャ音を立てて食べていたとします。
あなたが「それはイヤだ」と伝えたとき、相手がどのように返事をする姿が目に浮かびますか?

「どうして?気にしすぎじゃない?」「これが自分の食べ方なんだけど」と返事する相手をイメージした場合、あなたの近くには「嫌知らず」の人がいる可能性があります。

何を「知らず」なのか

嫌知らずは読んで字のごとく「嫌」を「知らない」と言う事です。
インターネットには「嫌知らず」の事例がいくつも挙がっていますが、嫌そのものを知らないか、嫌とわかって行動がおかしいか、人によって解釈の違いがあるようです。

ここでは「嫌知らず」を以下の3つに分類して、それぞれの違いを紹介してみたいと思います。

  1. 嫌に気づけない

  2. 嫌を別の感情に解釈している

  3. 嫌への対応方法を誤学習している

1.  嫌に気づいていない

「イヤだ」と伝えたにも関わらず、嫌という気持ちに気づけない。
これは、先ほど出した食事中の例のようなケースです。
そんな人は「イヤだ」という言葉に対して「そんなわけがない」と、嫌を伝えた側の感情を否定して考えます。

そういった人は「自分にとって普通の行為なのになぜ嫌と感じるのか」「そのくらいで嫌と感じるのはおかしい」といったものや、恋愛関係であれば「自分が好意を持って行ったことだから、イヤと感じるわけがない」といったように、自分の感覚が正しく、相手のイヤという感情はおかしい、と思いこみます。

このような思考になる一因には家庭環境が関係している場合もあります。
道端でイヤイヤと訴える子どもに対して「イヤじゃないでしょ!」と感情を否定する親をみたことはありませんか?また、同じように子どもが身体的に痛い思いをして泣いている時に「痛くない!」と子どもが感じている痛さを無いものとしておさめようとする親もいます。

実際はイヤなのに、実際に痛いのに、親から一方的に感情を否定されたり押し付けられたりする環境で育った場合、相手の気持ちに寄り添ったり、理解したりする共感力が育まれない場合もあります。

2. 嫌を別の感情に解釈している

通常「イヤだ」と言われれば、その言葉通りに「ああ、イヤなんだな」と認識します。
ところが「イヤだと言っているけど、本当はイヤじゃないんだ」と解釈する人がいます。恋愛関係にも多くみられ、「イヤだと言っているけど本当は好きに違いない」「イヤと言っているけど、本当はもっとして欲しいという意味なんだ」と相手のイヤだという言葉はウソで、本当の気持ちが別にある、というように自分の都合のいいように相手の感情を置き換えてとらえているのです。

相手の気持ちの裏を読む、考えてみるというのは人間関係において大切な能力のひとつです。
しかし、自分の欲求や快適さを優先して自己中心的に相手の気持ちを解釈してしまうのは問題です。
こういった相手の場合、いくらイヤと言っても通じず、しつこくイヤな行動を続けてくる場合もあります。

3. 嫌への対応方法を誤学習している

「イヤだ」と言われたら、普通であればその行動を止めます。
ところが、「イヤだと言われたら、相手がイヤと言わなくなるまでそれをやり続けるべきである。相手がいつか折れて、イヤと言わなくなる」というような、イヤと言われた時の行動を誤学習をしているケースもあります。

このような誤学習をしてしまう一つの要因に、生まれ育ってきた家庭環境が影響している場合もあります。例えば子どもの頃から自分の「イヤだ」が親に聞き入れられず、行動を制限、もしくは強制される。自分が「いやだ」を言わなくなれば親は機嫌がよくなる、というような環境で育った場合、イヤだと発言するのは良くないこと、イヤだと発言する人はイヤだと言わなくなるまで続ければよい、という誤学習をしてしまう場合もあります。

また、自分の意見を通すことで快感や征服感を感じる、相手がイヤがる姿を見たいという歪んだ欲求からそれをやり続けるという場合もあります。これは夫婦や恋愛関係において、支配欲求の高い男によく見られる傾向です。

他にも「自分はイヤだと思われるような行動をする人だと思われたくない」という自己防衛の気持ちから、イヤという表明を無視することで自分の自尊心を傷つけまいとする人もいます。

「イヤという表明に対して気づかないふりをする。しかし、その行動を止めると気づいているのがバレる。だから相手がイヤと言っている行動は、自分にとって(社会にとっても)普通の行動である、やっても許される行動であると偽装するために続ける」という思考からイヤな行動を続ける場合もあります。

「嫌知らず」にどう対応したらいい?

今回は「嫌知らず」を3つのパターンに分けて紹介しました。もちろん分類方法は無数にあるでしょうし、ここに当てはまらないケースもあると思います。

イヤと伝えても、その行動を続ける人を相手にした場合、まずはどのパターンなのか考えてみましょう。

1や2の、イヤな気持ちが正確に伝わっていないケースでは、本当にイヤなのだという気持ちを伝える事で相手の行動が変わる場合もあるでしょう。

一方で、3の誤学習をしているケースは厄介です。相手がイヤな行動を続けるのがよいと学習してしまっているので、簡単には行動を変えさせられないかもしれません。

それが親しい間柄の人であれば、その行動が間違っている事を教えてあげるのもひとつです。あまり親しくない人であれば距離を置くのが最善の策かもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!