オレラント

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最近の記事

どうして「感想文」はつまらないのか

皆さん、最近感想文を書きましたか? 学生なら、最近書いたよ!と答える人もいるでしょうし、大人でもネットで本のレビューとかいっぱい書いてる!と答える人もいるでしょう。 ここでお話するのは大人になって自由形式で書く読書レビューのような文章ではなく学校教育で書く「感想文」の話です。 つまらなくない!私は学校の感想文書くの好きだった!という人も、是非少しだけお付き合いください。 感想文に潜む暗黙のルール 学校で書く(書かされる)感想文には暗黙のルールがあります。 起承転結

    • タイパの先にある世界

      皆さん、タイパの良い生活してますか? タイパとは「タイムパフォーマンス」の略で、単位時間あたりの効率の良さの事を言います。 つまり、なすべき活動を短い時間で成し遂げればタイパが良いという事になり、逆に時間がかかればタイパが悪いという事になります。 タイパが良ければ、行動を早く終えた分時間が余るので、浮いた分の時間を自分の好きな事に使えます。 人生において時間は価値の高い有限な資源です。その時間という資源を効率よく使えるのだからタイパが良くなるのは良いことだ、という事を

      • 「嫌知らず」の3つのパターン

        「嫌知らず」って何?みなさんは「嫌知らず」という言葉をご存知ですか。嫌知らずというのは「相手が明確に『イヤだ』と伝えてきても、相手が嫌がっていると気づかない人」の事を言います。 うちの夫は「嫌知らず」? 具体的にはどのような人のことをいうのでしょうか。 家で食事をしているところをイメージしてみてください。あなたの家族がクチャクチャ音を立てて食べていたとします。 あなたが「それはイヤだ」と伝えたとき、相手がどのように返事をする姿が目に浮かびますか? 「どうして?気にしすぎ

        • 叱る依存、夢のタッグマッチ(2)

          村中直人さんの「『叱れば人は育つ』は幻想」のレビューです。 前回はこの本が、村中さんの前作「『叱る依存』が止まらない」(以下、叱る依存本)の続編ではなく、実践本に近いものだという話をしました。 この本は対談形式になっており、最初の対談者は工藤勇一先生です。 工藤先生は教育、特に学校教育界隈では有名な先生です。以前、麹町中学校の校長を務めた事があり、その時に大胆な学校改革を行った事で一躍有名になりました。 ・校則は全部見直してスリムに。 ・定期テストは全廃して、単元ご

          叱る依存、夢のタッグマッチ(1)

          「『叱れば人は育つ』は幻想」という本が発売されました。これは村中直人さんの最新作で「『叱る依存』が止まらない」と密接に関係のある本です。 『叱る依存』が止まらないってどんな本? この本で「叱る依存」という概念が提唱されました。 叱る行為について、叱る側、叱られる側の心理的な状況や、叱るそのものの効果について論じています。 「『叱る依存』が止まらない」(以降、叱る依存本)の内容、レビューについてはすでに多くの方が語られているためそちらを探して読んでみて下さい。 特に

          叱る依存、夢のタッグマッチ(1)

          ChatGPTと「AIハラスメント」

          みなさん、ChatGPTを使ってますか? 最近、ChatGPTの「心」について考える機会がありました。 きっかけとなったのは、多摩美の教員の先生が投稿したひとつの動画です。 この動画は、2023年4月の入学生に対して多摩美術の教授が送ったメッセージビデオです。 ChatGPTに入学生へのメッセージを考えてもらい、その過程を動画にしたというもので、試みとしては大変面白いのですが、私は別の部分が気になりました。 まずは無心で読んでみて 私があれこれ言う前に、この動画に出

          ChatGPTと「AIハラスメント」

          学生必見!先生から「ChatGPTとバレない」レポート作成

          ChatGPTは秀逸な文章を書けます。でも、ChatGPTでレポートを書いても80%くらいはわかるよ、という教員の声がありました。 さて、この記事の前半をChatGPTに要約してもらいました。 これってある意味、ウチの生徒の書く文章はAIに負けてますっていう敗北宣言なのだけど、そこのところはいったんおいといて。 ともあれ、ChatGPTの文体は一貫性が高すぎる、整い過ぎているというのはその通りだと思います。しかし、みなさんご存じのとおり、ChatGPTは役割を与えればそ

          学生必見!先生から「ChatGPTとバレない」レポート作成

          ChatGPTが文学賞をとる日

          皆さん、ChatGPTに物語を書いてもらった事はありますか? 「ファンタジーの物語書いて」といったような、人間だったら「ふざけるな!」と言って机をひっくり返す依頼でも、ChatGPTなら文句も言わずに物語を語ってくれます。 気に入らなければ、書き直させたり、キャラクター設定を追加させたりと、とにかくどのような要求を出してもChatGPTは物語を作りだしてくれます。サービスと時間が続く限り、永遠に物語をしゃべらせ続けることもできるでしょう。 さて、AIが文学賞を取るような

          ChatGPTが文学賞をとる日

          chatGPT創作と、chatGPT疲れ

          このところ毎日のようにChatGPTによる創作物が発表されています。 先週、LINEの調査で、使用したことがあるのは全体で1割もいないとのことでした。 しかし、他のサービスと連携が進み、ChatGPTとして個別にアカウントを取らなくて良くなれば一気に普及は進むでしょう。すでにLINEのbotとして組み込んだ例もあり、そちらも盛況ようです。 https://otona-life.com/2023/03/17/163307/ さて、冒頭に話したようにChatGPTの創作が

          chatGPT創作と、chatGPT疲れ

          ChatGPTで「チャグる」と呼ばれる日

          みなさん、ChatGPTしてますか? この「ChatGPTしてますか」と入力するのはすごく煩わしいですよね。 パソコンであれ、スマホであれ、英字入力する必要があり、後半のGPTに至ってはすべて大文字です。 「検索する」は「ググる」って略しますよね。 言葉としてすでに短く、さらに日本語入力モードだけで打てる言葉であっても「ググる」というさらに短い言葉に略されるくらいです。ググるに限らずさまざまな言葉を短縮してきた日本人がこのまま「ChatGPTで〇〇した」という表現を使い続

          ChatGPTで「チャグる」と呼ばれる日

          AI時代、人にしかできないこと

          2023年3月20日、ChatGPTが世界を騒がせています。 いままではSNSでしか見かけなかった「ChatGPT」という言葉でしたが、先週ランチを食べている時に定食屋の隣のサラリーマンから聞いた時、ああ、SNSの中だけの流行ではなく一般の人達にも認知され始めたんだなと実感しました。 現在、ChatGPTでできることをあれこれ試し、教職員向けに教材などを作っています。具体的にどのような事ができるかは、別の機会に詳しく話をしますが、教職員の業務の範囲だけで見ても本当にCha

          AI時代、人にしかできないこと

          ボードゲームは学びになるか(4)

          前回、前々回と学びについて、論理的思考と経験則のスキーマについて考えてきました。今回はボードゲームにありうる学びの種類とその深さはどのくらいのものかについて考察してみたいと思います。 ゲームの難易度とはなんだろうボードゲームには難しいゲーム、簡単なゲームなどさまざまです。その難しさはどこからくるのでしょうか。ボードゲームの難易度を考える時にキーとなるのが基本能力とルド・ストラクチャーです。 まず基本能力について説明します。すごろくを例に考えてみましょう。すごろくを遊ぶのに

          ボードゲームは学びになるか(4)

          ボードゲームは学びになるか(3)

          さて、前回はボードゲームは学びになるかについて話を進めるために、そもそも「学び」とは何かについて考察しました。その中で学びの種類を以下のように分けました。 学びは「覚える」ことでる。覚える知識には未活性な知識と活きた知識がある コツや技などスキーマを身に着けるのも学びである スキーマを一般化(他に応用)するのも学びのひとつである さて、この3点を観点として分析をすすめてもいいのですが、スキーマの定義がまだ少し広すぎるのと、スキーマの程度(複雑さ)について測る材料がない

          ボードゲームは学びになるか(3)

          ボードゲームは学びになるか(2)

          さて、前回ボードゲームは学びになるかという問題提起をしました。しかし「学び」そのものについての認識が一致していないと話が嚙み合わなかったり、何かは学んでいそうだ(言葉にはできないけど)というような結論に着地してしまったりすることがあります。ボードゲームの学びについての話が迷走しないために、まずは「学びとは何か」という話から固めていきましょう。 まずは辞書で確認「学ぶ」を国語辞書で引いてみると「教えてもらっておぼえる。見習って知り覚える。勉強する。学問をする。」とあります。こ

          ボードゲームは学びになるか(2)

          ボードゲームは学びになるか(1)

          さて、遊びや学びなどについて考察を続けていますが、その発端となった疑問のひとつが「ボードゲームは学びになるのか」という問いです。 ボードゲームが好きな人、ゲームを使った知育活動を推進している人の間では「ボードゲームは知育になる、学びになる」という言説が有力に見えます。また、ボードゲームに限らず「すべての遊びは学びになる」と考える人もいますし、もっと突っ込んで「人生における活動はすべて何らかの学びがある」という主張をする人もいます。 最初に断っておくと、私もボードゲームはそ

          ボードゲームは学びになるか(1)

          「ボ育て」サバイバル(2)

          さて、前回はボ育てサバイバルの最初の心得として「ゲームを嫌いにさせない事が大切」という話をしました。また、ボードゲームを遊ぶにあたっては、ルールにどおりにできること、負けをみとめられること、カードや物をぞんざいにあつかわないこと、というスキルが必要な場合が多いという話をしました。 これらのスキルを身につける手段は、生活の中や遊びの中にたくさんあります。おにごっこや、ままごと、ブロック遊びなど、直観的に遊べる遊びの方が子どもにとってわかりやすい場合も多いですが、そこまで話を広

          「ボ育て」サバイバル(2)