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【古陶磁の逸話⑦:金森宗和と備前焼】金森宗和が茶会で使った備前焼を検証!江戸時代前期の古備前焼と姫宗和・金森宗和の逸話を古陶磁鑑定美術館が解説!

古備前研究・鑑定の古陶磁鑑定美術館です。

表紙(フチなし)

古陶磁鑑定美術館では、古備前焼を中心とした日本の古陶磁器の研究・調査・鑑定・評価・蒐集・保存・継承の事業を行っています。

みなさんは、『古美術品』という言葉を聞いた時に、どんなことをイメージしますか?

古い壺や掛け軸や茶道具などを大金で取引しているような風景を想像される方もいるでしょうし、美術館や博物館に陳列されている優雅な屏風や襖などをイメージされる方もいるでしょう。

それらの古美術品に共通することが、作品の『時代背景』です。

もちろん、作品によって、作られた時代や産地や用途が異なりますので、それぞれの時代背景は別々なものですが、どんなものであっても、『作られた当時』の景色を面影として残しているという点では、古美術品は同じと言えます。

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そして、この「時代背景を愉しむ」ことこそ、古美術品の醍醐味であり、数寄の真髄なのです。

なぜなら、古美術品を通して「悠久の時間を超えて歴史の当時に思いを馳せられる」ことこそが、数寄者の最大の面白みであり、悦びだからです。

とは言え、それを言葉で説明してもイメージが湧きにくいかと思います。そのため、このコラムシリーズにて、古美術品が「現役」で使われていた時代の風景を紹介して参ります。

具体的には、主に「戦国時代(安土・桃山時代~江戸時代)」にかけての、茶の湯や茶会の記録や、大名や武将の逸話をベースに、当時の古陶磁や古備前焼についてのエピソードを解説します。

古美術品や骨董品に興味がある方は、ぜひこのコラムで、歴史の面影を感じてみましょう。

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今回ピックアップする逸話は、「金森宗和と備前焼」です。

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【コラム①:「豊臣秀吉と備前焼」を読んでいない方はこちら

【コラム②:「千利休と備前焼」を読んでいない方はこちら

【コラム③:「明智光秀と備前焼」を読んでいない方はこちら

【コラム④:「古田織部と備前焼」を読んでいない方はこちら

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【コラム⑥:「荒木村重と備前焼」を読んでいない方はこちら

金森宗和は、古田織部や小堀遠州の影響を受けて、「姫宗和」と呼ばれた、優美な様式を作り上げました。

寛永文化を代表する陶工「野々村仁清」を見出した人物でもあります。金森宗和が好んだ茶道具や様式は、「宗和好み」と称されました。

古備前耳付花入 古伊部耳付花入 古備前花入 古伊部花入 古備前花生 古伊部花生 古陶磁鑑定美術館

江戸初期の寛永期の茶の湯は、小堀遠州の「きれいさび」が流行します。金森宗和も、それらの影響を受けながら、元禄文化へと繋がる「上手風」の様式を作り上げた一人なのでしょう。

今回は、そんな金森宗和が、茶会で使った「備前焼」をピックアップしてみました。

江戸前期を代表する茶人の一人、金森宗和の生き様を、当時の茶会記の記録から検証してみましょう。

古伊部耳付花入 古備前耳付花入 古備前花入 古伊部花入 古備前花生 古伊部花生 古備前鑑定委員会

金森宗和が茶会で使用した備前焼一覧(茶会記より)

【建水】
1653年 2月 京都 こほし備前
1655年11月 江戸 こほし備前

【水指】
1652年10月    備前水指塗ふた
1653年 9月    水さし備前
1655年 1月    水指口広古備前
1655年 2月    水指口広備前(2回)
1656年 4月    水指古備前(7回)

【花入】
1638年 1月 京都 床ノ窓ニ、備前物カ、ツノカタノ花入カケテ・・・
1653年 2月    花入備前
1654年 3月    床ニ備前花入(2回)
1654年11月    はな入備前瓢箪(2回)
1655年 8月    はな入備前くちニ梅花の耳有 へうたん(3回)

【茶入】
1652年 7月 京都 茶入 備前焼
1655年 4月 京都 茶入 備前

金森宗和は、茶会記を見ると、1652~1656年に備前焼を多用しています。

この期は、元号では承応元年~明暦2年に該当します。寛永時代と元禄時代に挟まれた時代で、寛永文化の影響を残しつつ、より瀟洒で優美な作風へと変遷した時代です。

細口花入

備前焼では、寛永年間に塗り土を用いた「伊部手」と呼ばれる様式が開発されましたが、それらを水簸して、よりきめの細かい土を使うなど、さらに上手風の作風に進化しました。

茶会記では、「瓢箪型」の花入が使われた表記が残っています。口に梅の花を模した耳が付いた花入ということで、宗和好みの優雅な作風がイメージされます。

伝来品では、初期伊部手の作風や、黒焼けした茶褐色の上手風様式の作品がこの期に該当します。

このような様式が、元禄文化に影響を与え、献上手などの技巧を追求した作風に影響を及ぼしていったのでしょう。

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このような「時代背景」を知っていると、当時の大名や武将を身近に感じたり、歴史の遺物(伝来品)に愛着を感じたりできるようになります。

そんな、安土・桃山時代~江戸時代にかけての備前焼を通じて、金森宗和が生きた時代に思いを馳せて見ませんか?

表紙(フチなし)

古陶磁鑑定美術館のホームページでは、書籍「古備前焼の年代鑑定」の出版記念展覧会として、金森宗和が生きた安土・桃山時代から江戸時代にかけての古備前焼の名品を、オンラインで特別に公開中です。

戦国時代の茶人や大名は、一体どんな備前焼茶道具を使って、茶の湯を行っていたのか?

その答えを、実際の「伝来品」を通じてみることができます。

ぜひ、ホームページをご覧ください。また、書籍「古備前焼の年代鑑定」を宜しくお願い致します。


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