447Records 1st & Last Live!「 #Afterword 」ライブレポート――コロナ時代の終焉、心からの愛
以下の文章は全てノンフィクション <3<3<3
447Records(よんよんななレコーズ)。
作曲家でプロデューサーのエハラミオリさんを代表に立ち上がったその音楽事務所は、2020年5月というコロナ禍の序章から始まり、コロナ禍が終わりつつある2023年3月19日にかけ運営。3年という期間で幕を閉じた。
さて、その事務所の最後を迎えた2023年3月19日。
最初で最後となった447 Recordsガールズ(メンバー)によるライブ「Afterword」が開催された。
今回は解説と共にライブレポートをお届けしよう。
▼2023年4月30日までアーカイブ視聴可能 買え!!!!! ついでにメンバーのグッズも買って!!!!!!
いつも別れは突然にやってくる
なぜこれ程にVTuberの別れは突然にやってくるのだろうか。
2023年1月6日、447Records公式Twitterが更新され、ライブをもってメンバーのヨシナさんが活動終了し、447Recordsの解散することが発表された。
さらには同時に、エハラミオリさんの音楽活動休止も発表され、今回のライブはこれまでVTuber音楽の一時代を築いた彼女たちとエハラミオリ(じーえふ)という一時代の終わりを意味するライブになることは開催前から明白だった。
すべては秋葉原で始まり、終わる
エハラミオリさんは、5年前に秋葉原UDX 4階で開かれたあんたまのイベントに参加したのちに、公園で号泣し、ツイキャスを開いていた男は次第にVTuberの世界でライターや作曲家として名乗りを上げていき、カルチャーの一端に寄与した。
そして4年前の2019年3月1日、秋葉原 ウラ・エンタス(秋葉原エンタス)では、VIRTUAFREAK Vol.2が開催。
そこにはまだ名前をじーえふと名乗っていたエハラミオリさんの姿があった。
そこで発表されたのは、
ヨシナプロジェクトの発表
蒼乃ゆうきのマネージャーの就任
斗和キセキプロデューサー就任
Marple(現Marpril)ディレクター就任
という後に大きくVTuberのカルチャーを大きく動かす内容ばかりだった。
中でも斗和キセキは「アストレイ レッドフレーム改に似ている」という内容が話題になり、一躍人気に。
Marple(現Marpril)も今やVTuberのクラブミュージックに欠かせない存在になった。
一方、他ふたつに関しては447Recordsに直接関係するものだ。
ヨシナプロジェクトは、今回活動終了を発表したヨシナさん、蒼乃ゆうきは現在名を改めて活動するアオノユウキさんのことだ。
447Recordsに所属する2人はこの秋葉原エンタスからVTuberの道が始まったのだ。
加えて、メンバーの柚子花さんはこうしたエハラミオリさんがVTuberに携わっていく様子を見ており、デビュー前にプロジェクトが解散し、個人のVTuberとデビューすることを決めたときにエハラさんに相談をしていた。
そうした背景が今柚子花さんが447Recordsに所属しながら活動することにつながった。
(なお、Lily lemonade Moneは447 Recordsからデビュー。秋葉原エンタスでもDJプレイの中で曲がかけられることが多々あったように思う。)
そして、こうした背景を持つ447 Recordsが秋葉原エンタスで解散をするのだ。
単純に「エモい」という言葉では片づけられない、5年、4年の重みを体感した。
コロナ禍で見たことがないほどの会場の人数
天気はすがすがしい晴天。
電車に乗って空を見た際には、あまりのすがすがしさに「きれいだな」と思った。
筆者が現地入りしたのは17時40分頃。開演20分前ほどだった。
しかし、どうだろうか筆者が秋葉原エンタスに行ったことのある経験(7回ほど)の中で、見たことのないほど多く観客がスクリーンの前に立っているではないか。少なくとも100人はいただろう。
バーや物販にも行列ができており、いつもは常連が屯する木目のフロアーには物販を買いたい客とフラワースタンドを撮りたい者、プレゼントボックスに物品を入れる者しかおらず、いつものようにその場で談笑する者も少なかったように感じる。
筆者が見てきた秋葉原エンタスは、スクリーンの前に食いついてライブを見るよりも、知人とフロアで談笑している方がよく記憶に残っている。
今回これほどまでに人が集まり、スクリーンの前で開演を待っていたのは、本当に彼女らを熱心に応援し、彼女らの音楽が好きだったのだろう。そう開場前に感じ取ることができた。
4人による開場前アナウンスでは、直前に迷子になっていたアオノユウキさんの声が聞こえると「間に合ってよかった」というオーディエンスの声が聞こえた。今回はマスクをしていれば、声出しが出来るシステムになっていた。
開演直前に、秋葉原エンタス主催・TAKUYA the bringerさんは「この後暑くなりそうな方」と観客に反応するよううに促した。
その質問に会場の一同は野太い声で「はーい」と手を上げた。
見る限りではほぼ全員が上げていたように見受けた。
TAKUYA the bringerさんは「わかりました、じゃあエアコン入れます!」の一声。開演前からファンの心は一体となっていた。
Emotion Lucky
開場、配信ともに暗転すると、きらきらとした音が聞こえてきた。
447 Records全体曲「Emotion Lucky」をガールズ4人で歌った。
4人は曲の最中、大はしゃぎ。特に3Dであるアオノユウキさん、ヨシナさん、柚子花さんの三人は曲のMVにあるようにジャンプや腕を上げながら、演者自らも盛り上がっていた。
イメージカラーに合わせて4本のサイリウムを振るファンの姿も見られた。
MC
曲が終わると、背景が黒くなり、そのままMCパートへ。
ヨシナさんが「みなさーんこんばんはー改めて私たち447 Recordsです!」とあいさつ。
「精一杯あなたの心臓の真ん中にまで届くように、歌わせていただくのでよろしくお願いいたします。」と丁寧に自己紹介をした。
続いて、アオノユウキさんは「続きまして、みんなのー、スーパー……なんだ私は!?」と抜けたそぶりを見せた一方で、「ゆうきちゃん」とコールするように促すと、オーディエンスの盛り上がりが足りないと「声が小さい!」と煽った。
続いて柚子花さんも「何も考えてなかった」としつつも、久しぶりにエンタスに来れてうれしいと述べ、「今日はたくさん盛り上がっていきましょう」とポーズをきめてこぶしを大きく上にあげた。
Lily lemonade Moneさんは「電脳にゃんこシティーからやってきたLily Mone、リリモネだ!」と言いながらも、声の調子が悪いと感じたのか、咳払い。柚子花さんから「いけんのか!?」と煽られ、「やれるぞー!」と応えた。
今回のライブはファンのみならずガールズにとっても待望のライブでもあり、MCの中でも「やっとですね」「嬉しいね」などという掛け合いをしていた。
これが最初で最後のライブである一方、ヨシナさんが「たくさんたくさん頑張りますので、笑わせますので」という言葉の通り、悲し気な雰囲気はなく、会場は常に笑顔と笑いの絶えない暖かいムードに包まれていた。
ソロパートへ リリモネ「モネ活宣言」
「初ライブども……」とライブオリジナルリリックで始まった、ソロパート。Lily lemonade Moneさんの「モネ活宣言」が流れ始める。
コールアンドレスポンスを特徴とするこの楽曲。
ファンたちは「お前が一番❗️お前が一番❗️お前が一番❗️モネにゃーん😻❗️ネコ耳最強💘❗️しっぽも最高💘❗️アイドル大賞🎊㊗️🎉❗️モネにゃんかわいい、超かわいい❤️❗️すきすきだいすきやっぱ好き😘❗️やっと見つけたお姫様🙏❗️おーれのおれのモネにゃーん😻❤️❗️」というコールを現地で恐らく初めてしていたが、寸分の狂い無く声が揃っていた。
こんなにも声が揃ったコールを出来る現場も他のVTuberでは中々ない、このコロナ禍が終わったと感じさせるぐらいのファンの威勢は最早感動するまであった。
これを見るだけでも満足と思えるほどの演目だった。
柚子花「ハルカゼストリート」
しっかりとコールで全力を出した後は、チルを持ってくるセトリの良さ。
ピコピコサウンドとストリングスを基調とした柚子花さんの「ハルカゼストリート」が流れる。
サビに入ると、柚子花さんの合図に合わせてオーディエンスも合わせてクラップをし、「はい! はい! はい!」と歓声を上げる。
「はしゃいでるかーい?」との煽りもすごく柚子花さんらしく、バーチャルライブを通してライブ慣れしているからこそ、しっかりオーディエンスを盛り上げるためにあおりや振りを入れていたと思う。
アオノユウキ「ラストゲーム」
次は柚子花さんの合図でアオノユウキにバトンタッチ。
ロックナンバーである「ラストゲーム」を歌った。
楽曲の題名の通り、今回447 Recordsによる「ラストライブ」になった今回。
これまでのライブの流れでのアイドルシーン寄りの盛り上げ方というよりも、ロックシーンにあるような煽りで「秋葉原エンタス!!! まだまだ持ち上がっていけるのか!!?????」「あーだめ全然だめ」と場を盛り上げる。
ヨシナ「撃鉄」
連続してロックな「撃鉄」をヨシナさんが歌う。
「大層なこった」、「よく出来ました」。
と可愛らしい声に合うリリックながらも、追撃を刺すような歌詞の多い歌詞がギターと共に轟いていく。
サビに入ると英語と日本語が混じり、ロックらしい展開をしていた。
歌い終えると「私たちのライブはまだまだこれからですよー!」「まだまだまだまだ盛り上がっていきましょう!!」と拳を上げ、アオノユウキさんを紹介した。
再びのリリモネ「天上天下オトメ」
Lily lemonade Moneさんのソロ曲は最後となるといい、歌い始めたのは「天上天下オトメ」。大きな月と思われる天体をバックにエレクトロ・ポップを歌う。
場も「いくぞー!」といった声に合わせて、オーディエンスもしっかりと声を合わせコールをしていた。
再びの柚子花「sweet things」
数多くのオリジナル曲を持つ柚子花さん。「今回は447 Recordsのライブなのであの曲を歌います」ということで、「sweet things」を歌う。
歯車と時計のイメージを背景を、リズミカルに歌っており、本人も歌うことが楽しそうな様子だった。
アオノユウキ 養命酒のバズ。歌姫として歌う「Regret」
再び登場したアオノユウキさんは、MCで「本当は歌が歌いたかったのに――」と回想した。
雑誌「Vティーク」に掲載されることにされた際に、紙面のリンク先に飛ぶと全く他人のTwitterアカウントに飛び、そのプロフィールに「養命酒」と書かれていたことがきっかけに、彼女は養命酒と呼ばれるように。
意図しないインターネット交通事故は、彼女の望み通りの活動が出来ないようになってしまったようだった。
その後、447 Recordsに移籍した際に蒼乃ゆうきからアオノユウキに改名し、初めて歌った曲がこの「Regret」だった。
ライブでは、447 Recordsの中でも最もロックで荒いギターサウンドに合わせて、ロングトーンを披露。しっかりと今の衣装にも似合うクールなロックシンガーとしての一面を見せた。
ヨシナ――眩しすぎた世界にさよなら
ここで暗転後、再び登場したヨシナさん。
「みなさーん! ヨシナですよ~」と、スクリーンの左右に手を振る。
この時にはすでに、前方の何人かのファンは、前を見れず、下を見て顔を手で覆って、すすり泣きを始めていた。
MCの最中「ここまで本当に歩んで来れたこと……」と言い始めた時だったろうか、「少しお話をさせてください……」と言ったときか。
会場の空気が音もなく、変わった。
いや、正しくは音がヨシナさんの声とTAKUYA the bringerさんがつけたエアコンの音しか聞こえなくなったのだ。
それまで少し談笑をする声が聞こえることがあったMCパートだったが、この言葉を言い始めた瞬間、何の音がなくなったかすらも分からない。
しかし間違いなく、今までの和気あいあいとした空気から、一変して寂し気な空気に様変わりした。
そして、ヨシナさんが歌ったのは、とても新しい楽曲だった。
また、その曲は447 Recordsとして最後の作品だった。
ヨシナさんはタイトルコールをする。
「ラブコメディ」。
あの前方のファンたちは涙を浮かべながら、なんとか再びサイリウムを振ろうとしていた。
ラブコメディ——「願わくば その先まで」というデイドリーム
「紆余曲折振り返ってここでエンディングだ」。
まさに今見る光景そのままのリリック。
オーディエンスは先程の興奮とは変わって、応援の声もこころなしか元気がない。
いくつものコンテクストや記憶が重なった歌詞がよぎるたびに、筆者も涙が流れてくる。
儚い願いながらにも、「そこに居て」と願ったファンがあの場にどれだけいたことか。
しかし目の前にいる、ヨシナさんはクライマックスを迎えようとしている。
どうにか応援しようとサイリウムを振ったり、応援しようとする様子から、いかに彼らがヨシナさんを愛していたかが伝わってくる。
ただ、熱量の差があってもあの時ばかりは、筆者も同じ思いを持っていた。
歌い終わる間際、「願わくば その先まで」とヨシナさんが歌ったとき、少しそこだけはヨシナさんが泣いたような声に聞こえた。
曲が終わり、暗転する。
会場にはすすり泣く声と、空調の音だけが聞こえる。
静粛とした会場。
筆者はここで終わりかと思っていた。
しかし、暗くなってひと時の間が経って、
ヨシナさんの声が聞こえる。
「みなさん――ほんとうに、ほんとうに、
愛しています
あなたの心臓の真ん中にまで
この歌声がずっと、ずっと、届きますように――」
そして、聞こえ始めたのは「ツバサ」だった。
ツバサ——その時、顔は笑っていた
Yoshina Projectは、クラウドファンディングを募ることで最初の一歩をふみだした。
「ツバサ」は、そのリターンとして公開されたもので、この最後の間際までフル尺の音源が公開されることはなかった。
季節は春、きっと外が見られれば夕暮れになっているだろう時間。
そしてこれは、彼女とファンだけの時間としては、最後のひと時。
もちろん逃げ出すファンなどいない、オーディエンスはグッと気持ちをこらえながら自らの心臓に届いたその音を感じ取っている様子だった。
「いくよー!」とBメロに入ると元気そうな様子を見せたヨシナさん。
その顔は笑っていた。
ラスサビに入ると、思いっきりジャンプ。
ha-ha-ha-と声をきれいになびかせた。
ヨシナさんが「ツバサ」を歌い終え、再び会場が暗くなると、
そこにはヨシナさんにありがとうと伝えるために叫ぶ者も多くいた一方で、
ただただ下を向き、虚ろになるファンもいた。
愛されてるからこそ、ファンの気持ちがすべて背中で現れていたように思う。
447GIRLSの放課後ラジオ 特別回!!
画面が切り替わると、オーディエンスがざわつき始める。
なんとその画面には447 Recordsが行ってきた配信企画「447GIRLSの放課後ラジオ」のあのイラストが表示されたからだ。
最終回を迎えていたはずだったが、今回1時間生で行うことになった。
まずはヨシナさんが企画した「ないしょの宿題」の公開からコーナーがスタート。
ヨシナさんが「ミオリさ~ん」と呼ぶと、現場袖にいたエハラミオリさんが「はいは~い」と答え、オーディエンスはまさかの最もヒートアップした状態に。
場内は「エハラアアアアアアアアアアアアアアアアア」の声で埋め尽くされた。
アオノユウキさんはその様子に「うちらより人気じゃん、くそぉ!」と悔しがる様子を見せていた中、エハラミオリさんは「静まれい!」とその場を落ち着かせた。
宿題ではメンバー全員がエハラミオリさんの似顔絵を描いた。
宿題提出後には、ヨシナさんから、さらにサプライズで全員に手紙をプレゼント。
みんなこの場で読むことなく(アオノユウキは開けてしまったが)、持ち帰ることにしていた。
フリートークの中では、エハラミオリさんにもトークがパスされ、
「みなさんありがとうございました。そして、お疲れ様でした。楽しかったです。とっても嬉しかったです。悲しいこともありました。まぁまぁつらいこともありました、でも今日楽しかったです。」
とシンプルながらに感謝の気持ちを伝えた。
突っ込みをガールズから喰らいながら、オーディエンスはその言葉に「ありがとう」「お疲れ様」と労いの言葉をかけていた。
ラジオ中にはクラウドファンディングで公開されていた限定アルバム「コドウ」を24時に公開することを発表。
柚子花さんはタイミングよく「会場の皆さん今のお気持ちをどうぞ!」といい、オーディエンスは「ヨシナー! ありがとう!」と叫びをあげた。
そこからは、みんなに「愛してるよ」パートに。
アオノユウキさん(在庫500あるらしいです)、柚子花さん(物販はboothへ)、リリモネさん、エハラミオリさんの名と「愛してるよ」を彼女ら(と彼?)に向けて叫んだ。
ヨシナさんは「今一番思っていることを叫んでいいですか?」と「みなさーん、愛してるよ」と1人会場に向けて叫び、泣き出してしまった。
柚子花さんは「ヨシナちゃんありがとう」。リリモネさんは「今まで支えてくれてありがとう」。アオノユウキさんは「ヨシナ―! お前はずっと! 俺の嫁だー! 愛してるぞー!」とそれぞれの気持ちを伝えた。
和気あいあいとしながらも、ボロボロ涙を流す。
このnoteですべてを文字起こしはできないが、ずっと愛に満ち溢れ、感情が慌ただしいラジオだった。
柚子花さんは「すごく惜しいんですけども、お時間が限られております。」とふり、
ヨシナさんは「泣いててもいいので、もうめいいっぱい楽しみましょう。」「みなさんは楽しむ準備できていますかー?」とレスポンスした。
続けて、ヨシナさんは「せーのでタイトルいえますか?」と足並みをそろえようとするが、そこでポロっと柚子花さんが「Girls kHzね」と言ってしまった。
これにはガールズもオーディエンスも大爆笑。
涙が吹き飛ぶぐらいの笑いに包まれていた。
悲しすぎない、幸せなエンディング。
その空気を作れたのも、このハプニングのおかげだったかもしれない。
せーので合わせようとしても、しまらないガールズだったが、ヨシナさんが「聞き忘れてたことを聞いていい?」とガールズに問う。
そして、彼女は会場に向けて「みなさん、わたしたちの歌声は心臓の真ん中まで届きましたか?」と聞き、オーディエンスもしっかりと「届いたよ!」と答えた。
ヨシナさんの「じゃあ、歌いましょうか」「いい? いくよ?」を合図に、
ガールズは「Girls kHz」を息を合わせてタイトルコールした。
Girls kHz
ヨシナさんは「みなさん、最後の曲ですよ! 盛り上がっていけますかー!」と会場を盛り上げようとする。
今回、会場の営業時間の関係上、アンコールは出来ないことが事前にアナウンスされていた。
オーディエンスも「この時間は永遠じゃない」と「これが最後だ」としっかりとわかっていたのだ。
ガールズは先ほどまでの涙から変わって、しっかりと元気に歌う。
曲に合わせて手を振り、オーディエンスもそれに合わせて手を横に振る。
彼女たちの「楽しもう」という言葉を守るように、空気も少し楽し気な様子だったように思う。
最後にヨシナさんは「みなさーん、今ままで応援していただき、本当に本当にありがとうございました。」と叫び、ヨシナさん、アオノユウキさん、柚子花さん、リリモネさんが名乗り、「447 Recordsでしたー!」の言葉で、447 Recordsは幕を閉じた。
オーディエンスは、とびきりの拍手をし、中には「愛してるよ」と叫ぶものや、拍手の間合いには我慢できず崩れ泣くような声が聞こえた。
遠目であはるが、エハラミオリさんも舞台袖で少し泣いているような素振りをみせていた。
こんな慌ただしく、楽しく、感動して、涙が出てくるライブは、どんなアーティストのライブであっても、2度と経験出来ないだろう。
こんなにも素敵なライブは早々にないのだから。
最後に――”宛名のない”独り言
最後に少しPSを付けたそうと思う。
これは自分で思ったことを書いた文であるから、”手紙”ではなく、”独り言”だ。
私は過去、これほどまでに愛されたVTuberの最後を見たのはキズナアイとココツキのラストライブだった。
この2組は筆者にとってはどこか、なにかが消化不良だった。
でもヨシナさんは違った。
自分たちの決めた区切りに向かって全力で作品を作って、それを出した。
その結果が「ラブレター」だったと思う。
私は恐らくあの最前列でサイリウムを振っていた彼らとは全然本来の熱量は違ったと思う。
ヨシナさんがツバサを歌い始める前、実は3年前の様子がフラッシュバックした。
447Recordsが立って、柚子花さんなどが参加した時やアオノユウキさんが参加したと発表されたときはびっくりしながらも、めちゃくちゃ嬉しかったし、展開を楽しみにしていた。
当時、一番応援しようと思った箱だった。
だから支えようってずっと447Recordsの常設の音楽ラジオを聞いていた。
次第とラジオを聞いていく人数が少なくなっていき、ほんの数人の時でも私はそれをBGMに作業をしていた。
――そんな発表された様子や、ラジオを聞いていた画面の光景がふと走馬灯のように駆け巡ったのだ。
その時にこう思った。
「ああ、自分ってこんなに447 Recordsがすきだったんだな」と。
自分がいざ参加してみて、曲が分かるのか少し不安なところはあった。
以前にもVTuber楽曲10選の企画noteでも書いているが、多忙の中でVTuber楽曲をかなり限られた部分しか聞けていないから、「447も分からないものが多いかもしれない……」。
そんな不安はよそに、いざ参加してみたら殆ど知らない曲などなく、みんな好きな曲ばかりだった。
残念なのは「The Rain Tree」が手元にないことだろうか。
フィジカルで手元に残したかったと今では思う。
だけど正直、何度も泣きそうになったし、
何度も気づいたら目から雫がマスクを濡らしていた。
終盤のMCに対して「愛してるよ」にこっぱずかしく、ちょっとコールよりも控えめになった声を出したが、でも今だったら言える。
多分自分も447 Recordsのガールズ、そして彼女たちの音楽、エハラミオリさんが描くものを愛していたんだなと。
本当に心の底から、ガールズに感謝を込めて
「ありがとう」と伝えたい。
ヨシナさんとエハラミオリさんにお疲れ様を。
柚子花さんは、まじでツイートで色々心の内を出してくれてありがとう。本当にファンとして助けられました。
アオノユウキさんはいつまでも元気でいてくれ……! 元気でいるとこっちも元気になる。
リリモネさんもお疲れ様、今も先もどれくらいはなく、待ちますよ。
リリモネさんは歴史に残るなんてことをMCで言っていた。
VTuberの歴史保存なんて活動をする人はもう私くらいになってしまった。
だから、これは私たちがこのライブを語り継ぐしかない。
これがせめてものお返しになると思いたい。
感謝と愛を形に、このライブレポートを後世に送ろうと思う。
(古月)
余談
リリモネさんは「エハラミオリは歴史上においても重要な人物で~」と切り出す一幕について、もう少し。
個人的にこのnoteのためにも久しぶりにエハラミオリ(じーえふ)さん中心に歴史を振り返ってみた。
そんな最中、年表で「じーえふ」と検索すると、2018年3月19日。つまりちょうどこのライブが開催される5年前にその文字列があったことに気づく。
「雨下カイトがVRChatでじーえふ(現: エハラミオリ)と遭遇」。
なんやこれ?という具合だった。でもちょうど5年前がヒットしたのだ。
さて、私も先代のうぇるあめ氏から受け継いでいるため、よくわからない内容だったのだが、ソースを調べてみた。
そうすると、エハラミオリがじーえふ時代に泥酔してVRChatに参加していて、その際に雨下カイトが遭遇した配信がヒット。
「じーえふくん、もっと好青年かと思ったら、結構やばいやつだった」
と言われる始末。なんか、偶然の一致とはいえ、こういう偶然も含め、すごく彼っぽいなって思った。
Afterword(あとがき)
遅すぎた恋よ、遅すぎた愛よ、遅すぎた手にさようなら。
いつの間にか、背負いたくない荷物も増え、
失うことばかりの夜を何度も経験した。
「悲しみ苦しみの中に何を見つけたんだろう」。
そう悩んだこともあった。
もし、あのVTuberが今こうなっていれば――
そんなことを考えるのが日常になった。
「オセロみたいに裏返ればいい」
そんな幻想を抱いて、ありふれたフィクションに夢追いかける。
でも、願わくば その先まで。
その先まで何かが残ってくれればいい。
アルバムを残せるのは自分たち。
笑えない冗談も冗談と思えない話も、全てがヒストリー。
本当に自分の言葉で最後に書かせてください。
「すべてのVTuberが、すべてのVTuberとして活動したものが幸せでありますように。」。
古月
End.