企業勢? 個人勢? それだけじゃないVtuberの運営形態
注記: 当記事はいかなる団体・個人の見解ではなく、私個人の見解と一部経験、見聞に基づくものであり、実態とは異なる部分がある可能性があり、私個人が関係する運営各団体と当記事は一切の関係はこざいません。なお、当記事に関する抗議/紛争につきましては、Twitter、@ran_koga_masまでにダイレクトメール(DM)にて受け付けます。
古月です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はVtuberの音響まわりの調整を行っており、いわばVtuberスタッフです。
さて、今回はそのVtuberの運営とはいかに行われているか、経験や見聞を元にお話します。
なお、この記事はメタ要素や現実的な話を十二分に含みますので、苦手な方は引き返してください。
まず、Vtuberの運営には大きく2種類あるとVtuber界隈では言われており、企業の運営する所謂「企業 勢」、個人が運営する「個人勢」というものがありますが、私はこの2つの括りではVtuberはまとめきれず、実態的に少し違うものだと思っています。
では、どのような運営が考えられるのか。企業系と個人系に分けて、順を追って解説したいと思います。
完全に企業勢
主にこの人たちは一般的に「企業勢」と括られるまさにその人たちです。正社員、契約社員、マネージメントの契約をしたタレントなどとして働き、企業の事務所やプロジェクトに参加して、企業の資本力に守られながら活動する。資本があるから、企業勢は強い」といった話が言われる1つの理由となっています。
ですが、ベンチャー企業の一部は多額のスパチャを投げられようとGoogleとAppleに手数料を持っていかれ、税金を引かれるといった実情がありますので、投資家からの投資で成り立ってるところもあるというわけです。
実際にVtuberが辞めていく中には企業の資本的問題を背景とした例も複数あり、企業方針とバーチャルタレントと企業と密接な関係性にあるのが最もな特徴でしょう。
企業型個人勢
企業が主催するプロジェクトなどに所属するだけで企業勢と言っていいのかというと、私は疑問に思います。例えば、upd8やV-Clanといったプロジェクトは確かに企業が主催していますが、これはあくまで互助会であり、企業は仕事をふることを主としてしています。それであるからして、所属するVtuberも「企業勢ではない」と断言する配信の例も過去に存在します。
更に、Vtuberの中には「立ち絵などは企業に提供してもらっているが、長らくVtuber活動に関しての連絡が会社からない」「企業方針はあるが、活動は個人に任されている」といった者がいます。
私はこれらの企業に関わりながらも個人勢のように活動するVtuberを企業型個人勢と呼んでいます。
企業が関わりながらも、企業の干渉を受けないのはさほど個人勢と変わりません。
ですので、私はこれらを企業型個人勢と呼んでいるのです。
完全個人勢
一方の個人勢です。個人勢の中でも個人勢と言えるのがこの完全個人勢と言えるVたちです。
完全個人勢は、ほぼ自分だけで活動を行い、一部自分に出来ない必要な技能を外部のクリエイターなどに受注するなどして、活動をしています。
活動形態としては最もシンプルであり、運営主体はひとりではじめられるため、少額のお金さえあればあなたもすぐに始められるのがこの完全個人勢の特徴です。
個人サークル/ベンチャー型勢
さて、ここからが私が話したかった本編ですが、個人勢というものは個人が複数人で集まって運営していようが個人勢と呼ばれます。私はこれについて常に違和感を覚えてきました。
個人サークル/ベンチャー型は、運営主体はサークルやベンチャー企業化した個人の集団です。この集団には、ディレクターやプロデューサーといえる立場の人物、演者、イラストレーター、Live2Dエンジニア、3Dクリエイター、ミックスエンジニアなどがのクリエイターがおり、1人または複数人のVtuberを手掛けています。
この運営形態の特徴は、第一に安定的なクオリティーを出すことが可能になることでしょう。Vに関わるクリエイタースタッフが固定化することで、そのVを手掛けるうえでのノウハウが蓄積されるだけでなく、ディレクターやプロデューサーといえる人物と演者の相互理解が深まり、クリエイタースタッフは創作しやすさがあがります。また、定期的に作るものや先々の予定まで決めておけば、クリエイタースタッフは予定を立てやすくなり、フリーのスタッフはやりやすくなることでしょう。
また、外部スタッフの内部への取り入れを行うことで人気クリエイターや熱心なファンのいるクリエイターがスタッフに入ることで、運営するVtuberのファンに取り込むことが可能になります。
このようなクリエイターを入れることでの利点も多くあり、個人個人の負担が軽減されることから増加傾向にあり、現在「個人勢」と呼ばれているVtuberの実際はこのようなサークルやベンチャー企業が運営するケースがいくつもあります。
Aのケースのような形の様に、サークル型とベンチャー型は、他の個人勢とは異なり、運営主体が演者にないケースがあります。トップとなるプロデューサーが創作をしながら指揮をするプロデューサートップダウン型では、外部から演者を呼んでくるケースもあります。プロデューサーは映像編集(この図にはありませんが)やイラストレーターを兼任するケースもあり、ただプロデュースしているだけでないことがあると思います。
Bのケースでは、Vtuberの演者中心の運営形態で、個人勢に親しいですが、チームで制作している点において、チーム化されています。このBのケースは演者が自分に足りない能力を他人から協力してもらうという形でチーム化されるようなケースをいくつか見てきました。
AのケースよりもVの演者が中心に動いているため、演者がファンよりクリエイターをサークルメンバーとしてスカウトするなどして、ファンが制作メンバーに加わりやすい傾向にあると思います。また、運営によってはトップダウン型になる時もありますが、演者が直接動くことにより元よりファンだったメンバーはVに貢献できると思い動き、演者は欲しい技能をファンが補填してくれるといったWin-Winな関係が出来るため、「こうしたら自分の推しはもっと良くなる」といった意思を直接伝えられるボトムアップ型の運営になるケースも多いと思われます。
チーム化が図られ、VTuberに人気が出るとチームがベンチャー企業になるケースがあります。これが、私がサークル型/ベンチャー型と併記している理由です。ちなみに、輝夜月の初期は業界人の話などから、このようなサークル型の制作体系に近かったのではないかと推測しています(参考)。
最後に
個人と個人が集まれば、ペア。個人と個人と個人、3人以上いれば「団体」と言えるのではないでしょうか。私はこれらを個人勢と区別してほしいと自分は思っていますが、実際は運営の中身を明かしたくないこの業界ではまだ難しそうです。
今回はそんな謎に包まれているVTuberの運営についてフォーカスをあて、紹介しました。冒頭の注意事項をよく読んでいただき、話半分くらいに思っていただければ幸いです。
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