形に表せないもの
近くのお寺に七五三の親子連れが見えます。若夫婦とお子さん… 同じ感じの2組が ご祈祷を受けています。見ると護摩壇の前に御札が二体立てられています。力強い僧侶の読経が堂内にこだまします。貫主様が焚かれる炎で御札が浄められ鳴り物が山場を越えると御本尊に合掌礼拝 参拝者の頭上に御幣が振られます。授けられる御札は二組全く大きさが違います。着せられたような背広のお子さんが 御札を受け取ります。恥ずかしそうに頭を下げ「有難う」と言っています。若夫婦はにっこり満足げにお坊さんにお礼を言います。 もうひと組の袴を着けたお子さんは読経と鳴り物に驚いて泣きっぱなしです。御札は若い父親が受け取りお子さんに見せています。お坊さんが泣き止まない子供を見て優しく微笑んでいます。着物の母親は どうしていいのか不安な目でお坊さんに深々とお辞儀をします。
静寂を取り戻す お堂
何もご祈祷を申し込んでいないただの参拝者の私にも お坊さんは合掌されます。 先のお子さんの鳴き声にニッコリされたままの笑顔で
お祝いごと お礼ごと 贈り物 お土産 お悔やみごと お詫びごと 等々……
形 大小 金額 関係なく
伝わらなくてもいいから
ただ思うだけという教えもあります。
自分の中で強く思ってさえいれば
それでいい
相手がどう考えようが
愛する人を大切に思う気持ちは
変えようがないのだから
何も動かないけれど……
ただただ深く
あなたの この先の幸せを
祈っています…… みたいな
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