自分の好きな漫画を振り返ってみて
これまでたくさんの漫画を読んできたし、現在進行形でも読んでいる。が、ふと振り返って、わたしはどんな漫画が好きなんだろう…と考え込んでしまった。で、好きな漫画には、おおまかに「2つのパターン」があるのかなと思った。以下、自分の考えを整理するためにまとめてみました。
パターンA:設定・ストーリーが面白い
独特な世界観であったり、続きが気になるストーリーに惹きつけられてしまうタイプの漫画。例えば次のような作品。
■SLAM DUNK/井上雄彦
週刊少年ジャンプ(集英社)にて1990年~1996年連載。どこを切り取っても素晴らしい作品だが、一番好きなのはどこと聞かれたらやはり山王戦と答えてしまう。何度も読んでいるはずなのに「この試合どうなるの…!?」と手に汗握ってしまうのはなぜなのか。そしてラスト、一切セリフのない数ページの間、バッシュが床を鳴らす音だけが響き渡る空間に今自分自身が存在しているかのような感覚になるのはなんなのか。ストーリーに画力に、圧倒的な力があって面白いなんて言葉では言い表せない。唯一無二の作品だと思います。
■鋼の錬金術師/荒川弘
月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス )にて2001年~2010年連載。エルリック兄弟はなぜこんな姿になってしまったのか、そして彼らは元の身体を取り戻せるのか、を主軸に壮大な世界観で進むストーリー。ファンタジー作品は世にいくらでもあるけれど、とてつもなく重厚、かつ時に残酷な面も見せるハガレンの世界は、他とは一線を画すものだと思う。数々の名言もまた魅力。
■のだめカンタービレ/二ノ宮知子
Kiss(講談社)にて2001年~2010年連載。”音大”という、誰もが存在を知ってはいるがどんな世界なのかはよくわからないという場所を舞台としたコメディ作品。各キャラクターの音楽への向き合い方や、それに影響を受け少しずつ音楽へのアプローチが変化していくのだめの様子が、コメディとしての要素をちゃんとキープしながら、さらには恋愛要素もしっかり織り込みながら描かれているのが本当にすごい。全編通して爆笑シーンが続出なのにも関わらず、読んでいるとクラシック音楽を聴きたくなる、不思議なのだめワールド。
■大奥/よしながふみ
MELODY(白泉社)にて2004~2021年連載。なんというか、もうすさまじい作品で、最終巻読了時にも長々と感想書いてしまった。やはり「男女逆転」という設定がとんでもなく面白く、先が気になって気になってしょうがない物語。また、私はてっきり「赤面疱瘡の克服」が物語の最後の山場になると思っていたのだが、そうではないのがまたすごいところ。病の克服だけでなく、病を経験し克服したことによって変容した社会のありようまで描くよしなが先生、もしかして未来人なんか?
■鬼滅の刃/吾峠呼世晴
週刊少年ジャンプ(集英社)にて2016年~2020年連載。「禰󠄀豆子を人間に戻したい」という願いをどうやって叶えるのか、イカれた強さの上弦たちやパワハラマイケルジャクソン・無惨様をどうやって倒すのか。ジャンプにしてはコンパクトな巻数でスピード感ある展開が繰り広げられ、また鬼殺隊vs十二鬼月というわかりやすい構成も好ましく、ぐいぐい読み進めてしまった。
■呪術廻戦/芥見下々
週刊少年ジャンプ(集英社)にて2018年~連載中。最初に提示される「呪いの王・両面宿儺はどうなるのか?」を見届けたい気持ちで読み進めている。もちろんそれだけではなく、各章ごとの盛り上がりも魅力的。きっと完結後には「俺呪術だったら○○編が一番好きだなー」という会話があちこちで聞かれるんだろう。
■【推しの子】/赤坂アカ(原作)横槍メンゴ(作画)
週刊ヤングジャンプ(集英社)にて2020年~連載中。この作品はいろんな楽しみ方がある漫画だと思うが、私自身は「サスペンス(謎解き)」と「お仕事モノ(芸能界の裏側)」としての面白さに惹かれている。といいつつ、実はまだ途中までしか読めていない。うーん続きが気になるー。
パターンB:人間ドラマが面白い
特別なストーリーの山があるというわけではないものの、会話劇やちょっとしたモノローグで描かれる人間ドラマがどうしようもなく魅力的というもの。例えば次のような作品。
■ハチミツとクローバー/羽海野チカ
連載誌はいろいろ(本当に…)、2000年~2006年連載。しょっぱなからアレだが、この作品はパターンAの作品だとも言えると思う。特に最終巻付近は「芸術の才能がある者が生きる上での”選択”」がテーマだと感じていて、すごく特殊な世界観だとは思うんだけど、ただこの作品全体を通じて描かれるのは一人ひとりのキャラクターの人間ドラマだなあと。竹本くんの自分探しの旅、山田さんの健康ランド泥酔号泣シーン、実際に経験したわけでもないのに、まるで自分自身の青春の思い出のようになっていて忘れられない…。
■きのう何食べた?/よしながふみ
モーニング(講談社)にて2007年~連載中。これだけの長期連載で、サザエさん方式ではなくキャラクターがきっちり歳を重ねていくのでリアリティが常軌を逸している。私たちが暮らす世界では大きな事件なんてそうそう起きない、だけど日常のちょっとした出来事でモヤモヤしたり困り果てたり嬉しくなったり、それでもどうにかこうにか冷静さを取り繕ってとりあえずごはんを食べる、そうやって毎日を積み重ねていく。やっぱみんなそういうもんだよなあという明るい諦観を味わうことができる、「余人を以て代え難し」な作品だと思う。
■違国日記/ヤマシタトモコ
FEEL YOUNG(祥伝社)にて2017年~2023年連載。別途感想書いたことがあるため詳細は割愛するが、本当に大好きな作品です。完結おめでとうございました、ありがとうございました。
■女の園の星/和山やま
FEEL YOUNG(祥伝社)にて2020年~連載中。これも感想は別で書いたので割愛。言えることはただひとつ、絶対に電車で読んではいけない。
個人的には、パターンBタイプの漫画のほうが好きではあるのだけど、「わかりやすい面白さ」とは言いづらいところがあるので、どうしても作品としての母数が少なくなっちゃうのかなあと思う。
よって「パターンB的な要素も併せ持ったパターンA」という感じの漫画を一番たくさん読んでいる。商業としてのエンタメ性も一定確保しながら人間ドラマがじっくり描かれている時点で、そりゃあもう好きになっちゃうわ、という感じ。
なおパターンAの場合、設定や世界観がまず大事なので、どうも設定がしっくりこないとか世界観にひっかかりを覚えてしまうとかってなるともうダメ。これはその作品の良し悪しというよりは読者であるわたしとの相性の方が大きいのでどうしようもない。あの漫画とかその漫画とか、面白いんだろうとは思うんだけどなんか相性悪くて読めてないんだよな…
以上、誰の得にもならないが、自分の中ではなんとなくすっきりした。これからもいろいろ漫画読んでいこうと思います。
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