【体重管理だけじゃない。地中海式の7つのメリット】睡眠、認知の向上から寿命の延長まで
「地中海式がめちゃいい!」みたいな話は最近超多いんですけど、どうしても体重管理に方面に話題が偏りがちな印象があるわけです。てなわけで、今回は最近発表された論文をもとに、体重管理以外の地中海食のメリットを7つほどまとめておこうと思います。というのも、メリットを多く知っている方が健康的な食生活を実践するモチベーションも高まると思うんで。
ちなみに、地中海食について超ざっくり説明しとくと、
食物繊維とか、健康的な脂肪(高不飽和脂肪酸等)とか、セロトニン・メラトニンが豊富な野菜果物とか、抗炎症栄養素(抗酸化物質、オメガ3脂肪酸等)とかをいっぱい取ろう!
逆に超加工食品とか揚げ物はなるべく避けよう!
みたいな結構柔軟に調整できるタイプの食事法っすね(具体的な食品はこちらを参照くださいませ)。
1. 寿命が延びる!
いきなり超重大な効果ですけども、2021年の研究(R)では、「地中海式で寿命が延びることを改めて確認できたよ!」っていう何ともありがたい結論になっております。
これはバルセロナ大学などの研究で、どんな内容かといいますと、
対象はイタリアのトスカーナ地方で実施されたlnCHINATIプロジェクトに参加した65歳以上の男女642人
20年間にわたって参加者の尿や血液のサンプル採取、食事に関するアンケートを実施して食生活をモニターする
ポリフェノール、レスベラトロール、カロテノイド、セレン、ビタミンB12、脂肪酸の比率等の客観的なデータを使って地中海食指数を算出し、死亡との関連をチェックする
みたいになってます。この手の調査ではどうしても食事内容が自己申告になりがちだったんですけど、食事バイオマーカーを使うことでより精度の高い分析をできたぜ!ってわけですな。
その結果を超ざっくりまとめるとこんな感じです。
期間中、425人の参加者が死亡し、そのうち139人が心血管疾患、89人ががん関連で死亡した
バイオマーカーを使って予測した地中海食のスコアの高さは、総死亡リスクと逆相関していた(HR T3vs.T1 0.72; 95%CI 0.56–0.91)
同様に、心血管疾患による死亡リスクの低下とも相関していた(HR T3vs.T1 0.60; 95%CI 0.38–0.93)
もっとも、がん死亡リスクとの関係では有意な関係性は見られなかった
だったそうで、今までの研究でも油性の魚、野菜、果物、全粒穀物、オリーブオイル等をよく食べてるよ!って人ほど心臓や血管が健康だし長生きする確率も高かったんだけど、身体から採取した客観的なデータを分析してみてもその傾向はやはり確認されたわけっすね。
もちろん地中海式さえ順守しとけば長生きできる!とは言えないわけですけど、元気に長生きしたいならやはり食事には気を付けておきたいなーってとこですね。
2. 認知機能を高く維持できる!
地中海式って脳や認知には効果あるの?どうなの?って点については議論があるわけですけど、ここらへんについて調べてくれたエジンバラ大学などの研究(R)をチェックしてみましょう。
まずは研究のデザインを雑にまとめると、
79歳の511人を対象に、過去1年間の食生活に関するアンケートに答えてもらう
全員には、問題解決、思考速度、記憶、単語の知識等の能力を測るテストに回答してもらう
さらに、そのうちの358人のMRIスキャンで脳の構造的な状態を比較する
みたいになります。地中海式に近い食事をしている人ほど晩年の脳の機能・構造が健康なのか?ってことですね。
で、その結果はこんな感じになりました。
小児期のIQ、喫煙、身体活動等を考慮しても、全体的に地中海食に最も近い食事をしている人が最も高い認知機能スコアを記録した(有意差が残ったのは言語能力だけだったが)
なかでも、認知能力の向上と最も関連していそうだった要素は、緑葉野菜の多さとレッドミートの少なさだった
灰白質や白質容積、白質病変など、脳の構造的な面では地中海式スコアのレベルによって差はなかった
ってことで、地中海式に近い食事をしていると脳の構造的にはそんな違いは見られないかもだけど、それに対抗してでもシャープでいられる確率が高かったらしい。
まあもちろん脳の全体ではなく特定の領域で違いが生じていた可能性もあるわけですけど、とりあえずレッドミートを減らすことと葉物野菜の積極的な摂取は意識しておきたいっすね。
3. アルツハイマー予防!
地中海式では脳の構造には違いが生じないかも?みたいな話をしたわけですけど、脳の体積が大きいまま維持されていた!ってな報告も結構多いんですよね。そんなわけで次は「地中海式で脳の構造にも違いが発生してたよ!」って研究(R)を見てみましょう。
これは平均年齢69.5歳の男女512人を対象にしたもので、簡単に内容を確認しておくとこんな感じです。
対象者のうち、169人は認知的に健康で、残りの人は自覚的な記憶障害、軽度認知障害、アルツハイマーの家族歴ありのいずれかに当てはまった
全員には過去数か月に食べた148種類の食品の量をアンケートに記入してもらった
MRIで脳をスキャンして脳の体積を測定し、記憶機能などの認知能力も測った
さらに226人の参加者のCSF(脳脊髄液)中のアミロイドβとタウタンパクの測定値をチェックした
って感じ。アミロイドβとタウタンパクは神経細胞の死滅に大きく関与しているのでは?といわれているタンパク質ですね。
でもって、その結果がどうだったかといいますと、
地中海食に近い食事をしている人の方が側頭葉内側部の灰白質や海馬の体積が大きく、記憶力テストのスコアも高かった
また、脳脊髄液中のアミロイドβとタウタンパクのバイオマーカーのレベルも低かった
だったそうです。地中海食が認知症やアルツハイマーの原因になるたんぱく質の沈着や脳の萎縮から脳を保護してくれる可能性があるわけですね。
もちろんまだその基盤にある生物学的なメカニズムがはっきりしないし、もっと長期の研究も必要ってことで、この話題に関しては今後も継続的にフォローしておきたいところっすね。
4. 脳の構造に影響を与えるNewタイプの地中海食
もう一つ脳との関連で。「地中海式の中でも脳の構造に影響与えるのってこの食材なんじゃない?」ってのを調べた研究(R)が先日発表されてたんで、こちらも押さえておきましょう。
これはネゲヴ・ベン・グリオン大学などの研究で、31~82歳の男女284人を対象にした18か月に及ぶRCT。今までで最大規模のMRI試験の一つっすね。まず、参加者は食事内容によって以下の3グループに分けられました。
一般的な食事ガイドライングループ
地中海食グループ(MED):クルミを多く食べてもらう
グリーン地中海食グループ(GREEN-MED):さらに緑黄色野菜を増やし、夕食に毎日3~4杯の緑茶とマンカイ草のグリーンシェイクを飲んでもらう
どのグループの人にもジムの無料会員権を含む身体活動プログラムに参加してもらい、海馬占有率(HOC)と側脳室容積(LVV)のデータを使って、試験前後で脳萎縮レベルに違いが出るか?ってのをチェックしたらしい。
その結果、たった18か月でも大きな違いが確認されてまして、
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