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クリスマスでPM2.5 激増、大気汚染がひどい地域に住んでたら肝臓がやられてた話とか【最近の大気汚染ネタ】

最近読んで面白かった「大気汚染ネタ」をメモしておくコーナーです。

クリスマスには世界一大気汚染がひどい都市より空気が汚くなる説

「大気汚染がよくない!」とはよく聞きますが、たいていそれは屋外を前提にした話であることが多め。もっとも、室内でも掃除や料理、喫煙等で微粒子は大量に発生しているわけで、現代人は90%もの時間を屋内で過ごしているということを考えると、室内の空気の状態も非常に重要でありましょう。

そこで、コロラド大学などの研究(R)では、「室内ってどのくらい大気汚染物質が発生しているの?肺にはどのくらい沈着するの?」ってところを調べてくれております。具体的には、

  1. テストハウスを用いて一般的な人の一日を再現する

  2. 一日の生活を通して微粒子の発生状況を逐次チェックする

  3. さらに、年齢や体重等を勘案してそこにいた人の肺に沈着した微粒子の量を計算する

  4. 同様の操作を、感謝祭の日を想定した一日でも行う

って感じ。午前8時から午後8時までの12時間にわたって調査を行い、料理や掃除等でどのくらいPMが発生するのか、感謝祭のような大量の料理を用意するような場面ではどんな違いが出るのかってあたりを調べたんだそうな。


でもって、どんなことが分かったかといいますと、

  • 12時間のPM2.5の平均濃度は、通常の一日で15μg/m3、感謝祭の日で60μg/m3だった

  • 体積別でみると、感謝祭の日には通常の日よりもいっそう小さな粒子が発生していた(~180nm vs 800±200nm)

  • 最も室内のPM濃度を引き上げる活動は「料理」で、料理中には最大PM2.5濃度が250μg/m3にも達していた(これは、世界で最も空気の質が低いデリーと同じくらいの数値。ちなみに東京の平均は10μg/m3くらい)

  • 通常の一日において最もPM濃度を引き上げたのは「朝食」で、調理法別ではラザニアやトーストにおいて最も高いPM2.5を発生させていた。これらの調理法は特に小さな粒子を発生させていた

  • 感謝祭の日の料理の後では、5時間以上PM2.5濃度が50μg/m3を上回っていた

  • 一度ドアや窓を開けてからPM濃度が落ち着くまでには44±5分かかった

  • 掃除を始めると、5分程度でPM濃度がピークに達するが、新しい粒子が形成されることはなかった

という感じで、基本的には屋内にいる方が屋外よりも空気はきれいなんだけど、誰かが料理を始めると室内の微粒子のレベルは屋外よりも数十倍まで高くなっていたらしい。特に料理における食物・調理機器、熱由来の微粒子が大量に発生していて、しかもそれはキッチン内に収まる話でもなかったみたい。

さらに、人間への曝露・沈着量に関しては、

  • 通常の日では、PM2.5の曝露量は170±20μg/m3hだったが、感謝祭の日では最大740μg/m3hにも達していた(USEPAの基準は840μg/m3h)

  • 最も曝露量が多かったのは、調理後の時間帯だった(36~77%)

  • 呼吸器系への沈着量でみると、室内で何もしていなければ7μgだったが、通常の日全体でみると70±20μg、感謝祭の日では152μgに達していた(屋外だと32μg)

ってことで、屋内にいて、特に頻繁に料理をする場合には屋外の数倍程度、肺にも多くの微粒子が沈着してしまっている可能性があるわけっすね。

そんなわけで、今年のクリスマスディナーを調理する際には、

  • 焼く、揚げる、炒めるよりは「煮る」

  • しっかりキッチンの窓を開ける

  • キッチン用の換気扇を全開にしておく

ってなことを意識しておくといいかもしれません。もっとも、多くの換気扇には十分なフィルターがついていなかったりするせいで微粒子を含む空気を再循環させている場合も多いんで、クリスマスプレゼントとして空気清浄機とかを買っとくのもいいんじゃないでしょうかー。


脂肪肝リスクにかかわるのは運動・睡眠のほか、大気汚染もなんじゃないの?

代謝の問題というと真っ先に思い浮かぶのは運動と食事ですが、どうやら大気汚染も相当な影響をもたらしているのかもしれません(R)。

これは中国南西部に住む30~79歳の大人90,086人を対象にした研究で、過去4年間の大気汚染物質(PM1, PM2.5, PM10, NO2)濃度とMAFLDリスクの関係を分析しております。MAFLDってのは、

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