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BtoB企業で忘れがちなエンドユーザー視点ーー児島製機ブランド刷新プロジェクト(岐阜)

PROJECT NOTE
児島製機(岐阜)

食品製造エンジニアリングの老舗・児島製機様のブランド刷新プロジェクトに携わる中で感じたのは、「伝統を受け継ぎながら、未来をどう形作るか」という課題の重みでした。創業110年を迎えた食品製造エンジニアリングの老舗企業である児島製機様。その長い歴史に敬意を払いながら、新しい時代に響くブランドを築くため、ロゴデザインやミッション・ビジョンの策定、オンラインプレゼンスの強化など、多岐にわたる取り組みを進めました。



ロゴに宿る記憶を現代へ引き継ぐ

©︎児島製機

今回のプロジェクトでは、かつて児島製機様が使用していたロゴマークをモチーフに、現代的な感性を取り入れたリデザインを行いました。長い年月の中で使われなくなったこのロゴには、同社の原点や精神が宿っていました。それを新たなデザインに落とし込むことで、単なる過去の象徴としてではなく、未来に向けたメッセージを込めることができました。

具体的には、旧ロゴの形状やモチーフのエッセンスを抽出し、シンプルかつタイムレスなデザインに再構築しました。こうすることで、ブランドが持つ伝統の重みと現代性のバランスを図り、110年の歴史を感じさせながら、これからの挑戦にふさわしいビジュアルを実現しました。


BtoB企業が見落としがちな「エンドユーザー視点」

©︎児島製機

児島製機様は、BtoB事業を主軸に食品製造の現場を支えてきました。しかし、今回のプロジェクトを進める中で、エンドユーザーに届ける「おいしい笑顔」という価値に立ち返ることの重要性が浮き彫りになりました。

BtoB企業の多くが直面する課題の一つに、エンドユーザーへの提供価値が見えにくくなることがあります。児島製機様も例外ではなく、自社の技術やサービスがどのように最終消費者の日常を豊かにしているのかを再確認するプロセスが必要でした。そのため、プロジェクトでは「おいしい笑顔をつくる」という理念を軸に、エンドユーザーの視点からブランドの価値を再定義しました。

具体的には、穀類製造エンジニアリングがもたらす安心感や、製品がおいしい食卓を生み出す背景を深掘りし、ブランドメッセージに織り込みました。技術の先にある「人の暮らし」を伝えることで、企業としての存在意義をより明確にすることができたと感じています。


ブランド刷新の鍵は「全体最適」

ブランド刷新は、ロゴやスローガンといった表層的な変更だけでは不十分です。組織全体が同じ方向を向き、統一感を持って進めることが求められます。今回のプロジェクトでも、ロゴのリデザインに加え、ミッション・ビジョンの策定、ビジュアルの再撮影を含めたWebサイトの再構築、さらには採用戦略の見直しなど、多角的な取り組みを行いました。

©︎児島製機

採用戦略の面では、児島製機様が新たな人材に求める価値観やビジョンを共有し、ブランドの魅力を採用候補者に伝える仕組みづくりを支援しました。これにより、次世代の担い手がブランドに共感し、歴史と未来をつなぐ一員として加わる土壌を整えることができたと感じています。


伝統と未来の間に立つデザイナーの役割

児島製機様とのプロジェクトを通じて再確認したのは、デザインの役割が単なるビジュアル制作にとどまらないということです。特に伝統ある企業の刷新においては、歴史や文化を深く理解し、未来へとつながる価値をどのように表現するかが問われます。

今回のロゴリデザインは、かつてのロゴを尊重しつつ、現代の消費者やビジネスパートナーに響く形で再構築しました。このように、過去の資産を活用しながら新しい物語を紡ぐことが、デザイナーとしての使命であると改めて感じました。


おいしい笑顔を未来へ

児島製機様の「おいしい笑顔をつくる」という理念は、単なる言葉ではなく、110年にわたる歴史の中で積み重ねられた実績そのものです。このプロジェクトを通じて、その価値を再確認し、新たなステージへと進む一助となれたことを光栄に思います。

この記事が、伝統を受け継ぎながら新たな価値を模索する皆さまのヒントになれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。記事にスキをいただけると励みになります。また、X(@okunote_tokyo)のフォローもお待ちしています。デザインを通じて価値を創造する挑戦を、これからも続けていきます。

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