ちょっと変わった僕の新年のリセット方法
年が明けたばかりに真夜中の街を走る
クリスマスを過ぎると、気分はお正月。お会いする方々から「奥野さんは、年末年始はどうされるのですか?」というようなことをよく聞かれるようにうなります。
ラ・ブリアンツァの六本木本店は、年末年始休まずお客様をお迎えしておりますので「仕事なんです」とお答えするわけですが、じつは年明け早々の過ごし方については、ちょっと珍しいことを10年以上続けています。
年が明けてすぐ、1月1日の夜中(朝?)に、新年の街を走っているのです。
普段から走っているかというとそうでもなく、もともとキックボクシングが好きでやっていたり、学生時代は剣道や水泳うをやっていたこともあってスポーツ自体が好きなのですが、走るのは新年の1月1日のみ。
もちろん、ずっと走り続けるわけではなく、時々歩いたりしながらですが、2時間くらいしっかり追い込んで走っています。ですので、翌日は筋肉痛になることも(笑)。
きっかけは10年以上前、麻布十番のお店のみの頃。年末年始は、12月31日から1月4日くらいまで休みをしていました。おかげさまで毎日忙しくさせていただいており、好きなスポーツをする時間もないほどでしたから、休みを利用して年明け早々走ってみようと考えたわけです。
賑やかに新年を迎えている街を尻目に5時間以上。都内から千葉県との県境ぐらいまで走って帰ってきた頃には、初日の出で空が明るくなっていました。それだけ走って帰ってきたので、ぐったり疲れきっていたのですが、なぜかすがすがしく、気持ち良かったんです。
新しくリセットされるような気持ちになるのはもちろん、新年早々これだけやったのなら、新しい1年、少々大変なことがあっても乗りきれるという自信にもなる。自己啓発のような作用もあったと思います。
今は、元日から営業があるので、初日の出までとはいきませんが、毎年欠かさず続けている恒例行事になっていますし、新年も年が明けたらすぐに走りに出るつもりです(もし街で見かけたら声をかけてくださいね)。
リセットを上手にすることで次に向かえる
ちょっと変わった僕の新年の過ごし方なので、ブリアンツァのスタッフのみんなに「年が明けたら走った方がいいよ」なんて薦めるつもりはありません。しかし、一年しっかり頑張ってきたのだからリセットはしっかりした方がいいというのは、伝えたいことです。
リラックスの方法は、人それぞれなのでどんなことでもいいのですが、一年のリセットなので中途半端にするのではなく、振り切ってしっかりリセットすることが大事です。たとえば、脳みそが溶けるぐらい寝るというのも、ある人にとっていい一年のリセットの方法だと思います。一年、とにかくがんばったんだから、無理に頑張る必要もありません。
この「リセットする」ことを、一年という大きな節目でもそうですが、日々の生活のなかにある小さなリセットも大切にしています。
僕の場合は、1日の小刻みなリセットはコーヒー。営業中に飲むことはありませんが、仕事が始まる前の朝と、ランチが終わった休憩時間、営業後などにコーヒーを飲んでリセットしています。コーヒーを飲むと心が落ち着いて、次の仕事に向かう気持ちが湧いてくるんです。
もともと(今もですが)チョコレートが大好きでしたのでチョコレートを食べてリセットしていましたが、歳をとるにしたがって体重が気になり始め、チョコレートとフレーバーが似ているコーヒーに変えました。
ヨーロッパの心臓病学会の調査によると、コーヒーを1日に0.5~3杯飲んでいると、脳卒中、心血管疾患による死亡などのリスクが低下することが示されています。もちろん飲み過ぎは良くないですが、コーヒーのリフレッシュは、体にいい効果が期待できるそうです。
そして、コーヒーよりも少し長い一日のリセットは、お酒。焼酎やワイン、ウイスキーなどが好きで、仕事がしっかり終わってから飲むお酒は、また明日頑張ろうとう気持ちになります。もちろん、お酒もほどほどにです。
ちなみに、数日間のリセット方法は、筋トレです。数カ月、数年単位でいえば海外旅行も僕にとってのリセット方法です。
コーヒーにお酒、筋トレ、ランニング、旅。リセットの強度は、時間の長さによって変えていくといいと思います。周りを見てみても、リセットの強度のつけ方がうまい人はリセットがうまいように思います。
とくに休みなくつねに働き続けている経営者の方々は、リセット方法の強度を強くされているように感じます。経営者の方々が、スイム4.0km・バイク120km・ラン30km、合計154kmを行うトライアスロンを趣味にしているのも納得できます。「仕事が好きだから」と経営者の方々はおっしゃいますが、やはりすごく強いストレスがかかっていると思うんです。
もちろんすべての経営者の方々がトライアスロンをしているわけではないのですが、強いストレスがかかる仕事をしていたとしても、それをリセットできる方法をもっているというのが、経営者の能力ということもいえるのかもしれません。リセットして次に向かえることは、仕事をしていく上でとても大切なことなのです。
ポジティブに諦めていくこと
リセットするということは、「諦める」ことなのかなと僕は思っています。
人生は諦めの連続。諦めるというとネガティブな言葉のように感じますが、僕はポジティブに考えていて、日々のいろいろな判断をしていくなかで、たとえば右に曲がって進んでいく判断をしたとして、それが成功であったかどうかは、曲がってすぐにはわかりません。
いつ答えがすぐにわからないことを、あーだこーだ考え続けるよりも、すぱっと諦めて次に向かった方がいい。
それに毎日の判断はたくさんあって、小さいことでは、朝何の服を着ることもその一つのように、仕事や人生の判断の場面があります。そのなかでプライオリティをつけて、できるだけ多くの判断を僕たちはしているわけです。
「もういいや」の方が気が楽になるし、諦めれば「私の人生、終わった」と絶望することもありませんから。
2023年は、1月13日にブリアンツァグループの直営レストラン「ASTERISCO(アステリスコ)」を、東京・八重洲のヤンマー株式会社の社屋ビル内に食の複合施設「YANMAR MARCHÉ TOKYO」にオープします。
ほかにも、まだまだいろいろなプロジェクトも進行中です。多くの皆さまのお力添えをいただきながら、2023年もさまざまな挑戦をしていきたいと考えています。
年末年始にいいリセットをして、新しい年も駆け抜けていきたいと思っています。
「ラ・ブリアンツァ」オーナーシェフ
奥野義幸
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