トロントで教育を考えた(4):科学を楽しみながら体験的に学ぶ。子ども扱いしない情報量と子どもの発達を配慮したつくりのバランス。
1月1日【4日目】元日から科学で遊ぶ子どもたち
2015年12月29日~2016年1月9日の12日間、カナダのトロントに滞在しました。その旅行記マガジン《「人種のモザイク」と言われるトロントで教育を考えた》の久しぶりの更新です。
今月、「#ビフォーアフター」企画にも参加させてもらって、このマガジンの完結を目指していましたが、まだまだ先は長そうです。
さて、約4ヶ月ほど時をさかのぼりまして、2016年1月1日。(もう1年の4分の1が終わるという驚き!)
日本ならこたつでお雑煮を食べている頃ですが、トロントの町は、あまりお正月感もなく、普通の休日のような感覚でした。学校や会社も年始の休みは短く、1月4日から始まるそうです。
とは言え、年始で開いているところは限られているということで、目指したのはOntario Science Centre。
今回の旅の中で、一番自分の期待値を超えた場所でした。書きたいことがなかなかまとまらず、載せたい写真も多くて長くなりすぎてしまいました。それも筆が止まっていた要因かと思います。
このセンターはトロント郊外にあるので、雪の降る中、地下鉄とバスを乗り継いで向かいました。
結構な距離でしたが、トロント市交通局のバスであれば、地下鉄から乗り継いで1Token(回数券のようなもの)でいけるというのはありがたいです。逆に地下鉄の1駅でも1Tokenなので、全体としてバランスが取れているのだと思います。
最寄りのバス停で降りると早速大きな看板がありました。今は宇宙の企画展があるようです。
敷地に入って、まず驚いたのは駐車場の混み具合(写真を撮り忘れました)。広い駐車場がかなり埋まっていたのです。日本のお正月だと考えられません。
駐車場を抜けると、広大な敷地に、大きな建物が立っています。
これは館内のマップですが、とにかく広いのです。郊外にあるのも頷けます。
建物の設計は、日系カナダ人のRaymond Moriyamaさんという方だそうで、なんとなく親近感を感じます。
建物の前にも音の実験ができるような展示物などがあります。入る前からわくわく。
入場料は22ドルなのですが、CNタワーやロイヤルオンタリオ博物館などのチケットもセットでお得になる、TORONTO City PASSというものがあって、そちらを購入しました。約72ドル。
すべてのチケットを普通に買うと約122ドルで、50ドル近く安くなるというなんともお得なチケットですが、私は全部周りきれず、結局損したかもしれません。
入ってすぐの展示ホールにあったのが、Rowland Emettさんの「The Magical Machines」という企画展。
直訳すると「魔法の機械」なのでしょうが、機械と呼ぶには何ともかわいらしい「動くおもちゃ」の巨大版とも言えるような作品がたくさん並べられていました。
ちなみに説明は英語とフランス語の併記です。フランス語は、大学時代に第二外国語として学んでいたものの、ほとんど理解できませんでした。
この作品たちはかわいさもさることながら、この大きな機関車の動力が、一つのモーターだけであることに驚かされます。そのモーターの力が歯車などがどんどんつながって、全体を動かしているのです。
こちらは空飛ぶ自転車?
それぞれに説明するボードもあります。
こちらは、音がイメージになる機械だったかな?
そして、その横には、Creation Stationなる子どもたちが自由に木の積み木で遊べるスペースがあるのです。
こういった自由に作れるスペースが多いのがこのセンターの魅力でした。
うっかりすると、ここだけで1時間でもいられそうなホールを抜けて、常設の展示を見て回ります。
この黒いものなんだと思いますか?
写真の下の方にも書いてありますが、これ、ブラックホールを再現した装置なのです。
右下の赤いボタンを押すと、黒い小さな球が出てきて、ぐるぐる回りながら、だんだんとスピードを増して、真ん中に近づいていき、すぽっと中心に吸い込まれていきます。
この宇宙のフロアは、他にも紫外線が見える装置や、宇宙探査の乗り物の操縦体験なんかもありました。プラネタリウムは長蛇の列で入れず。
解説員として、若い(大学生と思われる)人たちが立っていて、質問すれば教えてくれます。
次は、8歳以下の子どもたちだけが遊べるKidSpark。マップの説明には「遊びを通してあなたの子どもの好奇心を刺激(spark)してください」と書かれています。
その言葉の通り、台は背の低い子どもでも届くように作ってあって、形もかわいい骨型なのですが、乗せられている骨はなかなかリアルです。
ちなみに、子ども向けではない人体の不思議フロアもあり、そこには骨に加えて血管の張り巡らされ方も分かる模型がありました。
このフロアには、妊娠からの胎児の成長が分かるリアルな展示や象の巨大な心臓の展示、走り方をチェックできる機械や年老いた自分の顔写真を合成してくれる機械なんかもあったのですが、見る人によっては気分が悪くなるかもと思い、写真は自粛します。
そして、《noteで見つけた教育・子育ての「すてき」》マガジンの表紙にしいるこの写真も、ここで撮ったものです。イノベーションセンターというのが何とも欧米な感じです。
ここに何があるかと言うと、こうやって紙を折って飛ばしてみる実験装置など、自分たちで工夫して何かを生み出せる展示がたくさんあります。
注目いただきたいのは、上の写真の床です。かなり紙が散らばっていて、日本なら、大人が叱ったり、掃除の方が片付けたりしそうなものですが、そのままになっています。
失敗は成功の母、たくさんの子どもたちの挑戦の証ということでしょうか。本来とは違う使い方をしていてもあまり怒られるような様子はありません。
コマ撮りのアニメを作れるブースも。
世界やカナダの事実を視覚的に伝える展示もあります。
上の写真は水について。人間の飲める水は本当に少ないということが直感的に分かるようになっています。
両側に座って試せるウソ発見器もありました。ウソを発見する人の側の机には、ウソをつくときの人の言動の特徴が書かれています。
「石と紙」のフロアには日本の和紙創りを見られるブースもありました。お姉さんが実演するスペースの後ろはなんと障子です。
紙飛行機を飛ばすブースもあって、そこにもやっぱり紙が散乱していました。自由と創造性について考えさせられます。
地球の不思議を体験するフロアには、人工物が自然界の原理では全く分解されずに残っていく様子を再現したものと思われる展示がありました。
(この辺りから時間がなく駆け足で見ていて説明を読めていないので、若干違うかもしれません。)
そのそばには、トルネードが発生する仕組みを体験する装置もありました。
最後は、時間切れで、全部見て回るのは断念。もっと朝早くから来ればよかったと思いました。
自分がここで子育てをしていたら、たびたび通うと思います。楽しく科学に触れられるって素敵です。
日本の科学未来館には行ったことがないのですが、こんな感じなのでしょうか?
他にも日本にも同じようなところがあれば、ぜひ教えていただきたいです。