「ワイルドサイドをほっつき歩け」は役に立つのか
この本のことすごく好き。
本の内容
イギリス在住の著書が身の回りにいる「おっさん」にまつわるエピソードを愉快に紹介してくれるエッセイ集。
トランプ大統領の誕生もイギリスのEU離脱も、リベラルの後退も排外主義も、社会の劣化のぜんぶぜんぶぜーんぶ、おっさんのせいだ。
でも、しかし、おっさんだって個人。血の通った人間。
愛をこめて、想像力をはたらかせてキュートに綴った、おっさん集である。
(おっさん=有害&原因 とレッテル被せの誤解上等な書き方だけど、この辺は本を読まないとわからないと思うので、表現を改めずにいこうと思う)
著者ブレイディみかこさんの愛のある観察とパンクな筆さばき↓が最高だ。
〈ワイルドサイドをほっつき歩け〉の憎めないおっさん談はゴリゴリの人間讃歌だ。
そして他人•隣人、たとえそれが思想が相容れない人物でも、想像しようというメッセージをすくいとれた。
ブレイディみかこさんの別の著書〈他者の靴を履く〉は他人の人生を想像しよう。という同じテーマがより濃く核として受信できる。
エゴイストにならないように、自分もできる限り想像をはたらかせていきていたい。
あと、エッセイに綴られる多くのトピックスはイギリスのことをミリも知らない自分にイギリスをちょっとだけ自分に引き寄せてくれる。
それは、本を読むという楽しみの本質的なところに触れると思っている。
最後に、自分も若い頃に出会ったおっさんエピソードを列挙したい。
おっさんの思い出
映画館
映画館でとなりの席のおっさんがよく笑うと、なんだか幸せな気持ちになる、映画の楽しさが1.5倍になる。
「ウケるよね〜。ね?」みたいなやりとりを心でしている。
神社
よく知らないおっさんと神社に行ったことがあるのだけど、こともあろうに注意された。注意は嫌いだ。
「二礼二拍手一礼」をしないという理由だった。
神社本庁なんて権威はしらないね!という自分からすれば、「モノをしらねぇジジイだな!いいかげんにしろ!」と心で罵倒しつつ、ありもしないルールに従った。
弱い立ち場を演じながら、心でナメることが得意だ。
ハッテン場
ハッテン場だと知らずに、ハッテン場に行ってしまったことがある。
おっさんの過度な求愛を受けて、驚いてしまった。
場を乱して悪うございましたとなりつつも、他人が他人のプライベートな部分に触るんじゃねぇ!という気持ちも強かった。
バス
バスに乗っていたら、おっさんに話しかけられた。
自分が着ていたスラッシュメタルバンドのTシャツを指差して「好きなの?」と言われた。好きだった。
おっさんは、楽しそうに目的地に着くまでバンドの話をしてくれた。
一昨日、恵比寿駅で若い女性が着ているTシャツに、slayerのSouth of Heavenのアートワークがプリントされていた、「好きなの?」とは聞けなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?