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「もう飽和状態だ」と悲鳴を上げているように見えた

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「先生、明日の授業を参観させてもらっていいですか?」と教室を訪ねに来てくれた。2年目の彼女は、今年度に入ってから貪欲に学ぶ姿が印象的である。そんな姿を見ながら、「2年目は少しゆとりが出て、欲が出てくる。僕もそうだったな」と思い出してしまった。

そんな彼女とあれこれとお喋り。いろいろな先生にお願いをして授業参観しているようだ。そして、話を聞いてもらっているようだ。最初は「すごいな」「貪欲に学んでいるな」と思っていたが、時間が経つにつれて、少しずつ心配になってきた。消化しきれていない。混沌としている。自分が大切にしていることは何か。どんな授業をしたいのか。何に力を入れたいのか、分からなくなっていることに気付いたからだ。確かに、質問をすれば答えは返ってくるが、どこかすっきりしない何かがあった。

こういう時は、アウトプットの場が必要である。誰かにレクチャーしたり、実践してみたり。意図的にインプットの場を作っているのだから、アウトプットの場も意図的に作る必要があるのだ。これがないと、自分の中は他人でいっぱいになってしまう。とくに実践のアウトプットは大切である。学んだことをやってみる。しかも、一度や二度ではなくて長期的に。そこで子どもの変容をみる。その実践を「この人」と思う先生に見てもらう。「自分には見えないもの」を教えてくれる。それが、新たな気付きとワクワクを生み出す。そして、自信へとつながっていくのである。

とは言え、インプットばかりの時期も大切だとは思う。それが彼女にとって「今」なのかもしれない。しかし、彼女のその表情と口から出る言葉は、「もう飽和状態だ」と悲鳴を上げているように見えたのである。

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