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掘る。


穴を掘る。
「なんで掘ってるんすか?」
と、通りすがりの青年が言った。
「埋まってるからだよ」
「何が埋まってるんですか?」
「それが分かってたら掘らないだろ?」

青年は、ヤバい奴だと感じたのか、何も言わずに歩いて行った。

まず、信頼と言うものを自身に持てるのかという問題がある。
空っぽ感に押し潰されてしまう。
それが繰り返されるたびに、もう、どうにもならないのではないかと言う思考に支配されてしまう。

まず、自分は、掘り続けることにより、救われるのだということを信じないといけないのである。
それは、絶対的な信頼でなくてはならない。
気持ちが揺れ動くたびに動揺するのだけれど、けれど、掘り下げて、掘り下げて、その先に必ず自らを救済することが出来るのだと、ひたすら、その時間を作り続ける。

掘り下げる。
何も出てこない。
掘り下げる。
何も出てこない。

果たして、何も出てきていないのだろうか?
何も出てこないと、思うたびに、苦しくなる。
苦しいことは嫌になる。

では、この掘り下げる作業がどうすれば楽しい作業へと変化していくのか?

何も出てこないという言い訳のもと、このどうしようもなさの積み重ねの先、少しでも、その変化に気づけるようになればいいのだけれと、まだ見えていない。

信頼の火をいつまでともすことが出来るのだろうか?

掘り下げる。
何も出てこない。
掘り下げる。
何も出てこない。

「何を掘ってるんですか?」
「埋まってるんだよ」
「何が埋まってるんですか?」
「それが分かってたら掘らないだろ?」

掘り下げる。
何も出てこない。
掘り下げる。


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奥田庵 okuda-an
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