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おじさん。


彼女が犬の散歩で海へと行くと、おじさんがいた。
短パンで、半そでシャツで、髪が長いおじさん。
体育座りで座っていた。

少し離れたところに、半裸のおじさんが立っていた。

よく見ると、おじさんは、それぞれ距離を開けて、所々に六人いた。

彼女は、このおじさんたちは普段、何をしている人たちなのだろう。
と思った。なぜ、今日に限ってこんなにいるのだろう。

陽気が暖かくなってきたせいなのか、たまたま偶然、海を見たいと思ったおじさん達が居合わせているのだろうか?


少し怖かったけれど、彼女は犬の散歩を続けた。
おじさんたちは少しの間、こちらを見ていた。
黙って見ていた。

そして、また、海を見たり、寝転がったり、砂をいじったり、雲を眺めたりと自分たちの時間に戻っていた。

犬も満足した感じだったので、彼女が戻ろうとすると、
また新しいおじさんが、歩いてきた。

それぞれのおじさんは、なんとなく、そのおじさんに気づき、眺め、

「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」

「……」

また、それぞれの時間へと戻っていった。





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奥田庵 okuda-an
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