見出し画像

人の視線は、良いもの悪いもの?


波子はいつもつけられている。
ストーカー。

その人の視線を感じる。
足音が分かる。

私が立ち止まると、そのストーカーも立ち止まる。
寒気がする。

「……」

波子には、ずっと会っていない父親がいた。
母親が言うには「聞かないほうがいい理由」で父親はどこかへ行ってしまった。

ストーカー。
中年の男性。
まさか、父親?
けど、違うかもしれない。

「ちょっと、いい加減にしてよね」
と、波子の友達、楓子が突然大きな声を出した。
振り向くと、楓子が、波子のストーカーに詰め寄ろうとしていた。
「あっ」
「ちょっと、波子、こいついつもついてくるじゃん、警察呼ぼうよ」
と、スマホを取り出したとき、

ストーカーが走っていった。
「お父さん?!」
波子がそう叫ぶと、ストーカーが、立ち止まった。
「え?」
楓子が戸惑っていた。

しかし、ストーカーは、再び走っていった。
「お父さん?」
と、楓子が波子に問いかけた。
「ううん、ゴメン。たぶん違う」

しばらくして、またあのストーカーの視線を感じる。
お父さん? と波子は思う。

ただ、困ったことに、最近、足音が二人になった。
どっちかが、お父さん?

とりあえず、判断は保留。
楓子も、とりあえず黙認している。

そろそろ怖い。



この記事が参加している募集

よろしければサポートお願いします。大切に使わせていただきます。