51冊目*幸せジャンクション ──キャンピングカーが運んだ小さな奇跡(香住泰)
人生って何があるかわからないから、面白い!そう思えるのって後から気づきますよね。
この人は、いわゆる「普通」に生きてきた。
模範的と言えば聞こえがいいのか、悪いのか。少し気持ちが悪いくらいに真っ直ぐ正確に生きている。
理由は物語の中盤あたりで解明されていくので、ここでは省略する。とにかく「普通」の人間に突然降って来た困難と風変わりな縁。
それが絶妙に絡んで、後で気づけば「面白い出来事」になっていく。その時には全く気づかない。人が話すからそうかもしれないと思う。そういうことがよくある。
チャンスの女神の逸話を母からよく聞かされていた。前髪しかないのだから、アンテナを張り巡らせ、目を見開いて生きろと言われていたし、我が子にも言い聞かせていた。
しかし、言い聞かせるのもやめた。
それがチャンスなのかなんて後になって気づくことがほとんどだし、四六時中気を張って生きていくのは性に合わない。それならばその時々の出来事に対して「たぶんこっちが楽しい気がする〜」のゆるさで過ごしていたほうがいいのではないかと思ったからだ。
ゆるさは、一種の憧れに近い。
白黒はっきりとか、0/100だとか、知人にはなんの面白味のない人間だと言われてきた。もっと近しい人間から言わせれば性根はかなりの怠け者なはずなのだがと思って悩ましく思っていたが、どちらも私である。
そういう時もあれば、そうでない時もある。
それも含めての私なのであれば、チャンスかもしれないと思って虎視眈々と狙ってるフリをするよりも、ああそれもまた一興なんて時代劇の御隠居たちがいうような雰囲気で生きていたい。
「辛い」状況にいる人へ、眠りを貪り、犯罪と自分を傷つける事以外の欲望に身をまかせたあと、ふと時間ができた時におすすめしたい一冊。なんとかなるもんだ、これが合言葉なのではないだろうか。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターの活動費として使用いたします。