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書活175日目*代々と妄想-鵜飼ミュージアムより愛を込めて2024-
「先祖代々」この言葉は私を妙に惹きつけます。それは、その土地の言葉だったり風習だったり、はたまたその家の習わしだったり。
私が育った町は埋め立て地でした。さまざまな土地からその地で生活を育んでいたので、その土地特有の何かというものがありません。
あっても少し離れた山側の地域だったり、車で1時間を超えた町に行くしか見当たらないし、方言もありません。
そして、我が家が持つ歴史において、代々受け継いできたものは聞いたことがありません。あるのは私に繋がるDNAのみ。
それはそれで、神秘的なものですが、先祖代々受け継いだ何かしらがあることへの憧れ。ないものねだり。
さて、「鵜飼ミュージアム」へ行ってきました。そこは岐阜県に流れる河川「長良川」添いにあります。
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鵜がお出迎え
鵜飼、飼い慣らした川鵜の力を利用して川魚(鮎)を獲る伝統的な漁法で平安時代から行われていたと「魏志倭人伝?」に記述があるそうです。(鵜飼ミュージアムより)
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そこでの説明で、長良川の鵜飼は世襲制の長男しか継げないという話を聞いて「代々」に目がない私の何かが弾けて飛びました。
長男ということは、嫁いだ瞬間から男児を産み育てる覚悟で持ってその家に入らなければならないのか。
その長男さんを鵜飼にするべくさまざまなトラップに打ち勝たなければならないプレッシャー。
この世には多種多様な仕事があって、ないものねだりで言えば、どれも華やかに見えるわけです。もちろん鵜飼がそうでないというわけではありせん。
ただ、未来へ残す伝統への重圧に押し潰されやしないのか?親はその子をどう育てたのか?鵜飼へ嫁ぐ覚悟とは?
鵜飼ミュージアムには、ちょうど未来の鵜匠(うしょう)でもある船頭さんがいたそうです。
私が通った時には、他の方と話していたためその疑問が聞けず、ただただ妄想するばかり。
嫁いでもいないし、予定もないし、はたまた長男でもないのに余計な心配をしてしまいました。
こんなに長きにわたって鵜飼を見てきた長良川とて何も答えてはくれません。いや、そもそもこんな質問をよその「代々」が好きなだけの女に答えてくれるわけもないよなあ…。
いつの日か、鵜飼を見る機会があったとしたら、伝統を守るその姿に敬意を表したい。ただそう願うばかり、あとその鮎もいただきたいものです。
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