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儀式



つめたい窓を開ける
涼しい夜風に明日を待つ

息の仕方を思い出して

わたしは全部知っている 
いつかこの日々も終わることを

いつかこの身を余して
あなたの細い体が機能しなくなることを

あなたの作った夢見話がきけなくなることを

誰かに期待されることも
期待を寄せてしまうことも

だれかと通じ合うことも
だれかに通じたのではと思うことも

あなたはいつからかしなくなった
わたしも願うことはやめてしまった

大きな美しい目は血走って
しっかりと太い眉をあげ
赤黒い肌をがさがさに枯れさせて

あなたは強気で自信家で
独りでそのドアから姿をみせる

切なさともどかしさ
それらだけをぎゅっと抱きしめる

頼ることも頼られることも
それもできずに
その生涯をただ振り返る

喉元から足元に

食道から胆道に

いまこの時は きゅーっと過ぎてゆく

魔法がかったいつもの安酒を
力任せにあおっては
口から出まかせて馬走る夢をみる

わたしの虚しく忙しい日々に
あなたの小さな日常をかき混ぜる

生クリームを泡立てて
知ったばかりの言語の中に

赤い扉の向こうの席に
ギタリストが奏でる音色のそばで

煙草のやさしい煙と一緒に
あなたの世界に
私の要素をかき混ぜる

分厚いドアをぐうっと開ける

うわべの優しさと明るさを携えて
また今日を迎えるために

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