記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【インド映画】Saripodhaa Sanivaaram(2024年)/テルグ語

関東圏で上映会があったにも関わらず、台風直撃で新幹線が止まってしまった為に泣く泣く鑑賞を断念したテルグ語映画「Saripodhaa Sanivaaram」。
英語版Netflixで配信が始まったので、早速観てみた。(インド映画は配信に来るのが早くてありがたい…)


公開された本国ポスターの中で1番爽やか

概要

【原題】Saripodhaa Sanivaaram
【公開日】2024年8月29日
【言語】テルグ語
【上映時間】2時間55分
【監督・脚本】ヴィヴェーク・アトレヤ
【音楽】ジェークス・ビジョイ
【キャスト】
・スーリヤ…ナーニ
・R.ダヤナンド(ダヤ)…S.J.スーリヤー
・チャールラタ(チャール)…プリヤンカー・モーハン
・サンカーラン…P.サイクマール
・クアマナンド…ムラリ・シャルマ

あらすじ

怒りっぽく、暴力沙汰で家族を困らせていた少年スーリヤ。「週に1日のみ怒りを発散させて良い日を作りなさい」と言い残し病死した母親の遺言を守り、大人になってもスーリヤは怒りが湧いても我慢しその出来事を毎晩ノートに書き留め、毎週土曜日の朝にノートを見返し、まだ怒りが収まらない出来事に対してのみその怒りを発散させていた。しかしそれは主に自分の為ではなく、他人の為に怒り、行動するものだった。
一方で、地元の選挙で当選した兄クアマナンドに土地や財産相続の訴訟を起こされている警官の弟ダヤ。そんな兄への逆恨みとして、兄の当選を支援したソクラパレムの住民に対し、一方的に暴力行為を繰り返していた。
スーリヤと恋仲になった新米警官チャールよりその状況を聞いたスーリヤは、無抵抗で無力なソクラパレムの住民の為に立ち上がる…。


浅い感想

久々に鑑賞したテルグ映画。商業テルグ映画はストーリーが比較的シンプルでわかりやすく、絶対的なヒーローに対しヴィランは徹底的に悪く描かれるのが特徴だと思っている。(テルグ映画はあまり観ないのであくまでも私個人の所感)

今回も例外(?)ではなく、S.J.スーリヤー演じるヴィランのダヤは暴力三昧・セクハラ上等・部下や女子供にも容赦しない徹底的な畜生っぷり。かなり激しく動き回り、叫びまくっていた。年齢不詳な設定だったけど一体幾つぐらいの設定だったんだろう……。兄にはあまり強く出れない弟感あるのも良かった。

個人的に面白かったのが、主人公の特殊な習慣をものすごい理解力で即座にわかってしまうところ(笑)スーリヤが出頭した時にも、供述の矛盾にもすぐ気づいていた。こう見えて意外と賢いのが憎たらしい。

この独特な佇まいがS.J.スーリヤーっぽくて良い

主人公スーリヤの習慣も特殊。怒りを自分なりにコントロールするのはかなり面白い設定だと思った。そして普段は保険代理店で働いている、優しくて親しみやすい自警団的な頼れる兄ちゃんなのも良い〜!

特に面白いのは、0時ピッタリで日付が変わった瞬間、絶賛怒り爆発タイムでも途中でやめて立ち去ってしまう所。シンデレラかな?

亡くなった母との約束に囚われ、ある種の呪縛かのようになっているスーリヤ。母との最後の約束を夢でも見て、それを父や姉には理解されず、ずっと一人で苦しんでいる。後半でようやく理解された時、メラメラと燻っていた怒りという炎が一気に爆発して解放されたようにも見えた。ハチャメチャなアクションシーンはさすがテルグ映画という感じ。

中の人ネタで、映画「マッキー(原題Eega)」のメタネタがあるのも良かった。プリヤンカー演じるチャールと良い関係になってきた時に、彼女がスーリヤの事をどう思っているのかがとてもわかりやすくてホッコリした。

ナーニ、いかにも"善い人"な顔が良すぎる


脇を固める人物達も凄く良かった。

スーリヤの恋人役プリヤンカー・モーハン。スーリヤとダヤを繋ぐ難しい役柄をいいバランス感覚で演じていた。
スーリヤの父親役P.サイクマール。シングルファザーらしい貫禄と慈愛に溢れた素敵な父親役だった。
ダヤの兄役ムラリ・シャルマ。テルグやヒンディー中心で活躍する性格俳優らしい、極端で厄介な役柄で良かった。
ダヤの相棒役ハルシャ・ヴァルダン。ダヤとの良いコンビネーションが憎めないどころかちょっと可愛かった。
ムラリ・シャルマ演じるクアマナンドの右腕としてアジャイ。テルグの名脇役らしい美味しい役を持って行った。


映画全体としては、とにかく音楽がどれも格好良かったしハマっていた。ダンスは差し込まれておらず、硬派な映画構成になっていた。
スーリヤの設定は面白いなとは思いつつ、脚本はシンプルだったので感情の揺さぶられ要素は少ないと感じた。また、展開がコロコロ変わるわけではないので、約3時間の長尺は途中ややもったりしてると感じてしまった。ただ老若男女誰でも観やすく、暴力はありつつも品を損なわない良いエンタメ映画だったと思う。
冬には日本語字幕での企画上映がシネ・リーブル池袋であるようなので、それも楽しみ。


おまけ

制作会社のDVVはプロモーションに積極的で、面白い企画力でかなり頑張っていた。
個人的に面白いと思ったのは、ヒーロー役の俳優ととヴィラン役の俳優が、それぞれの誕生日をお祝いするプロモーション。こんなの今まで見た事ない!

◆S.J.スーリヤー → ナーニ (誕生日:2/24に公開)


◆ナーニ → S.J.スーリヤー (誕生日:7/20に公開)

映画公開前にメイキングが公開されたのにも驚いた。これを観て映画への期待値が高まったのは確かだったからいいプロモーションだったと思う。(最近は他の映画でもメイキングを先出しするのをよく見かけるから流行ってる…?のか…?)

チェンナイのビーチをのんびり歩きながら楽しそうに談笑する主演2人の謎動画。映画の中でとても敵対するとは思えないような和気藹々とした雰囲気。

プロモは主にこの3人で行われていたけど、常に楽しそうな雰囲気が伝わってきてホッコリ。

本国版予告

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集