雑考・日記・メモ「絵本 エミリー」
エミリー・ディキンソンをモティーフとした絵本。
エミリー・ディキンソンは実在した人物です。詩人である彼女は生まれた町から出ることは無く生涯を終えました。世界各国の多様な文化を知る事もなく、それに触れる事もなく。
しかしだから不幸であったのか。
「天国をみつけられなければ ー 地上で ー 天上でもみつけられないでしょう たとえどこへうつりすんでも天使はいつもとなりに家を借りるのですからー」
私は外国に行ったことがありません。日本国内でもそうそう旅行もせず、行動の範囲は住んでいる街の周辺に限られています。
お金と時間の余裕があれば、外国や国内の多様な地域の文化に触れてみたいとは思うけれども、一方そんな事はたいして重要じゃない、とも考えています。と言うのも職業を変えればそこは異文化だし、身近な人の趣味の違いを思い知るだけでも、そこは多様性のカオスであるのだから。更に言えば、私の家の小さな庭。この庭の観察だけで、自然の理を慮る事は出来る。その神秘を。その探究の愉しみを日々営むことは出来るのだ。
年老いて足腰が弱くなり、豪奢な生活を消費する事に疲れた時、人はようやくこの小さな世界の中に、無限に広がる探究を見出すのだろうし、それが歳をとるという事の醍醐味なのだろう。生涯学習とはそういう学びだろうし、ケアとはそこに向けた配慮であるのかもしれない。あるべきなのかもしれない。
2021年11月 岡村正敏
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