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9.11 夕景をさがしに-利尻岳①

日程:2001年9月13~16日
メンバー:単独

2001/9/8

ー計画決定ー

 夏も過ぎ去ったのに、今頃になって夏期休暇を3日間いただきます。
次の土日にかかる貴重な5連休です。
何か心に残ることがしたいと、あれこれ考えます。
 お金をかけないで、最近の俗っぽい生活の自分を払拭して、「放浪感覚?」を若い頃のように取り戻してみたい。
家や地域から脱出した、「旅行」ではない、「旅」をしてみたい。
干渉されずに帰属せずに、ただ自分の本来の感覚だけで過ごしてみたい。

そこで思いついたのが、過去に2回、この時期に巡り会った利尻岳からの日本海への夕景。

山の上から、このような夕景です。

19才のときに出会った風景。
21才のときに、山頂で出会った夕景。

この利尻岳からの夕景を、再び、見たい!
ぼくの心に残る「利尻岳から見る夕景」、これを再び眼に映してみたい。日本海に沈みゆく夕陽、その光を余すところなく果てなく包む空と雲を彩っていくダイナミックさと寂しさ。周囲をぐるりと囲む、広く、そして深い大海原の日本海。黒く平坦に横たわる礼文島、眼下にぽつんと温かく連なる街の灯、漁り火。海に浮かぶ孤島の山だからこそ、出逢えるその空間力とその風景。

 利尻島は、直径約19km、周囲約60kmの日本海に浮かぶ円形の島。利尻岳(北峰1,719m)はそんな島の成層火山の独立峰として成り立っています。別名「利尻富士」とも呼ばれる端正で、多くのバリエーションルートを持つ岳人のあこがれの遙かなる山の一つでもあります。南の屋久島(宮之浦岳)、北の利尻岳のような感じです。

 いつも体のどこかで警戒しているヒグマ、苦手なヘビがいない島なのでどこか気持ち的には気楽でもあります。ルートは、一人ですし登山禁止中の東稜は危険なので、一般コースで北麓キャンプ場もある北稜(鴛泊(おしどまり))コースとする予定。沓形からの一般コースも、西壁が迫力あり、魅力的です。いずれにしても、この山は、港からのまさに海抜0mからの登山。ただ心配なのは、長官山避難小屋(1,218m)を使用した場合、他の登山客がなく一人で夜を過ごすことになったらイヤだなあ、という恐怖心であります。相変わらず、弱虫太郎・・・

移設前の長官山避難小屋(1218m地点)

稚内から利尻島鴛泊までフェリーを使い、テントや炊事用具を持って、一人 ふらふらと心に残る旅をしてみたいと思っています。
 そして、あの夕景にもう一度、会ってみたい。数年ぶりに利尻岳の地図を広げ、フェリーの時刻表を調べ、装備などの整理と確認を始めたところです。

利尻島は遙かで遠いと、北海道民のぼくでも、感覚的にそう思う。だから、きっと東京などの人々は果てしない異国に思っているのかも知れない。うちから車で稚内まで約350km、札幌までも行けちゃいます。約4~5時間といったドライブになるでしょうか。

遠いよ 遠いよ


3Dカシミールソフトで作ってみた利尻島の俯瞰図と
コース

2001/9/9ー追い込み方法ー

宗谷岬、稚内(わっかない)までのオホーツク海沿いの何もない景色・・・長いなあ、そこから、フェリーに乗って、キャンプ場まで行って・・・そうそう、もう車社会とはおさらばになるのだなあ。自分の衣食住に必要なものは、(この山の場合、水も含めて)すべて背負わなくてはいけない。

 そうこうしているうちに、だんだんと面倒くさくなってくるのが、ぼくの常。天気に恵まれなかったら、つまらないよなあ。あ゛~天気予報、なんかパッとしてないなあ・・・時間や天候の都合で、全装備のザックで登山になるのかも知れないなあ。テントか山の上の小屋の中で、じっと過ごすのだなあ。いつも一人だけれど、さらに一人だもんなあ。

 だらだらしてくる自分は、計画を実行せずに何もしない休みを過ごしたときの欲求不満からの自己嫌悪が、一番キライなことを知っている。庭にでて、テントを立ててみる。「うん、なかなかいいぞ」、と一人で、にやける。やはり中に入ってゴロンゴロンとしてみたくなるが、近所の眼が気になる。ガスランタンを買い、事前の投資をして自分を追い込む。「2,980円も?投資したからにゃあ、行かねばならない」シーズン終了なので、思いっきり値切ったりした。早速、マントル(光源となる綿)をつけて灯し、無邪気にうれしくなる。

 テントの中での時間潰しに読む本まで買った。「天の瞳(灰谷健次郎著)の単行本の続編出ていないかなあ?」と探した。同じ著者の、ちょうど良いタイトルの、まだ読んでいない本と出会った。・・・『島物語Ⅰ』(630円也)「(タイトルが)なんかいい感じー」、と思う。(単純) 

あとは、食糧なのだが、一人なのでインスタントラーメンとかの適当なもので済まそう。うん。あとは乾燥米、雑炊、みそ汁といったところ。

 ちなみに、利尻といえばウニ、コンブなどで有名ですが、ぼくの場合、そういったものに一人では興味がないのですよね。「君は人生の楽しみの半分を損しているよ」と、よく人に言われたりとしている。

 まだ、6畳部屋に広げた(散らかった?)装備などは、ザックにまとめてもいない状態です。

つづく


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