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愚直なはりねずみタイプのクリエイターを目指す
前回、noteによるクリエイターエコノミーの可能性について書きました。
noteはクリエイターエコノミーのプラットフォームの中で、広告モデルではなく直接課金型。
「広告」に影響されずに創作に打ち込める環境で、利用者(読者)と直接つながれるプラットフォームで、クリエイターとして、従来の課金型では尻込みしていた人達も活躍できるもの。
江戸時代中期の町民文化にも通じる職人文化ともリンクしていると。
クリエイターエコノミーで重要になってきているのが、「オーセンティシティ」。誠実な姿勢で創作し続けて信頼を得ること。
今回は、クリエイターのポジショニング戦略として、愚直なはりねづみタイプを目指すことについて、ジェームズ・C・コリンズの「ビジョナリーカンパニー2」から、ヒントを応用して考えてみました。
この本では、全米1435社の中から、傑出した業績を長期間持続させることに成功したジレットやフィリップ・モリスなど11社を分析し、超優良企業の条件として「どうすればグッド・カンパニーはグレート・カンパニーになれるのか」飛躍する企業やその経営者の特徴を解説しています。
この本の第5章に、針鼠の概念が出てきます。
針鼠の概念は、「狐はたくさんのことを知っているが、針鼠はたった一つ、肝心要の点を知っている」という古代ギリシャの寓話と、アイザイア・バーリンの随筆「針鼠と狐」から、業績を長期間持続させる超優良企業の特徴を書いたと言われています。
狐タイプか針鼠タイプか
狐型の人たちはいくつもの目標を同時に追究し、複雑な世界を複雑なものとして理解する。「力を分散させ、いくつもの動きを起こしており」、全体的な概念や統一のとれたビジョンに考えをまとめていこうとはしない。これに対して針鼠型の人たちは、複雑な世界をひとつの系統だった考え、基本原理、基本概念によって単純化し、これですべてをまとめ、すべての行動を決定している。
頭のいい狐が様々な策を練り過ぎることに対して、針鼠は愚直に肝心要なこ
とを追求するという対比とも考えられます。
アイザイア・バーリンは「針鼠と狐」で、世間には針鼠型の人と狐型の人がいるという指摘しています。
頭のいい賢い狐は様々な策を講じて針鼠を捕まえようとしますが、針鼠は身体を丸めて自分のトゲで身を守るシンプルな方法で狐から身を守り、いつも生き延びる。
知恵もあり身体も大きな狐は様々な策による攻撃に対し、針鼠はシンプルに自分の強みを活かし生き延びる。
「偉大な企業」はシンプルにひとつのことに集中するのに対し、「良い企業」は、様々な戦略を練り、エネルギーを分散させてしまう。
クリエイターで考えてみると、多芸多才に策を弄する狐タイプと、愚直に自分にとって大切な肝心要なことにこだわりを持って創作する針鼠タイプとも考えられます。
オーセンシティーというキーワード
クリエイターが、愚直なはりねずみタイプの目指すメリットとして、
オーセンシティーというキーワードをフォーカスしてみます。
辞書で引くと、オーセンシティーとは信頼性・信ぴょう性のこと。
前回の記事に書きましたが、クリエイターエコノミーで重要になってきているのが、「オーセンティシティ」。誠実な姿勢で創作し続けて『このクリエイターなら大丈夫!』と信頼を得ることで、ファンを獲得するスタイルがどんどん広がっているようです。
このオーセンシティーが、ブランディングとして新たな潮流になりつつあるようです。
オーセンティシティとは「信頼がおけること。信憑性。」の意である。すなわちブランド・オーセンティシティとは、消費者にとって信頼のおけるブランドということになります。そのために企業やブランドは、オーセンティック(本物・信頼できる)であることが求められています。
第76回エミー賞で、真田広之さんがオーセンティックにこだわった『SHOGUN将軍』がドラマ・シリーズ部門の作品賞、主演男優賞、主演女優賞など最多18部門受賞したことでもうなづけます。
オーセンシティーが新しい価値観を生むとも言われています。
ブランド・オーセンシティーの記事の中で、オーセンシティーに重要な2点。
1、信じること(中身)と行動が一貫していること
2、外へ向けて表現することが、ほんとうの姿(中身)とマッチしていること
愚直なはりねずみタイプのクリエイターなら、シンプルに当たりまえなことのように感じます。