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4代目の城間線として運行中の391番・城間(パルコシティ)線

2023年10月現在、東陽バスの運行する「城間線」と言えば、191番・城間(一日橋)線か391番・城間(パルコシティ)線のどちらかである。
この2路線は終点が異なるものであるが、かつては起終点は同じだが、途中の経路が異なる「城間線」があり、現在の391番・城間(パルコシティ)線は、4代目の「城間線」である。
加えて、短期間ではあるが系統番号が異なる3つの「城間線」が運行されていた時もあった。


初代の城間線は1957年に運行を開始

1957年の新聞記事に「与那原-首里線」が7月12日より運行開始という内容の記事があった$${^1}$$。記事中にも「城間線」という路線名は入っていないが、1965年3月当時のバス路線一覧$${^2}$$においても、城間線の経路でありながら、路線名は「首里線」となっていることから、かつては「城間線」では無く、「首里線」として運行されていたようだ。これが初代・城間線であり、後の60番・城間(大名)線である。

この60番・城間(大名)線の経路は、首里(儀保)以北の浦添側はほぼ今も運行されている191番・城間(一日橋)線と同じであったが、首里(儀保)以南の経路が異なっており、起点の与那原営業所を出発後、与那原から国道329号を通らずに、県道240号線に入り、南風原町の大名地区を経由して、新川へ抜けるルートであった。

60番・城間(大名)線と191番・城間(一日橋)線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

2023年10月現在、与那原~新川の県道240号線を通る路線バスは存在しないが、この60番・城間(大名)線が、比較的最近の2003年まで運行されていたということもあり、県道240号線にはバス停が設置されていた名残であるバスベイが今でも多く残っている(下記のGoogleストリートビューは元・第一大名バス停の城間向けのバスベイである)。

なお、当初は城間線を名乗る路線はこの1路線のみであったが、のちに運行を開始した南風原経由の91番・城間(南風原)線と区別をつけるため、60番・城間(大名)線とされている。60番・城間(大名)線は、那覇市首里大名町と南風原町大名の2つの「大名」地区を経由するが、ここでの「大名」とは、91番・城間(南風原)線が経由しない南風原町大名のことである。

那覇市と南風原町にそれぞれ存在する大名地区
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

なお、1964年12月末時点$${^3}$$で、60番・城間(大名)線は1日36本が運行されていた。

2代目の城間線は1975~1977年に運行を開始

2代目の城間線とは、前段でもすこし述べた91番・城間(南風原)線のことである。
91番・城間(南風原)線の詳細な運行開始日は不明であるが、1975年3月末時点のバス路線一覧$${^4}$$には記載が無く、1977年3月14日時点のバス路線図$${^5}$$には記載があることから、1975年4月~1977年3月に運行を開始したようである。
91番・城間(南風原)線の経路も、首里(儀保)以南の経路が今も運行されている191番・城間(一日橋)線とは異なり、起点の与那原営業所を出発後、与那原から国道329号を経由して、兼城交差点(南風原バス停)から県道241号線に入り、新川へ抜けるルートであった。60番・城間(大名)線と比較すると、国道329号を経由する距離が長くなっている一方で、独自の運行区間は兼城十字路~新川間の約1.5kmのみであった。

60番・城間(大名)線と91番・城間(南風原)線と191番・城間(一日橋)線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

60番からの派生路線なので、90番とか160番でもよさそうだが、1975年までに88番まで付与された系統番号をベースに、それ以降に運行を開始した路線には、運行開始順または認可順に89番から付与されていったようで、89番・糸満(高良)線、90番・石川(バイパス)線の運行開始に引き続いて、その次の番号が91番だった・・・という経緯だと想定される。

1979年8月1日時点$${^6}$$で、91番・城間(南風原)線は1日28本が運行されていた。なお、先輩路線である60番・城間(大名)線は1日35本の運行となっており、この当時は、やや大名経由の方が本数は多かった。

1990~1993年に城間線からの派生路線が運行を開始

1990年に入ってからは、さらに城間線からの派生路線が誕生した。96番・浦添港川線である。
路線名が「城間線」とはなっていないが、末端部を除いた馬天営業所~浦添ショッピングセンター前の間は、91番・城間(南風原)線と全く同経路であったことから、91番・城間(南風原)線からの派生路線と言っても問題ないだろう。「城間線」とならなかったのは、終点部で城間バス停を経由しなかったことに加えて、浦添市中心部から港川方面へ向かうことを明確にしたかった意図であると思われる。

91番・城間(南風原)線と96番・浦添港川線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

この96番・浦添港川線の歴史については、「陸運事務所前にバス停があった」で紹介しているため詳細は割愛するが、1994年3月末時点$${^7}$$で、1日3本のみの運行であった。

なおこの時点で、60番・城間(大名)線は1日27本、91番・城間(南風原)線は1日29本となっており、南風原経由の方が本数は多くなっていた。

3代目の城間線は2003年に運行を開始

3代目の城間線とは、現在も運行されている191番・城間(一日橋)線のことである。2003年1月20日に運行を開始した。
91番・城間(南風原)線よりもさらに国道329号を走行する距離が長くなり、与那原から91番と同様に国道329号を経由し、兼城交差点を通過した先の上間交差点(一日橋バス停)から県道82号線に入り、新川へ抜けるルートとなった。

60番・城間(大名)線と91番・城間(南風原)線と191番・城間(一日橋)線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

一日橋交差点~農業試験場入口(現・那覇インター前)の区間は、2003年当時は、那覇インターチェンジから高速道路に乗る路線(111番・高速バス/113番・具志川空港線/123番・石川空港線)がメインで、一般路線は、那覇市内線の15番・寒川線の1日8本のみであった。

この時、新設された一日橋経由の城間線の系統番号は、91番の派生路線であることを明確にするためか、プラス100をした191番とされた。余談だが、2003年8月10日に298番・琉大おもろまち線が新設されるまでの、約半年間は県内最大の系統番号を持つ路線であった。

半年間だけ3つの城間線が存在

2003年1月に191番・城間(一日橋)線の運行が開始された時点で、60番・城間(大名)線、91番・城間(南風原)線も運行されており、一時期3つの城間線が存在したことなる。さらに派生路線である96番・浦添港川線も引き続き運行されていたので、馬天営業所~浦添ショッピングセンター前の間では、経路が異なる東陽バスの4路線が運行されていたことになる。

60番・城間(大名)線と91番・城間(南風原)線と191番・城間(一日橋)線と96番・浦添港川線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

3つの城間線と1つの派生路線が共存した状態は短く、2003年9月末をもって、初代である60番・城間(大名)線が廃止され、その約2か月後の11月末をもって、派生路線であった96番・浦添港川線も廃止された。共存期間は約半年のみであった。
東陽バスは、2002年に民事再生法を申請しており、2003年以降は不採算路線の廃止を進めていた時期であった。

2004年以降は2路線体勢だったが、徐々に191番にシフト

2004年以降は、91番・城間(南風原)線と191番・城間(一日橋)線の2路線体勢となり、時刻表上も両者が交互に運行されるダイヤが組まれていた。
だが、高校や商業施設のほか、県営住宅などの多様な施設が沿線にある191番の方が需要は多かったようで、2017年以降は、徐々に91番の運行分が191番に変更されていった。
2017年5月2日のダイヤ改正時点では、191番が1日32本運行されていたのに対し、91番は1日2本にまで減便され、ついに2018年12月21日をもって91番・城間(南風原)線は廃止され、城間線は、191番・城間(一日橋)線へと1本化された。

2022年にパルコシティ発着の391番が運行開始

再び城間線が2路線体勢になったのは、2022年11月21日のことである。
191番・城間(一日橋)線を、港川経由のサンエーパルコシティ発着とした391番・城間(パルコシティ)線が運行を開始した。
391番の経路はかつて運行されていた96番・浦添港川線と同経路で大平から港川まで向かい、国道58号から外れて西海岸道路方向へ進路を変え、サンエーパルコシティに至るルートとなった。城間バス停は経由しないが、系統番号、路線名共に城間線からの派生路線扱いとなった。

191番・城間(一日橋)線と391番・城間(パルコシティ)線と96番・浦添港川線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

2路線体勢となるにあたり、191番・城間(一日橋)線の運行本数は、16本/日から8本/日に半減された一方で、新設された391番・城間(パルコシティ)線は10本/日運行されることとなった。
なお、この391番・城間(パルコシティ)線は、浦添市の協力による実証実験路線として運行を開始$${^8}$$しており、実験運行は2023年3月末まで$${^9}$$であったが、同年4月1日より正式に東陽バスの路線として本格運行を開始$${^1}$$$${^0}$$している。

脚注

  1. 東陽バス/与那原-首里線/十二日から運行開始(1957年7月11日 琉球新報)

  2. 旅客自動車輸送実績報告書 各バス会社(1967年 琉球政府通商産業局運輸部)p.80

  3. 行政監察業務概況 1970年5月(1970年5月 琉球政府総務局行政部発行)p.75

  4. 昭和50年度 業務概況(1975年7月 沖縄県陸運事務所発行)p.26

  5. 運賃及び粁程表 昭和52年3月14日改定(1977年 沖縄県バス協会発行)

  6. 昭和53年度 業務概況(1979年 沖縄県陸運事務所発行)p.27、29

  7. 平成6年度 業務概況(1994年7月 沖縄総合事務局陸運事務所発行)p.25、27、28

  8. 11月21日(月)より新しい路線バスの実証運行が開始します!(2022年11月17日 浦添市)

  9. 浦添・パルコと南部を結ぶバス路線「城間線」4月以降は客数次第/浦添市と東陽バスが実証実験(2023年2月6日 琉球新報)

  10. パルコシティが発着地に/南城市と結ぶ391番「城間線」が運行開始/東陽バス(2023年4月11日 琉球新報)


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