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No.247 まいにち新しいよっほい!
1935年(昭和10年)生まれの詩人・工藤直子さんには、「うちゅう・いるか」「あしたこそ」「おれはかまきり」等、どれも瑞々しくて楽しくて考えさせられる詩があります。
たとえば、
「おれはかまきり」
かまきりりゅうじ
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
あまり ちかよるな
おれの こころも かまも
どきどきするほど
ひかってるぜ
おう あついぜ
おれは がんばるぜ
もえる ひをあびて
かまを ふりかざす すがた
わくわくするほど
きまってるぜ
ね、シビレルでしょう?私など、威風堂々としたオオカマキリかハラビロカマキリが、キラリンと輝くカマを振りかざして、水面かガラスに映る自分の姿をナルシスティックに見つめながら悦に入っている姿を想像してしまいます。
ところが、この詩は、「小っちゃなカマキリ」が「いっちょまえ」にカマを上げて威嚇している姿を見て書いたものだと直子さん自身が語ったそうです。「小っちゃなカマキリ」は、虚勢を張る人間とも取れなくありませんが、一つの応援歌(詩)なのでしょう。
2020東京オリンピックは、連日、猛暑の中、心の中のカマをギラギラ光らせる選手たちが熱戦や死闘を繰り広げ、メディアは、悲喜こもごもの表情を世界に配信しました。彼のその姿を見ると、この詩が重なりました。
次の詩は、みなさんと一緒に読んで味わいたい彼女の詩です。
「じかん」
ある日あるとき波にゆられて
うみがめ しみじみ 考えた
「じかん」ちゅうもんはなぁ
「かこ」から「みらい」へ向かって
ながれてるとは かぎらんぞ
ぐるぐる うずまいている、と
わしゃ おもうぞ
ほらごらん
お日さま まいにち やってくる
だからかな
わしは まにち生まれたて
わしは まいにち新しいよっほい!
人は、毎日「リセット」され「リフレッシュ」されながら生きていると考えます。日々、生まれたて、日々新しい自分を生きるというこの感性は、幾つになっても持ち続けていたいものです。今年86歳になる直子さんは、その名の通りに生きていらっしゃるようです。