No.702 そういえば、見られなくなった「青洟」
ニューギニア島の東側と周辺の島国からなるパプアニューギニアは、鉱物、石油、木材等の天然資源や豊かな水産資源を抱える島々です。1昨日、そのニューギニアの経済発展についての国際ニュースを見ていて、2つの驚きがありました。
1つは、ニューギニアの人々は、長い間経済発展を支えて来たオーストラリアよりも、近年進出してきた中国からの目覚ましい経済支援に喜んでいるという現実でした。中国は、ニューギニアのインフラ発展のために多額の資金提供をし、中国企業も多数進出してその下支えをしています。
現地の人々にインタビューすると、オーストラリア製品は高価で手が出ないのに比べ、中国製品はとても安いので親近感があり、大きな建物や道路等の利便性を生み出してくれる中国に「感謝しているし、期待している」という声が聞かれました。もっとも、多くの中国人がニューギニアにやってきて、労働者として雇われています。中国の真の狙いは豊饒の海と資源にあるのでしょうが…。
2つ目は、一瞬でしたが、ニュースの一コマに戯れ合っていた民間の貧しいニューギニアの子供たちの姿が映ったことです。粗末な身なりで、ほこりをかぶった5歳前後の子どもの一人が黄緑色をした「青洟」を垂らしていました。「うわっ、懐かしい!」と思わず画面に前のめりになりました。
「あおばな」は、子どもの頃によく垂れていました。昭和30年代に小学生だった私たちの黒い制服の袖は、拭いた青洟でよくテカテカになっていました。多くの子どもたちが青洟を垂らしたのは、蓄膿症だったからではなく、栄養が足りなかったからだと思われます。おまけの話をしますと、女子の髪の毛にはシラミがついていたりするので、DDT(有機塩素系殺虫剤)の粉を吹きかけられていたことも思い出します。貧困な時代でした。
ところが、昭和40年代前後の高度成長期になると食生活が豊かになり、欧米の食べ物の影響もあってか「青洟が子供たちから消えた」と言います。その昔、別府女子短期大学の荒金先生は、長年にわたって保育・幼稚園児の卒業写真をルーペを使って地道に調べられ、青洟の子供たちの写真が、その頃から見られなくなったことを我が勤務校の教員研修会で話してくださったことがありました。我々は、笑いながらも大いに納得して傾聴しました。
ニューギニアの子供たちの姿が、私たちの子どもの頃とダブります。片方で急速に成長して行く彼らの社会が、国民を幸せにし、国民に奉仕するものであるようにと願わずにはいられませんでした。
※画像は、クリエイター・ノラ猫ポチ(猫の写真だけの場所)さんの、タイトル「【1日3枚猫写真】ノラ猫ポチと自由猫 今日の過去猫写真1877」をかたじけなくしました。お礼申します。