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No.1447 男と女
クリエイター・popoさんの12月6日のnote「『はにわ』東京国立博物館(2)」の冒頭の記事に、次のようにあり、画像も添えられていました。
前回の続きです。
両面人物埴輪(重要文化財)
2つの顔がある、国内唯一の埴輪です。
この両面人物埴輪が発掘された「大日山35号墳」は和歌山県最大級の前方後円墳(全長105m)です。
2006年の発掘で、かなり良好な状態で多数の埴輪が出土しました。
その左右両面(表裏?)の二つの顔を持つ埴輪の画像を見た時に思い出したのは、大学時代に哲学の授業でS先生から教わったアンドロギュノス族のことでした。
アンドロギュノスとは、AIの解説に、次のようにありました。
アンドロギュノス(androgynos)とは、ギリシャ語で「両性具有」や「第三の性」を意味する言葉です。男性を意味する「アンドロ」と女性を意味する「ギュノス」を組み合わせた言葉です。
アンドロギュノスは、古代神話や錬金術の図像で、男と女の性がひとつの体に存在することを表す存在として登場しています。また、プラトンの『饗宴』では、男女がくっついた完全な存在としてアンドロギュノスが描かれています。
S先生は、プラトンの『饗宴』の話の中でアンドロギュノス族について話されました。何せ50年も前ですから、内容に齟齬があるやもしれませんが、読んでやってください。
その昔、アンドロギュノス族、別名「男女(おとこおんな)族」というのが居た。というのは、片方は男性、片方は女性が背中合わせにくっついているからだ。しかも、体形は丸く、転がりながら移動した。
初め、神に供え物をして畏れかしこんでいたが、次第に力を増して傲り高ぶり、神の領域を犯そうとして天に攻めてきた。神は大層怒り、男女族に稲光(落雷?)を当てて真っ二つにしてしまった。背中を切断された体からは血が流れたので、神は背中の皮をキュッと結んでお腹に移した。これが臍になったという。
それ以来、男と女は、切り離された相手を、互いに求め合うようになった。人が人を恋うるのは、その人に出会うためである。
そんな内容でした。ナンチャッテ爺さん全開の昔語りですが、我々学生たちは、まだ見知らぬ相手への思いを一層募らせました。「好きになる人は、一体どげな人じゃろかい?」と。その内容が、合っているのかいないのか、『饗宴』を読んでください。えっ?読んでから書けですって?
「惚れた数から振られた数を引けば女房(亭主?)が残るだけ」
と歌った都々逸の作者は、ギリシャのアンドロギュノス族を知っていたのか知らなかったのか?「森」と言う漢字のように「木(気)が多い」ように思いますが、それでも、「残った亭主」が、その昔、背中を隔てられた相手なのだとしたら、まさに運命的ですね。果たして、運命的か、それとも致命的か、その解(答え)は、人生が終わるまで分からないのかもしれません。「謎は謎のままがいい」(大分「謎のとり天せんべい」キャッチコピー)のかも?
プラトンは80歳の長寿を保ちました。一方、熊のように壇上をうろつき、考え考えしながら講義をされた恩師のS先生は、1985年に56歳で急逝されていました。つい先日、ネットの情報で知り、先生の無念を思いました。
※画像は、クリエイター・今井 雄仁@発明デザイナーさんの、タイトル「そもそも『アイデア』とは何か?」の1葉を忝くしました。その説明に、
「プラトン先生のイラスト。 『アイデア』の語源はプラトン先生の古代ギリシャ哲学『イデア』からだった! 『イデア』の概念を知る事で良い『アイデア』を得やすくなるかも!?」
とあり、アイデアの語源を教えて頂きました。お礼申し上げます。