私は何者か、120
会いたい。
何かを得ようとした時、それはなかなか手に入らない。
何かを放とうとしたとき、その時初めてそれを持っていたことに気づく。
遅すぎたとしても、早すぎたとしても、今を生きる。
細い糸の上を滑るように時がゆく。
水が流れるように時もまたじっとしていない。いまはいますぐいまではなくなり、それはいまが今をとどめられないさだめ。
いまを生きているのか。
時はサラサラと流れてゆく。
その指で掬い取れるか。
天の川と同じだ。
ダメだよ。
するりと躱されるんだ。
目を瞑り、その星まで行っておいで。
逆らわず、かと言って流されず、たとえば、誰かの手を、無意識に探している。
いつか会える。
それは、カニパルサーに行き着くほどに等しいと。
ずっと、ずっと、ずっと、探している。
会いたいものに、会えるのは、いつか。
私は何者か。
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