不可視の 4.5
滝
彼は先に
ひとり
どんどん歩いていく
腰よりも高い草をかき分け進む
どれくらい歩いただろう
やがて
草丈は短くなり
どこからともなく
水音が聞こえる
沙羅の木を見たあと
その滝を目指して
我らはどこへ行こうとしたのか
それは旅の途中
我らは何も言わず
歩いた
その滝のすぐそばまで来たとき
突然、彼は頽れ、はげしく地面にたたきつけられた
周りの景色はぼんやりと色を失くし
水音だけが聞こえている
その彼と私のあいだを
一匹のオニヤンマが真っすぐに横切った
ひんやりと私の鼓動が打つ