#イベントレポート01 |「隠岐をつくった石のふしぎ」
12月10日(土)に開催した、イベント「隠岐をつくった石のふしぎ」。
15人の子どもたちとその親御さんがEntôジオラウンジに集まり、賑やかな時間となりました。
イベントテーマ:地質多様性
突然ですが、みなさんは『地質多様性』という言葉をご存知でしょうか?
摩天崖や赤壁など荒々しい断崖が観光スポットとしても人気が高い隠岐ですが、これらを成り立たせている地質にも多様性があります。
地質多様性とは、下記のように定義されている言葉です。
つまり、生き物が数千万種存在していると言われるのと同様に、岩石や鉱物などにもたくさんの種類があるということです。
この地質多様性は、生物多様性や人間の暮らしを下支えてしていることから、International Geodiversity Dayという日が設定されるなど、近年その保護・保全の重要性が認識されはじめています。
今回は、貴重な地質資源の上に暮らしている隠岐の方に、地質多様性を知ってもらいたい!という思いから、隠岐の岩石を用いたイベントを開催する運びとなりました。
企画イベント「隠岐をつくった石のふしぎ」
対象はこれからの隠岐を担っていく子どもたち。隠岐の岩石に興味を持ってもらうことを目的として、「カルデラ形成実験」と「岩石の中の宝石探し」を行いました。
まず、Entôジオラウンジからの景色を見ながら、Entôが位置する海士町を含む島前地域がカルデラ地形であることを確認します。
ちなみに、カルデラ地形とは「火山活動によってできたくぼ地」であり、日本国内では熊本県阿蘇山や北海道屈斜路湖をはじめとして、様々な地域に存在します。
島前地域のカルデラは、そのくぼ地に海水が入り込み3島の内海となっていること、そしてそこに人が住んでいることが非常に珍しいとされています。
カルデラ形成実験
ここで「島前カルデラがどうやってできたのか?」を、米粉と風船で再現する実験を行いました。米粉でつくった山を火山、風船をマグマに見立てます。
実験の手順は、以下の通りです。
子どもたちは、最初は風船が割れることを怖がっていたものの、だんだん米粉の山がくぼみ始めると、興味深く見つめてくれました。
このくぼ地が目の前の海になっていると伝えると、「じゃあ底があるの?」という質問があがるなど、しっかりカルデラのでき方を理解してくれたようでした。
岩石の中にある宝石探し
次に、隠岐をつくっている岩石に話を移します。今回は、島前カルデラの岩石(玄武岩)など5種類の岩石を用意しました。この中に宝石が隠れている岩石があるよ、探してみよう!と伝えると、子どもたちは真剣にルーペ越しに岩石を見つめて、「これは?これは?」と尋ねてくれました。
また、子どもたちが見つけた宝石の大きなサイズの標本をお披露目すると、触っていい?とキラキラした目で聞いてくれるなど、とても楽しんでくれた様子でした。
最後に、それぞれがお気に入りの岩石を持って、集合写真を撮って、企画イベント「隠岐をつくった石のふしぎ」は終了となりました。
企画展「隠岐の風景と岩石のつながり」
ここからは、イベントに合わせて12月10日(土)から18(日)にかけて、Entôジオラウンジにて開催した企画展「隠岐の風景と岩石のつながり」を紹介します。
この展示では対象を子どもから大人に変え、主に島民に、「岩石が隠岐のくらしを形づくり、支えている」という視点を持ってもらうことを目的としました。
隠岐のくらしを切り取った『風景』と、それを作ったり支えたりしている『岩石』を組み合わせて展示することで、普段のくらしの中ではあまり感じないであろう2つのつながりを直感的に伝えることを試みました。
例えば、なぜ離島である海士町ではお米が作られているのでしょうか?
これは、豊富な湧水に加え、海士町には「平らな土地」があるからです。そしてこの平らな土地は、約280万年前に海士町の明屋海岸付近で起こった噴火で流れ出た溶岩などによって作られました。
他にも、石垣とグリーンタフ(緑色凝灰岩)や、焼火神社と火砕岩などの組み合わせを取り上げ、6つの写真と岩石が並ぶ展示となりました。
展示を見てくださった方からは、「ジオパークと島の生活や一次産業との関係性に新しい視点を与えて頂きました。」などといったお声をいただき、短い期間ではありましたが、意義のある展示になったと感じています。
さいごに
イベントと企画展を通して、隠岐の地質や岩石に興味を持っていただくことはもちろんですが、その先に少しでもそれらを「守る」ことを思う時間が生まれていたら嬉しいと思います。
また、NPO法人隠岐しぜんむらさんや海士町教育委員会さんをはじめ、多くの方のご協力と、参加してくださった方のおかげで、このようなイベントと企画展を開催することができました。改めてこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました!