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旬杯リレー小説~PJさん&ちピロの起承転結~

過ぎた日々思い出す夏キミの微笑み
南風キミをいずこへ連れて行く
光る海入道雲の涙雨
一緒だと誓った夏は思い出か?

起ストーリー【A】/PJ   4連句(約50文字)

今年もまた来た入道雲の空。
2人でよく立ち寄った道の駅。
見覚えのある車と
忘れるはずも無い君の姿。
相変わらず
ソフトクリームが良く似合う。
君が独りでテラスに座って居る。
僕も君の微笑み見たさに
隣に座る事は許されるかな。  

A:承 / ちピロ

あの日、ソフトクリームを食べる君に声をかけたとき、君は驚きながらも、あの頃と同じ笑顔で「えー久しぶり!」と言ってくれた。それで僕の緊張は一気に溶けた。
 君の隣に座ると、僕達はこれまでの時間を埋めるようにお互いのことを話し続けた。

 僕の助手席で、ソフトクリームを食べる君。
 あの時には、まさかまた付き合えることになるとは思ってもいなかった。
 実家に日帰りで行ったあの日、何気なく立ち寄ったあの道の駅で、君を見つけたのは本当に偶然だった。いや、それが運命ってやつなのかも知れない。
 遠距離恋愛の僕達は、毎日のように電話し、LINEを送りあった。
 君は、休みのタイミングが合ったら、僕の住む街に遊びに来たい、と言った。
 僕が「そっちに行くよ」と言ったけど、「私、金沢行ったことないから、行ってみたいの」と僕を押し切った。
 僕達は、混む前の8月の最初の土日にスケジュールを組むことにした。
 どこに行きたいか聞くと、君は「海が見たい」と言った。
 僕はとっておきの場所に君を連れて行こうと思った。

 君を助手席に乗せ、8月の暑い日差しの中、海沿いの自動車専用道路を走る。
 君は、はしゃぎながら窓を開け「海だー」と叫んだ。
 長い髪が風で絡まりそうだった。
 「もう少し先だよ。期待していて」
 僕がそう言うと、「うん、楽しみ!」と窓を閉め、ショーケースの子犬のように、体を揺らしながら外を見ていた。
 僕達の地元には海がなかった。だから僕も、海を見ると今でもワクワクする。
 道もすいていて、ドライブは快調だった。僕達は目的地のすぐ近くの道の駅で、休憩を取ることにした。
 君は「ソフトクリームが食べたい」と言った。
 「さっきも食べたよね」と言う僕に、「いいの、さっきのとは味が違うから」と、君は二人分注文した。
 二人で並んで食べるソフトクリーム。青く晴れた空には大きな入道雲が浮かんでいた。過ぎた日々の悲しみは、きっと涙雨が洗い流してくれたんだろう。
 「さて行くか!」と言う僕に、君は「ねえ、どんなところなの?」と聞いた。
 「すぐにわかるよ」そう言って僕はシートベルトを締める。
 さあ、君をとっておきの海に連れて行くよ!

A:転 / PJ

僕達は千里浜を駆け抜けた。
君は助手席で無言のまま海を見つめ続けていた。

あっという間の時間。

僕は次の行先の気多大社へ彼女に行きたい旨を伝えた。
「利家とまつが愛した神社なんだょ」
そう言うと彼女の瞳から涙が溢れた。
「ずっと一緒に居よう。もう離したくない。」
僕は涙目の彼女をまっすぐ見つめ抱きしめた。

一年後のその日、彼女の白無垢姿は眩く、まつ姫より美しいに決まっているとさえ思った。

あの日の入道雲、あの日のソフトクリームに浜辺。僕達の記憶の中でそれ等は輝く。

 僕達は永遠に共に歩み続けるのだ。

A:結/ちピロ

いかがでしょう。
幸せな結末にゴールインしてみました。
夏の想い出、永遠に共に過ごす2人を、そして皆様と過ごしたこの夏をアタイは忘れたくありません。
そんな気持ちで創作致しました。
気に入って頂けましたら幸いです。

末筆ながらPJさんへ感謝を込めて。
有難う御座いました。

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ちピロ
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