じいさんは農業をビジネスとして楽しんでいた、だから僕も。
はじめまして、オホーツクトマト食堂の三浦です。
これからオンラインで「はじまりのトマトソース」を売り始めるから、少しでも多くの人にトマトソースの魅力を知ってほしくて、noteを書き始めてみる。
このトマトソースは、僕が経営している北見のレストランで使っているソースでね。
業務用トマトソースって海外大手メーカーのものばかりだから、自分で作りはじめたのが商品化のきっかけなんだよ。
こうやって説明すると“シェフこだわりの”って肩書きが似合いそうだけど、実はもともと料理人になりたくてレストランを始めたわけじゃない。
僕がこうやってトマトソースを売り始めるきっかけになったのは、じいさんだ。じいさんは、農業を営んでいた。
でもじいさんは野菜が収穫できるのがやりがいになって農業をしていたわけでもない。
農業という“ビジネス”を楽しんでいた。
農業とビジネスって並べると、あんまりピンとこないかもしれないね。
実はただ野菜をおいしく育てるだけじゃあ、なかなか生計を立てるのが難しい職業なんだ。
うちのじいさんも貧乏な農家だったから、工夫が必要だったんだよ。
例えば、市場動向を見て育てる作物を選んだり、面積あたりの収穫量を増やす努力をしたり。
そういうことの積み重ねを、じいさんはとても楽しそうにやっていた。
僕はそういうじいさんの楽しそうな姿を幼いころから見ていてね。
農業がやりたいなって、思ったんだ。
でも、うちの両親は農業をやっていなかったから、僕がやるのは難しかった。
なんでかっていうと、当時の農業は親から継ぐ仕事というルールがあったから。
一時は「じいさんの家を継ぐ!」って反抗したこともあったけれど、親からは猛反対された。
「貧乏するだけだから、やめておけ」って。
でも、あきらめられなくてさ。
とにかく農業周辺の仕事がしたくて、農協に就職したよ。
僕が農協で働いている12年間で、農業のルールもずいぶん変わった。
後継者不足問題が深刻化して、農地法が改正された。
親が農家じゃなくても、誰でも農業を始められる時代がやってきたんだ。
そこから脱サラして今のレストランを始めたのが2001年のこと。
30代半ばのころだった。
「なんで農業じゃなくてレストランに?」って不思議に思うかもしれない。
でも、こっちのほうが僕のやりたいことに近い選択だと思った。
というのも、大人になって興味がわいたのが六次産業化だったから。
北海道って山と海の幸に恵まれているけれど、それで商売しようという発想がない。
土地の資源に恵まれているから、商売しなくてもうまく回っちゃうからね。
でも、僕はこの北海道で商売……ビジネスがしたかった。
だから、北海道で作ったもので何か事業化できないか考えていたんだ。
レストランはその一歩で、イタリアンをやるうちにトマトソースの面白さに気付いた。
オンラインでトマトソースを売りはじめたのは、商売として面白いから出した結論だよ。
だって、国産トマトで作られたソースって、ほとんど売られていないんだ。
トマト缶を作っている国内大手メーカーに問い合わせたら、輸入品の安さには敵わないから参入しないそうだ。
だったら、僕みたいな個人だったらいけるかもしれないでしょ。
国産トマトは、だいたいジュース用か食用で生産されている。
でも、調べてみたら委託用のソースに適したトマトの種は売っていた。
だったら、自分でトマトを作ればできるかもしれない。
そうやって、トマトを素材にしたビジネスを少しずつ考えていったんだ。
道東・北見のレストランシェフが、トマトを作って、ソースに加工してオンラインで売る。
これだけ説明すると、疑問がいっぱい浮かぶかもしれない。
例えば、もっとおいしくトマトができる土地でやらないの?とか。
どうしてレストラン一本でやらないの?とか。
あるいは畑作りに移行して専念すれば?なんて声も上がるかもしれない。
でも、僕はビジネスという一本の柱で、これらをすべてつなげたい。
もっと言うなら、トマトソースを売ることが最大の目標ですらないんだ。
僕はKAGOMEやデルモンテになりたいわけじゃないからね。
僕はいつか、トマトを中心にしたコミュニティを作りたい。
生産者、加工業者、そして食べるお客さんが、一つの場に集まれるようなイメージ。
そしてオホーツク・トマト・タウンを作って、全国の皆さんに遊びに来てほしいな。
そこでトマトを収穫したり、うちのレストランの味を楽しんだりしてくれたらうれしい。
挑戦って言ったら仰々しいけれど、今はやりたいことを形にしている真っ最中なんだ。
まだまだ、これから。
だから、トマトソースの名前は「はじまりのトマトソース」にしたよ。
僕がこれから目指す場所に行くための、オンラインでの第一歩。
ぜひ皆さんに、届いてほしい。
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