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ハイテックハイのベテラン教員ジョンに学ぶプロジェクト型学習①

こんにちは。"ハイテックハイ(以下HTH)教育大学院オンラインコースを日本語に訳して学ぶ勉強会"を非常にゆるく主宰しております、オカです。

2020年、ハイテックハイ(以下HTH)教育大学院のオンラインコースが無料公開されました。これはHTHを深堀りできる素晴らしい教材だ!と思ったのですが、何しろ全編英語です。「1人で学ぶにはハードルが高い。よし、みんなで翻訳して学ぼう!」と有志を集めて勉強会を始めました。最初は10人程でスタートしたグループも、今や沖縄から北海道まで、50人以上が所属する大所帯になりました。素敵なメンバーが揃っているので、勉強会は毎回とても楽しいです!
勉強会で出た質問を、私の恩師であるHTH現役教員のジョン・サントス氏に聞き、また次の勉強会で伝えることで学びを深めてきました。そんなこんなで、年間で30往復ぐらいメールを交わしてきたジョンが、「そんなに熱量の高いグループなら、直接先生たちの質問に答えるよ!」と言ってくれたことで、ジョンを囲む勉強会が実現しました!素晴らしい内容だったので、ご興味のある方に少しでもお伝えできたらうれしいです。


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Bright Spots 上手く行っていることに目を向けよう

勉強会の冒頭では、アイスブレイクをかねて"自分の学校でうまく行っていると思うこと"をブレイクアウトに分かれてシェアしました。

ジョン:教育現場では、直面している課題や問題に目を向けがちだと思います。しかし、どんなに些細なことでも、うまくいっていることもあるはずです。何がうまく行っているのかに目を向け、共有することは非常にパワフルです。1人の先生と話すことからでも構いません。ぜひ教員同士で、自分の内側からわきあがってくる発見やポジティブな面に目を向け、共有する時間をつくってみましょう。

確かに良いところに目を向けるということは、忙しさにかまけて置き去りになりがちだ!と思い、私も教職員会議のアジェンダの冒頭に、”今週Happyだったこと"を書く欄を設けて一度気持ちをポジティブなことに向けてから議題を書き込むようにしたり、チェックインをして場に気持ちを集中してから会議に入るようにしました。小さなことで良いので、喜び・嬉しさを分かち合うことを職員室で大切にしていきたいと思います。

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なぜPBL(プロジェクト型学習)なのか

本題です。PBLの手法ではなく、"なぜHTHではPBLを選択しているのか"をぜひ考えてみてほしいとジョンは言います。

ジョン:手法としてのPBLに注目が集まりがちですが、"なぜPBLを行うのか"という意味をぜひ考えてみてほしいです。では、HTHがPBLを採用している理由ですが、非常にシンプルです。それは、"学校以外の社会がすべて変わっているのに、学校だけが変わらないわけにはいかないから。”

学校は何のために存在するのでしょうか。学校の存在理由が、こどもたちが社会に出るための準備をする場所だとすれば、変化する社会にあわせて学校が変わらなければならないのは当然のことです。社会も、政治も、経済も、凄まじい速度で変わっています。教育学者のジョン・デューイは著書の中で、"学校の中の学びは、外の社会の反映でなければならない"と言っています。また、アメリカでも日本でも共通だと思いますが、これからの子どもたちに求められる能力とは、人となにかを一緒に創り上げることができる協働する力、問題解決力、批判的思考力、プレゼンテーション力、デザイン思考などが挙げられると思います。社会と接続した学びの中で、これらの能力を育むためにはどうしたら良いのかということを考えた時に、HTHではPBLという手法がベストだと考えたのです。

私自身も従来の学校教育で育ちました。その中では、特定の試験に向かうことが1つのゴールになっていて、暗記や先生の指示に従うことは出来たかもしれません。しかし弊害として、自分の頭で考えたり、人と協働する力はつきませんでした。いま私は高校生を教えていますが、目の前にいる子どもたちをみて、この子たちが30歳になった時、あるいはその先に、どんな能力を身に着けてほしいか、どんな大人になってほしいかということを常に考えています。

PBLによって期待できる成果は、問題解決力・批判的思考力・協働する力・コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力の向上であったり、教員が生徒1人ひとりをよくみて、個別最適化学習に適した環境をつくれるということだと思います。

20世紀型の教育から21世紀型の教育への移行時期が来ています。みなさんの学校では、どのような変化が起きているでしょうか。また、これから起こらなければいけないと感じる変化とは何かを考えてみてください。

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HTHはPBLをするための学校ではなく、HTHの掲げる教育理念を実現するための手法としてPBLを導入している学校です。HTHのPBLがうまく行っている背景には、PBLに全振りしたカリキュラム設計、1コマあたりの授業時間が長い、少人数クラス、先生個人の裁量権とサポート、心理的安全性やマインドセットを重視した文化形成、といったように、多くの要素があります。これを一部だけ切り取って日本の学校で再現しようとすると、かなり難しいでしょう。

大切なのは、学校として「どのような子どもたちを育てたいのか、そのためにどんな学校でありたいのか」というビジョンをしっかりと描き、教職員で共有することです。そしてその実現のために、どんなカリキュラムや手法を入れるべきなのかを一貫性をもって考えることが必要です。

PBLをちゃんとやろうとすると、けっこう時間がかかります。けっこう大変です。それでも、手間ひまかけてやるだけの価値がある教育手法だと思いますので、中身については次回紹介しますね。

また、PBLをやる・やらないに関わらず、たとえば生徒を自律的学習者にするためのエッセンスや、生徒と教員の関係性など、日本の教育現場がHTHから取り入れられることは沢山あると思っています。



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