あと何度、母と旅をするのだろう?
61歳の母を連れて極寒のソウルを旅した。
最高気温ですら0度に届かない天気のもとでも、母は食べては呑み、時々娘をいらつかせながらも存分に旅を楽しんでいる様子だった。
うちの母はパワフルでアクティブな気質だ。
10代で兄を産み、末っ子のわたしが手元を離れてからは、登山が彼女の生き甲斐だ。仕事が休みの度に山に登っているようだし、離れて暮らすわたしの自宅にもちょくちょく遊びに来る。
よく動くし、眠らなくても大丈夫な体質らしい。
インドアで体力が少ないわたしとは似ているところが少ない、と思う。
でも、顔を突き合わせたり、ポーズを取らせて写真を撮っていると、ふと思う。
ああ、着実に年を取っているなあと。
そして考える。わたしは、あと何回こうして母と一緒に旅ができるのだろう?
時折勝手なことを言われていらっとするのも、何だかありがたいことのように感じてくる。もちろん「わたしはガイドさんじゃないんだからね!」と言い返すのだが。。
「また来たいね」
そう伝えると、「いつにする?夏前とかかな」との返事。聞くと、今回の旅が相当楽しかったよう。なんか拍子抜けしたけど、母らしい。
春が過ぎて新緑がまぶしくなってきた頃、また母を連れていきたいと今は思う。
今は。。
とはいえ、なんだかんだ言って実行しちゃうんだろうな。いらっとしたり、恥ずかしいなぁと思ったりする、母とのソウル旅を。
家に着き、ポストを開くと留学時代に仲良くなった韓国人の友達から手紙が届いていた。
なんと希望の仕事に就くことができ、ソウルで働いているとのこと。
また行く理由がひとつ、できた。