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「この映画、見てきなさい」

食事、運動、睡眠。
何にも気にせず、生きてきて、40代くらいからこのままだときっと良くないなと思い始める。生きるということの意味が少しずつ変わってくる。
不精の私は、妻のかかりつけ医に同行して通院することにした。

2月の問診。けじめをつけて、休息を取りなさい。
疲れが溜まってきたのか、喘息が出る日もあって、まずいなという思いは自分でもあった。「休息を取りなさい」は許しを得たような気持ちでいた。

特にお薬をもらうこともなく、医院を出ようとした時、先生が映画館の上映スケジュールを持って現れた。「この映画、見てきなさい」

「パーフェクト デイズ」

ちょっと話題になっているとは聞いていたが、誰が出ているのかも、
どこの国の映画なのかも知らず、映画館へ。

世界は言葉で教えてくれない

主役の役所広司は、無口。
次の日も、次の日も、次の日も、一見、同じような生活を送る主人公。
道を掃く箒の音、いつもの缶コーヒー、見上げるスカイツリー、
木漏れ日の写真。

「枯れ木に花咲くに驚くより、生木に花咲くに驚け」

人は生まれて、死んでいく。
その間のことを「人生」と呼ぶ。
人はなぜ生きるのか?人はなぜ死ぬのか?
の問いは、その間はなぜあるのか?と、人生に意味を求める。

仕事、同僚、偶然、家族、生い立ち、金、女、酒、時代、東京。
出来事が起こり、気持ちが上がり、気持ちが下がり、物語が生まれる。
人生の意味を与えられているかのように。

パーフェクト デイズ

日本語では、どういう意味なんだろう?
「何かをするには、完璧な日だ」何かはなんでもいい。
仕事をするには、デートするには、喧嘩をするには、・・・。
「まるまる日和」がぴったりくる。

今日起こったことは、まさに「今日起こったこと日和」だったのだ。
「明日は明日の風が吹く」
今日あることに、今日を楽しめ。意味などない。
「今は、今。今度は、今度」なのだ。

木漏れ日

主人公は神社の境内で毎日ように木漏れ日の写真を撮る。
撮ることに意味があり、現像はするけど箱にしまって眺める様子はない。
この木漏れ日に気付く、心地よさを感じる自分を感じているかのように。
まさに「生木に花咲くに驚く」人生を送る。

私はどう生きるか

人生に意味なんてないとしたら、無味乾燥なつまらないものだろうか。
どんなことが起こっても、どんなことになっても、
それに意味なんてない。
だからこそ、思い切り笑え、思い切り泣け、思い切り怒れ。

人生が終わるまで

どんなことで私は笑うのだろうか?
どんなことで私は泣くのだろうか?
1日、1日、まるまる日和が続く。
今日は何日和だろうか?


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