自他の認識|育児日記
息子は、母親である私と身体をくっつけていないとお昼寝ができない。
あんなに小さかった息子も、見た目はすっかり幼児になった。まだ9ヶ月だけど、髪と眉毛が濃くて、身体もしっかりしているので大きくみえる。
9ヶ月の息子は、まだ自他の認識ができないらしい。
ダイニングの壁の低い位置に、息子用の割れない貼る鏡を設置している。
鏡に映る自分を舐めようとしたり、鏡をバンバン叩くけど、まだそれが自分だとわかっていない。
私が一緒に覗き込むと、ママだと認識してにっこり笑う。
息子と毎日ずっと一緒にいると、私自身も息子との境界が曖昧になる。
今は後追いが激しい時期なので、ちょっとトイレに行くだけでも、息子はママを探してけたたましく泣く。
料理をしている時も、洗濯物を畳んでいる時も、私はチラチラと息子の方を見て様子を伺う。息子もおもちゃで遊びながら、ちらっと私の方を見て、笑う。
別の人間だけど、ずっと一緒にいる。私から産まれたのもあって、なんだか分身みたいだ。
最近は、離乳食もほぼ大人と同じようなものが食べられるようになった。手づかみ食べも上手だ。息子はまた一段と「人間らしく」なった。
少しずつコミュニケーションが取れるようになり、「どうぞ」とおもちゃを渡すと受け取り、「ちょうだい」と言うと私の手におもちゃを渡してくる。
泣いて、寝て、飲んで、天井を見つめているだけの、か弱い生き物だったのに。
子どもはあっという間に大きくなっていく。
あんなに待ち望んだ桜も散り散り、子どもが生まれてから季節の移ろいが早く感じる。
ずり這いとハイハイを駆使して家の中を動き回り、ちょっと目を離すとすぐペットシートを触りに行ってしまうので、慌てて抱え上げる。
ずっしりと重みを感じるが、私の方もずいぶんと体力がついたのか、息子と2時間も散歩することがあるし、首や肩や腰の強い痛みも少なくなった。
ほどほどに手抜きしつつも、料理はちゃんと作って、部屋も清潔を保っている。
産後、呼吸してるだけで疲れていた頃の自分はもういないように感じる。
息子との毎日が、慌ただしく過ぎていく。
まだまだ赤ちゃんだけど、数ヶ月後には1歳だ。
そのうち息子は、自分の意思をはっきりと示してくるようになるだろう。
私が息子の手となり足となることは、今だけだろう。
息子は私とは別の人間で、私の分身でも、もちろん夫の分身でもない。思い通りにはならない。いずれは巣立っていく。
でも今は、私がいないと生きていけないくらいべったりと甘えてくる息子を、ただただ可愛がって過ごしていきたい。
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