見出し画像

「みんな」「絶対に」「~に違いない」 それってあなただけの捉え方かも? ~認知行動療法的アプローチ~

国家資格キャリアコンサルタントの更新講習「 認知行動療法のキャリアコンサルティングへの活用」の計3日間の学びを本日無事に修了しました。
認知行動療法における宿題(ホームワーク)があるため、7月5日から9月7日までの2か月に渡って計3日間の学習でした。

キャリアカウンセリングに取り入れるための具体的な技法やポイントを学べるとあって、濃密な講習と試行錯誤の連続となったカウンセリング演習がセットで行われました。不慣れな技法を用いながらあれこれと試してみるというのは、同じ資格を持つ者同士の訓練の場だからこそできることです。おかげで安心して、派手に失敗することができました(笑)

この3日間の学びを吸収し、今度は仕事でどう活用していくかはわたし自身の課題となります。そのためにも、いまこの時点で考えていることを言語化し、記録に残しておこうと思います。


1.認知・感情・身体・行動の相互作用で捉える


認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy;CBT)は、A.ベックがうつ病の治療のために開発した精神療法です。

“法律、教育、ビジネス、スポーツなど、あらゆる領域で認知行動療法の考え方が取り入れられている”とあるように、もちろんキャリアカウンセリングにも活用されています。

特徴的なのは『認知・感情・身体・行動』の4つの側面で捉えるということです。
「どのように考え、どんな気持ちになり、どんな身体反応が現れ、どんな振る舞いをしたか」ということを相談者とともに確かめていきます。
もちろんこの4事象は別々に起こるわけではありません。お互いに影響し合っている=相互作用があり、「○○と捉えたからこういう気持ちになってこんな行動をしてしまった」というつながりがあります。

この中でコントロールしやすいのは『認知・行動』と言われています。ものの見方・捉え方を変えることや、すぐに行動できるものから取り掛かることなど、この2つは自分の意思で変えることができそうです。
逆に『感情・身体』は自分で調整することが難しいですよね。「もやもやするな」と言われて止めることもできませんし、「緊張しても汗をかくな」と言われてもすぐに止められるものでもありません。

そこで、認知と行動の2つにアプローチしようというのが認知行動療法なんです。

キャリアカウンセリングでいえば、これから起きうることへの不安を止めることはできなくても、そもそも不安と感じなければ解消されるわけです。そのためにどんな行動をとればよいかが分かり、具体的な行動を起こせば問題は解決できてしまうわけですね。

…とはいうものの、果たして認知を変えることは可能なのでしょうか?


2.アジェンダとソクラテス的質問法を活用する


今回の学びでは、認知を変えるための一歩として「まずは行動を変える」ことから始めようと推奨していました。

というのもの、認知(≒ものの見方・捉え方・考え方)を変えることは、そう簡単ではありません。
あなたも「そんな考え方は捨てて考えよう!」と言われてすぐに変化できませんよね?
長い間自分のクセのように染みついてしまった認知は自動思考とも呼ばれ、意図しなくても勝手に考えてしまう(そう見えてしまう)ものなんです。

そこで、まずは取り掛かりやすい行動(≒振る舞い)に着目し、不都合なできごとに対して「どういう行動をとるか」を考えていきます。スモールステップで具体的な行動レベルに書き出していくことで、実際の場面に遭遇したときにどうするかをシミュレーションします。言い換えれば「想定内のできごと」にしてしまうわけですね。
あとはその行動を具体的にやってみて、その結果を記録していきます。できたのなら自分をほめてあげて、うまくいかなかったのならこの次はどうするか作戦を練り直します。この試行錯誤の繰り返しで達成体験を積み重ねていき、徐々に「いけるかも…?」という認知の変容へとつなげていきます。

このステップで大切になるのは、「今日は何を問題と設定して、どこをゴールとするか」をアジェンダとして決めることです。もちろん決定するのは相談者自身です。自己決定権が自身にあることを確かめる効果もあります。

そのうえで、ゴール設定したことがらについて「具体的な行動」を挙げていきます。それこそ「相手の目を見る」「こんにちはと声をかける」「わたしは○○ですと伝える」というレベルまで、入念なシミュレーションを行って行動リストを作っていきます。
このときカウンセラーが行うのがソクラテス的質問法です。コーチングではなじみのある問いかけで、問いによって考えが始まり気づきを得るというものです。
「そのときどんな考えが浮かんできますか?」
「○○しなかったらどうなると思いますか?」
「××と言ったらどんなことが起こりそうですか?」
このように相談者に考えてもらうための問いかけを積極的に行っていくわけです。
そこから捉え方の視点を変えていき、思考の幅を広げていきます。そして具体的な行動へと落とし込んでいき、具体的な行動目標をつくりあげていくわけです。

わたしはカウンセリングに軸足を置いてきたこともあり、このソクラテス的質問法が最初はなじめませんでした。ですがホームワークとしてこの2カ月間意識的に取り組んだこともあり、学び始める前よりは問いかけのバリエーションが増えたと実感しています。どちらかというと日常的な会話の中で活用できる感覚がありますね。


3.完治ではなくそこそこの回復を目指す


世の中に健常者は存在するのでしょうか?
健常者とは「常に健康な人」ですから、身体のどこにも異常がなく、かつ心の中に不安も心配も抱えていない人です。
赤ちゃんでさえ生存の不安を抱えて泣いているわけですから、本来の意味でいえば健常者なんてこの世にはいないわけです。

そう考えると、カウンセリングを受けたからと言って完治することは無理なんですよね。あえていうなら寛解(異常が見当たらず問題が発生していない状態)でしょう。治すことよりも、問題を問題と感じない程度にまで認知や行動を変えていき、苦しくない状態になることを目指します。それを「そこそこの回復」と先生は例えていました。

人の悩みは尽きません。時間や場所や相手が変われば、同じような問題に遭遇することもあるでしょう。あるいは別の悩みが生まれることもあるでしょう。だったら、悩まなくてよい状態を保てばよいわけです。悩みと捉えなくなればOKですし、悩むような場面でも対処できてしまえばOKです。それが認知であり行動を変えるということです。

対人支援に関わる方は「何とかしてあげたい」という気持ちが強い傾向があります。だから完治を目指したくなってしまうんです。
でもそれはカウンセラーのエゴであって、そもそも完治させるものではないんですよね。それよりも、カウンセラーを必要としないくらい回復してくれて、自分の力で生きていけるようになることの方が大事なんです。
それを表した一言が「そこそこ」だったんですね。なんだか心が軽くなった感じがしています。


4.「みんな」「絶対に」「~に違いない」って本当なの?


「みんなわたしのことを嫌っている」
「絶対にムリ」
「どうせ失敗するに違いない」
こんなセリフを聴いたことはありませんか?

わたしも自分自身に対してこの言葉を使うことがあります。
諦めるための言い訳として使いたくなるのはよくわかります。
でも果たして「みんな」「絶対に」「どうせ」は本当なのでしょうか?

「みんなっていうけど、地球上の70億人全員があなたのことを嫌っているの?」
「絶対にっていうけど、これまで何万回くらい試してきたの?」
「違いないっていうけど、このチャレンジは初めてのはずだよね?」

活字にすると詰問口調に見えるかもしれませんが、その矛盾を自覚してもらうためにもあえて大げさに例えて問い返します。すると、
「みんなじゃなくて○○さんだけだけど…」
「まだ1回しか試してない…」
「初めてだから成功するかもしれないけど…」
といった具合に答えが返ってくるんですよね。

自分でも矛盾していることは薄々気づいています。でもダメな状態を後押ししてほしい、わかってほしい、認めてほしいという気持ちから言い訳をしてしまうんです。かといってこのままでは建設的な結論が出せません。だからあえて問いかけて考えてもらって、次の一手に意識を向けてもらうんです。

これまでもわたしはこの感覚は持ち合わせていたのですが、今回の学びの中で認知行動療法的アプローチとして活用できることに気づきました。意地悪に感じない程度に、凝り固まった考え方を解きほぐしていきたいですね。


最後に


現在、NHKで放送中のドラマ「シュリンク―精神科医ヨワイ―」。

第1話はパニック障害がテーマでしたが、取り上げた心理療法はまさに認知行動療法そのもの。
「まずできること、小さなこと(ドラマでは“ベイビーステップ”と呼んでいます)」から始めます。
その一つひとつを「自分の力でできた」と実感することで、自己肯定感を育み、自らの力で回復していくことにつながります。
やがては隣に医者がいなくても患者自身が自分の力で適応していけるようになるという心理教育が行われていく―――そんな様子も描かれていました。

3日間かけて学んだことが、まさかドラマを通じて復習できるとは……ジャストタイミングで学べたのかもしれませんね♪

まずはわたし自身がもっと問いかけの質を上げていき、言語化するスキルを身につけることから始めていきます。そのためのふりかえりnoteになればうれしいですね。
これからの新しい目標ができました。ますます積極的に書き続けていこうと思います!



#明日も佳き日でありますように
#認知行動療法
#国家資格キャリアコンサルタント更新講習
#シュリンク
#精神科医ヨワイ


#毎日note
#おかちんnote
#キャリアカウンセラー
#キャリアコンサルタント
#キャリアカウンセリング
#キャリアコンサルティング
#キャリア
#キャリコン
#CDA
#コミュニケーション
#コミュニケーションファシリテーター
#コミュファシ
#アートマインドコーチング
#AMC
#対話型アート鑑賞
#JEARA

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?